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第六十話

彩乃にメッセージを送ったが既読が付かないので講義中なのかもしれない。

今の講義時間が終わると昼になるのでそこで連絡があるかもしれない。


講義時間が終わると彩乃からメッセージが来た。


『今、講義終わったよ。ハルとトモの三人で教室でご飯食べるつもりだけどどうしよっか?』


『どこの教室が教えてくれたら行くよ。』


彩乃に聞いた教室に向かう。

教室に入ると数組のグループが昼ご飯を食べていた。

彩乃の銀髪は目立つのですぐに見つかった。


「三人ともお疲れ様。」


「あっ、優也くんお疲れ様。来てくれてありがと。」


「伊庭くん、お疲れー。」


「伊庭くん、バレンタイン直接渡せなくてごめんねー。」


「いえいえ、貰えて嬉しかったですよ。ありがとうございました。これ、お返しです。」


俺はハルさんとトモさんにお返しを渡した。


「ありがとー。」


「伊庭くん、ありがとね。」


「じゃあ私たちはご飯食べ終わったから行くね。」


ハルさんとトモさんは彩乃と俺に気を遣ったのか教室から出ていった。


「彩乃、改めてバレンタインありがと。これお返しだから。」


「ありがと。」


「ここだと他の人も居るから家で開けてくれたら嬉しいかな。」


「わかった。帰ってから開けるね。優也くんが選んでくれたのどんなのか楽しみで早く帰りたいな。」


「講義はちゃんと受けないとダメだからね。」


「うん。」


「じゃあ俺は次の講義の教室に行くね。」


「優也くん、ありがと。またうちにご飯食べに来てね。じゃあまた。」


「了解。またね。」


彩乃にプレゼントしたのはオルゴールだった。

下の部分は木で上はクリスタルボールで出来ていてスノードームのようになっており中には花の模様が描かれている。

夜にオルゴールをつけるとライトの光がガラス玉で拡散し柔らかな光で周囲を照らすらしい。

オルゴールがゆっくりと回転しながら音楽が流れ音と光のコラボレーションが癒しの時間を演出してくれるということだ。

実際に自分で試していないので説明書きやレビューを見ただけだが。

気に入ってもらえるかはわからないが癒しの女神と言われる彩乃だからこそ彩乃自身を癒せたらと思い選んだ。

大学に持ってきたお返しは渡し終わったので後はバイトの時に村田さんに渡すだけだ。

正直なところバレンタインでチョコを貰えるのは嬉しいがお返しのを考えると貰えないほうが楽だと思った。


講義が終わりアパートに帰った俺はバイトの準備をして村田さんへのお返しを確認した。

バイト六時からだが村田さんとの約束があるので早めに家を出る。

バイト先に着いて休憩に入るともう村田さんが来ていた。


「村田さん、お疲れ様。わざわざ来てもらってごめんね。ホントは俺が渡しに行くべきなんだけどね。」


「いえ、気にしないで下さい。わたしは休みに伊庭さんに会えて嬉しいですし。」


ストレートな好意を表す言葉に一瞬びっくりした。

もちろん好意を持たれているとは思っているがまだ恋愛としてよりも先輩として懐かれていると思っているがもしかしたら心境に変化があったのかもしれない。


「はい。これ、バレンタインのお返しだよ。」


「ありがとうございます。早速ですけど開けていいですか?」


「どうぞ。」


村田さんは渡した袋から箱を取り出し開封する。

中身は有名な洋菓子店のクッキーやフィナンシェなどの詰め合わせだ。


「あっ!これ駅前のお店のやつですよね!かなり人気があるお店ですよ。わざわざあそこで買ってくれたんですか?」


「わざわざってほどでもないけどね。」


「ありがとうございます。伊庭さんもどれか食べますか?」


「いやいや、お返しだから俺はいいよ。家に帰ってからゆっくり食べてよ。俺はこれからバイトだしね。」


「わかりました。ってあれ………なんかもう一つ入ってます?」


「お菓子だけだと寂しいかなと思ってね。」


村田さんがもう一つの箱を出して中身を出した。


「これってハンカチですか?しかも今治タオルって書いてるじゃないですか!」


「うん、なんか今治タオルって有名らしくてさ。」


「ですよね!聞いたことあります。こんなの貰っていいんですか?」


「そのために買ったから貰ってくれないと困るよ。」


「ありがとうございます。大切にしますね。」


「いや、大切にせずに普通に使ってもらえたほうが嬉しいかな。」


「大切に使いますね。でもなんか申し訳ないです。」


「全然気にしないでよ。あんまり女性にプレゼントとかしたことないから気に入ってもらえるか不安だったんだけど大丈夫だったかな?」


「気に入りましたけどプレゼントしたことないとかウソですよね?伊庭さんイケメンでモテるからするのもされるのも慣れてますよね?」


「いやいや、ずっと目立たず地味にしてたからモテてないよ。」


「今まではそうでも今年は違いそうですよね。」


「今年は確かにバレンタイン何個かもらったけどね。」


「やっぱりそうですよね。」


村田さんはなにやら気合いの入った表情をしている。


「伊庭さん、確認なんですけど()()彼女は居ないんですよね?」


「いないよ。」


「わかりました。じゃあ今日は帰りますね。映画の約束ですけど来週行きたいんですけど大丈夫ですか?」


「うん、いいよ。じゃあ気をつけて帰ってね。俺は店に出るね。」


「はい。また連絡しますね。」


村田さんが帰り、俺は仕事を始める。

たぶん大学の合格発表の後に映画に行くことになるだろう。

そういえばどこの大学受けたのか聞くのを忘れていた。

なんとなく予想はついているのだが……

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