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第三十五話

土曜日、今日から学祭が始まる。

一ヶ月前は自分にはあんまり関係のないイベントだと思っていたがいざ当日になってみると色々と予定が入っていて忙しくなりそうだ。

今日は鈴音と回るし彩乃の店に顔を出すつもりなのでいつも通りのトレーナーにジーンズという格好だ。

着替えた俺は鈴音に『今から行く』とLINEしてから大学に向かう。

正門近くまで来るとやはりいつもとは雰囲気が違った。

なんとなくだか他の大学の学生っぽい人も居れば高校生や社会人に見える人も居る。

正門に到着すると一際目立つ容姿の女性が居る。

鈴音なのだが大学生らしい二人の男と談笑している。

知り合いなのかナンパなのかはわからないが俺と約束しているので声を掛ける。


「鈴音、おまたせ。」


「来たわね。ごめんなさい、友達来たから。」


鈴音は二人組に断りを入れると俺と学内に入っていく。

後ろで「なんだよ」「なんであんなのと」などという声が聞こえるが俺にとってはよく言われる言葉なので気にもならない。


「やっぱり正門は目立つわね。中で待てばよかったわ。」


「お前はどこでも目立つんじゃないか?」


「否定はしないけどね。まあいいわ。今日はなるべく色々回るわよ。」


「いいけど彩乃の店にも行くぞ。行く約束してるからな。」


「いいけど私と行って大丈夫なの?」


「なにが?」


「噂のこともあるんだけど私と一緒に居るところを京條さんに見られてもいいの?」


「いいだろ。俺とお前が親友だってのは言ってあるしそのことをどうこう言われても困るしな。俺たちの関係は誰にどう思われようと何を言われようと変わらない。それを否定するような人とは付き合えないよ。」


「……それもそうね。じゃあ回りましょう。なにか食べるにはまだ早いし展示物でも見て行こ。」


しばらく展示物を中心に回ってみたが特に興味をそそられるような物はなかった。

ゲームコーナーなどで遊んでから時計を見るとちょうど昼時だったので飲食コーナーに向かう。


「どうする?最初に京條さんのとこ行く?」


「そうだな。いきなり甘いのはどうかと思うけど腹減ってるほうが旨いと思うしな。」


二人で彩乃の居るクレープ屋に向かった。

たしか売り子として店の前に居ると言っていたがパッと見見当たらない。

とりあえず列に並んで順番待ちしているとようやく注文出来るところまできた。

すると奥から俺に気付いた彩乃が出てきた。


「優也くん、いらっしゃい。……中里さんもいらっしゃい。」


鈴音は「どうも」とだけ答えた。


「店の前に居るかと思ったら後ろに居るんだね。」


「前に居たけど男の人に声掛けられたら後ろに行ってる。」


「なるほどね。俺はチョコバナナ貰える?」


「私はいちごで。」


「わかった。ちょっと待ってて。」


少し待っているとクレープを手にした彩乃が店の表に出てきた。


「どうぞ。」


「ありがとうございます。」


「ありがとう。」


鈴音と二人で礼を言うと彩乃が「ちょっとお話しよ」と言ったので三人で店からちょっと離れた所に移動した。

クレープを食べながら三人で話す。


「店の方はいいの?」


「時間貰ったから大丈夫。中里さんと話すのは初めて。京條彩乃です。よろしく。」


「中里鈴音です。鮮やかな銀髪にお人形のように整った顔、ほんと同性の私から見ても抱き締めたくなるぐらい可愛いわ。しかも年上とか信じられない。」


「中里さんは大人っぽくて綺麗な黒髪で羨ましい。噂のことで迷惑かけてごめんなさい。」


「京條さんは悪くないですよ。悪いのは二股しようとしてる優也ですから。」


「違う。優也くんは彩乃のためにわざとやってる。」


「………優也、バレてるわよ。」


「言うなよ。バレてるとか言ったら認めるしかなくなるだろ。」


「やっぱり。中里さんもわざと噂になるようにしてる?」


鈴音は答えず俺を見ている。

俺に言えってことだろう。


「あー、まあ彩乃の噂がムカついたからなくそうと思ったんだ。そのために鈴音に協力してもらった。」


「なんでそこまでしてくれる?」


「別に彩乃のためってわけじゃないよ。ただのお節介って言うか自己満だよ。前に同じような噂があってね、その時は失敗しちゃって友達に辛い思いをさせることになったんだ。」


「……………」鈴音はなにか言いたそうに俺を見ている。

最終的にはなんとかなったから失敗じゃないと言いたいんだろうが今は黙っててくれと鈴音を目で制す。


「また友達が同じようなことにならないようにしたいんだけだからやっぱりただの自己満足だよ。」


「でも……」


「だから噂とか気にせずこれからも仲良くしてくれたら嬉しい。彩乃と遊ぶのは普通に楽しいし、鈴音はこれからも親友だから。」


「……ありがと。」


周りを見るとかなりの人数がこちらを伺っている。

俺を睨むようにガン見していたり女神二人を羨望の眼差しで見ていたり好奇心丸出しで見ていたりと様々な視線に晒されている。

そろそろ切り上げたほうが良さそうだ。


「結局、優也のやってることって噂通りよね。私と京條さんの二人とこれからも仲良くしたいって言ってるんだから。」


鈴音の言う通りだった。


「たしかにその通りだな。」


「彩乃はこれからも優也くんと仲良くしたいし中里さんとも友達になりたい。」


「私も京條さんと仲良くなりたいけど今は注目されちゃってるからまた今度話すとして解散したほうがいいですね。」


「じゃあお店に戻る。」


「じゃあまたね。仕事頑張って。」


「ん。」


彩乃は短い返事をしてお店に戻っていった。


「とりあえず離れましょ。」


「だな。」


鈴音と二人でその場から離れる。


「まだ時間あるからもうちょっと回りましょ。」


「りょーかい。てか、クレープしか食べてないからなんか食べようぜ。」


それから二人でたわいもない話をしながら色々食べ歩いたのだが鈴音とこうして外で遊ぶのも久しぶりで楽しい時間を過ごすことが出来た。

読んでいただいた方ありがとうございます。

もし面白いと思っていただけたら拡散してもらえたらうれしいです。

なるべく多くの方に読んでいただきたいです。

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