第三十八話
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優也がチンピラと彩乃の間に入った所から警察が来るまでの光景をジッと見ていた姉妹が居た。
姉の名前は村田里佳、大学で友達も多く社交的で三女神ほどではないが人気がある。
自他共に認める面食いで彼氏にするなら絶対イケメンと言っているが今は彼氏はいない。
最近、隠れイケメンを見つけたけど友達と仲が良い相手だから恋愛対象には出来ないと思っていた。
(アレって優也よね?この前ちょっと見ただけだけどどう見ても別人には見えない。イケメンどころがこの大学のダントツトップじゃん。しかもなんなの、あの強さ。凶器持ってる相手を余裕で倒してるし。ヤバいヤバい、こんなハイスペックな男ほっとくなんて無理なんだけど)
妹の名前は村田早苗、近くの高校に通う女子高生でリサイクルショップでバイトをしている。
地味で大人しい性格だが恋愛に興味があるし憧れている男性も居る。
(あの人、伊庭さんなんじゃないかな?パッと見は全然違うけどバイト中にたまに見える目がそっくりだ。姿勢が全然違うけどいつもバイトで見ている顔を思い出すとどう見ても同一人物だ。いつもは優しくて穏やかな表情だけど今は鋭くてあっという間に四人を倒した。優しくて格好よくて強いとか漫画の主人公みたいだ。)
「……えーっと、早苗、なんかとんでもないことになっちゃったし実行委員の仕事とかありそうだから今日はもう学祭回り終わりでいい?」
「……う、うん。お姉ちゃん実行委員だもんね。私も今日はもう帰ることにするね。一人で回る気にもならないし夜にはバイトもあるから。」
「そう。ごめんね。」
「ううん。じゃあまた後でね。」
姉妹二人はそこで別れたが二人共すぐになにかやることがあるわけではなかった。
一人になり考えたいことがあっただけだ。
二人は同じ人物のことを考えいることは知らないしお互いにその人物と繋がりがあることも知らない。
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俺と鈴音は警察署に来ていた。
もちろん俺が連行されたわけではなく事情を聞きたいと言われて当事者である俺と一部始終を見ていた実行委員の鈴音が説明に来ただけだ。
警察の話によるとあの四人組は今までも他で問題行動を起こしていたらしくしばらく留置させられるらしい。
俺も怪我をさせないように立ち回ったので傷害などに問われることもほぼないということだった。
警察での話が終わり大学までパトカーで送ると言われたが鈴音と話したいこともあるので辞退して歩くことにした。
「はーーーぁっ、……やっちまったなぁ。」俺はため息とともに後悔していた。
「あの状況は仕方なかったんじゃない?あんたが動かなかったら京條さんたちがどうなってたかわからないわ。」
「そうなんだけどな。ますますいつもの俺と今日の俺が同一人物だとバレないようにしないと俺の大学生活がとんでもないことになる。」
「目立ちすぎたからもう難しいかもね。ところでその頬、大丈夫?」
「あんな奴に殴られても平気だしこんなもんすぐ治るよ。」
「いや、そうじゃなくて明日からそのまま大学行ったらあんただってバレるんじゃない?」
「…………」考えなかった。
「腫れが引くまで休むかな。」
「単位大丈夫なの?親しい人は気付いてると思うわよ。」
「単位はなんとかなるだろ。これからどうするかはちょっと考えるよ。」
「もう思い切ってバラしてその格好で大学生活を楽しんだらいいんじゃない?」
「嫌に決まってるだろ。お前は大学に戻るんだろ?俺はアパートに帰るから。」
大学が近くなってきたので俺は帰ることにした。
「わかったわ。とりあえずあんたのことはうちの大学生じゃないみたいって言っとくわね。じゃあね。」
「おう、頼む。」
鈴音と別れてアパートに向かっていたが大通りからアパートのある路地に入るところに知っている顔を見つけた。
「すみません。」話しかけてきたのは彩乃だった。
なんでここに居るのかわからない。
大通りの向こう側には彩乃の住んでいるマンションがあるのでこの辺に居てもおかしくはないが今は学祭中である。
「なんでしょうか?」
「さっきはありがと。優也くんだよね?」
あっさりバレていた。
「なんでわかったの?見た目は全然違うと思うんだけど。」
「すぐわかったよ。前に助けてくれたときと同じ背中だった。」
「そっか。彩乃は大丈夫だった?」
「うん。優也くんが守ってくれたから。すぐ学祭に戻るけど優也くんにちゃんとお礼を言いたかった。」
「あれぐらい大したことないよ。今日は疲れたから家でゆっくりするよ。」
「うん。また今度ちゃんとお礼させてほしい。」
「わかったよ。じゃあまたね。」
「うん。バイバイ。」
彩乃は大学のほうに戻っていった。
彩乃を見送ってからアパートに帰った俺は今日のこととこれからのことを考える。
やってしまったことは仕方ないとはいえ今日は派手にやり過ぎた。
大学では今まで通りの俺の噂と今日のことが話題になりそうだ。
バレるのも時間の問題なのかもしれないし考えてもどうなるものでもないのだ。
風呂に入りさっぱりして部屋着に着替えた。
よし!今日は飲もう!なにも考えず飲む!
そう決めた俺はスマホに着信やLINEが何件もきているのも無視して飲みまくることにした。




