第六十五話
春休みまであと数日になっていた。
噂に関してはもう俺と三女神が仲良くしているのは当たり前の光景になったらしく落ち着いてきていた。
僻みや嫉妬、それに羨望の眼差しを感じることはよくあるが。
ある日の夕方、バイトがあるのでリサイクルショップに向かい休憩室に入ると村田さんが居た。
「あっ、お疲れ様です。伊庭さん、LINEしようかとも思ったんですけど会って話したかった事があるんです。」
「村田さん、お疲れ様。もう高校卒業したんだよね?」
「あっ!はい!無事卒業しました!それと志望校合格しました!」
「おお、ダブルでおめでとう!よかったね。」
「ありがとうございます。それでお礼詣りに一緒に行きたいんですけどダメですか?」
「いいよ。春休みに入ってからでもいい?」
「はい!大丈夫です。……あの、…もう一つ約束覚えてますか?」
「映画見に行くんだよね?」
「はい!」
「覚えてるからね。」
「ありがとうございます。楽しみにしてますね。じゃあ先に仕事に入りますね。終わったらちょっとお話出来ますか?」
「うん、大丈夫だよ。お互い頑張ろうね。」
村田さんは元気に休憩室から出ていった。
俺もすぐ準備をして仕事を始める。
トラブルなく仕事が終わり休憩室に戻ると先に終わった村田さんが待っていた。
「伊庭さん、お疲れ様です。」
「お疲れ様。改めて大学合格おめでとう。なんかお祝いしないとだね。」
「いえ、いいですよ!そんなお祝いなんて申し訳ないです。」
「俺がしてあげたいだけだからね。なんか欲しい物とかして欲しい事があれば言ってね。」
「一緒にお礼詣りと映画に行ってもらえるだけで十分です。」
「そう?まあお祝いしてあげたいからなんか考えといてよ。」
「………わかりました。ありがとうございます。」
「じゃあまずはお礼詣りはいつにしようか?」
「伊庭さんは春休みはご実家に帰られたりするんですか?」
「しないからいつでもいいよ。」
「冬休みも帰られてなかったですよね?いいんですか?」
「気にしなくていいよ。特に帰るようにも言われてないからね。」
それから村田さんと相談して三月末にお礼詣りに行くことにした。
そしてお礼詣りの約束の日、待ち合わせた村田さんと電車で先日お詣りした住吉神社に向かう。
「優也さん、今日はありがとうございます。」
「いやいや、お礼言われるようなことじゃないよ。」
「お正月に約束したこと覚えてますか?」
「今度は村田さんに奢ってもらうってやつかな?」
「はい。ラーメン屋さんの約束ですけど他のとこでもいいですよ。」
「約束だしラーメン屋にしよう。他のラーメンも食べてみたいしね。」
電車を降りて徒歩で神社に向かっているときにふと思い出した。
「そういえば聞きそびれてたんだけど村田さんが受かった大学ってどこなの?」
「あっ!そういえば言ってなかったですよね。えへへ、どこだと思いますか?」
「なんとなく予想してたんだけど、うちの大学じゃない?」
「えっ?なんでわかったんですか?」
「ってことは当たりかな?」
「はい!なんでわかったんですか?」
「なんか話しててそうかなって思ったんだよね。」
「なので伊庭さん、これからは大学でも先輩後輩になりますのでよろしくお願いします。」
「よろしくね。なんでうちの大学にしたの?お姉さんが居るんだっけ?」
「お姉ちゃんは居ますけどあんまり関係ないですかね。どっちかというと伊庭さんが居ることのほうが大きいです。」
少し頬を赤く染めながら言う。
将来に関わる大事な大学進学なのに俺が居るという理由で決めたとなるとなんか申し訳ないし心配になる。
「ちょっと待って。そんなことで大学決めたの?」
「えっと………その、それだけじゃありませんよ。行きたい学部もありましたから。元々受ける候補だったしバイトで頼りになる先輩も居る大学だからいいかなと思ったんです。」
「ならいいんだけど………」
神社に着いて参拝をするのだが村田さんのお礼詣りに付いてきただけで俺は元日に初詣をしているのでお祈りをする理由がなかった。
ただ村田さんがお祈りをしているのに俺がじっとしていると村田さんが気にしそうなので形だけお祈りをしておいた。
「付き合ってもらってありがとうございました。それじゃご飯食べに行きましょう。」
「そうだね。村田さんはラーメンでいいの?」
「はい。あそこのラーメン美味しかったですしこの辺にはこんな時にしか来ないですからおそこがいいです。」
ラーメン屋に着いて村田さんがお金を券売機に入れる。
「伊庭さん、好きなの押して下さいね。」
「ありがと。じゃあ俺は激辛ラーメン食べてみるよ。」
「辛いの好きなんですか?」
「大好きってわけじゃないけど時々食べたくなるんだよね。」
「わたしは苦手です。わたしはつけ麺にします。」
席に座って食券を店員に渡す。
すぐにラーメンが出てきたので食べてみたが辛いだけじゃなくて旨味もある。
「どうですか?やっぱり辛いですか?」
「辛いけど食べられないほどじゃないし旨いよ。食べてみる?」
「わたしはたぶん食べられないのでいいです。つけ麺も美味しいですよ。食べてみますか?」
「一口貰おうかな。あっ、でも俺の箸は使ったら辛いのがつくから遠慮しとくよ。」
「じゃあわたしの箸使っていいですよ。どうぞ。」
村田さんは自分の使っていた箸を俺に渡そうとしているが俺がその箸を使うことに抵抗はないんだろうか。
俺はあんまり気にしないが高校生ぐらいだとそういうのを意識するコが多いだろう。
村田さんをよく見ると顔が赤い。
やっぱり意識しているようだがここで遠慮すると余計に気まずくなりそうなので俺は気付かないふりをして箸を受け取る。
「ありがと、一口貰うね。」
食べてみるとつけ麺も旨かった。
「つけ麺も旨いね。この店で食べたの全部当たりだよ。」
「そうですね。いいお店見つけましたね。」
箸を返して残りのラーメンを食べ終えて店からで出る。
電車で帰っていると次の映画に行く予定の話になった。
「伊庭さん、映画に行く日はいつにしますか?」
「二人ともバイトがない日ならいつでもいいよ。」
「じゃあ来月二日でいいですか?入学準備もあるんで早めに行きたいです。」
「いいよ。」
次の予定も決まって駅に着いたところで帰る方向が違うので解散することにした。
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