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第三十四話

彩乃から『電話で話したい』とLINEがきた。

了解の返信をするとすぐに電話が掛かってきた。


「もしもし。」


『優也くん、お疲れ様。ちょっと話したいことがあるの。今、大丈夫?』


「大丈夫だよ。」


『この前のデートありがと。楽しかった』


「こちらこそありがとう。また遊びに行こうね。」


『うん。でもその前に優也くんに聞きたいことがある』


「なに?」


『大学の噂のこと。優也くん知ってる?』


「どんなの?俺の事?」


『うん。優也くん、彩乃と中里さんと二股してるって言われてる』


「みたいだね。俺は気にしてないけど。」


『ごめん。彩乃のせい』


「いや、俺が彩乃とも鈴音とも仲が良いのは事実だからね。あながち間違ってないよ。」


『違う。その事じゃない。彩乃の噂聞かなくなった』


「彩乃の噂?知らないよ。」


『嘘。デートは彩乃のため。中里さんにも迷惑かけてる』


「あいつも気にしてないからね。とにかく俺がデートしたかっただけだから。」


『認めてくれない。でも、ありがと。また彩乃とデートしてくれる?』


「もちろんだよ。また遊ぼうね。」


『ならいい。優也くん、彩乃たち学祭で友達とクレープ屋さんやるけど来てくれる?』


「うん。行かせてもらうね。」


『やった。待ってるね。じゃ、おやすみなさい』


「おやすみ。」


とりあえず誤魔化してはみたけど噂のことはバレてるっぽかった。

ただ認めなければ彩乃はそれ以上なにも言えないだろう。

彩乃が罪悪感を感じたりするのは嫌なのでこうやってもうこの話は出ないようにする。



学祭前日の金曜日、最後の準備を手伝ってほしいと鈴音に呼び出された。


「ごめんね。ほとんど準備は終わってるから優也にやってもらうことほとんどないんだけどね。」


「ならなんで呼んだんだ?」


「言ったでしょ。今日も飲み会があるって。」


「そういえば言ってたな。学祭終わったら打ち上げあるんだろ?」


「そうなんだけど今日も軽く飲むらしいのよ。実行委員なんて基本陽キャの集まりだからなにかと理由付けて飲みたいんでしょ。でね、フライングで告白されるかもしれないから優也も居てくれたほうが告白避けになるのよ。」


「参加しなけりゃいいんじゃないのか?」


「そこはほら、女神としては断りにくのよね。正直行きたくはないけど。」


俺は周りに人が居ないのを確認しながら「その女神を演じるの止めたら?」と言ってみる。


「嫌よ。もうあの時みたいになるのは嫌だから。これが()()()なの。」


「そっか。でも俺、すぐ帰るぞ。鈴音と里佳ぐらいしか知り合い居ないし。」


「私もすぐ帰りたいから一緒に帰るわよ。噂のこともあるしね。あっ、明日ちょっとでいいから一緒に回ろうよ。学祭で一緒に居たら噂の信憑性増すわよ。」


「あー、そうするか。それで思い出したけど日曜日に神崎と学祭回るからな。」


「えっ?本気で?」


「本気だけどダメか?」


「ダメとかじゃないけどいいの?今、大学で一番hotな話題って優也の噂よ。その噂に油を注ぐどころか火薬をぶちこんで火を付けることになるわよ。」


「一応、そうならないように考えてんだよ。眼鏡外して髪型も整えて服装もキメてみようかと。それで神崎には他に仲の良い男が居ると思わせれば影響ないだろ?」


「バレなければね。っていうか神崎さん優也のイケメンフォーム知ってんの?」


「イケメンフォームってなんだよ。まあたまたまだけど素顔は見られたよ。この際だからそっちで学祭回ろうかと。」


「神崎さんを巻き込まないためにはいいと思うけどバレたらあんたが実は隠キャなんかじゃなくて三女神を侍らすイケメンってことになるわね。」


「だからどこにでも居るだろ?俺ぐらいの奴は。」


「自己評価低すぎよ。前からあんたが身なり整えたらモテるって言ってたじゃない。だいたい私が言っても全然変えなかったのになんで神崎さんのためには変えるのよ?」


「俺の噂がさらに酷くなるのを防ぐためだよ。モテようとも思わないし。それより仕事しようぜ。ちょっとはやることあるだろ?」


「………そうね。」


まだなにか言いたそうな鈴音だったがなにも言ってこなかった。

それから学祭の準備をすることになったがほとんどすることもなく今までに準備したものの確認をしたぐらいだった。

その後、居酒屋に移動したのだが人数は十五人ぐらいだった。

おそらく実行委員と俺のように手伝った人が居るんだろう。

実行委員長らしき男(俺は知らないのだが)が労いの言葉と共に乾杯の音頭を取って飲み会が始まった。

最所は隣にいた鈴音だがずっと隣にいるわけにもいかず他のメンバーの所に移動して談笑している。

いかにも女神らしい嫌味のない優しい笑顔である。


「優也、お疲れー。」


里佳が笑顔で近付いてきて隣に座った。


「お疲れ、里佳も居たんだな。」


「えー?気付いてなかったの?寂しいなぁ。友達が居るかぐらい見といてよ。」


「悪い悪い。すぐ帰るつもりだったから気付かなかったよ。」


「ねぇ、大学で眼鏡外さないの?」


「外さないよ。目立ちたくないし。」


「もう色々目立ってるけどね。私、面食いなんだけど眼鏡外した優也となら学祭回ってみたいな。」


「……目立ちたく()()()()んだよなぁ。里佳なら他に回る男居るんじゃないのか?」


「誘えば居ると思うけど妹と回る約束してるから優也とも回れないんだけどね。」


「なら言うなよ。俺も約束あるけどな。そろそろ帰るかな。」


「また今度ゆっくり話そうよ。飲みに行かない?」


「この見た目でよければ行くよ。じゃあな。」


「いいよ。またね。」


俺は里佳から離れて鈴音の居る方へ向かい声を掛ける。


「鈴音、俺もう帰るけどどうする?」


俺の方を見た鈴音は「じゃあ私も帰るわ。」の言って立ち上がる。

その瞬間、数人の男が残念そうにしたり俺を恨めしそうに見たりしている。

なるほど、これを機会に鈴音に近付こうとしている男はけっこう多そうだ。

これは学祭終わりの打ち上げが面倒になりそうだ。

鈴音と二人で最初に乾杯の挨拶をした男の所に行き会費を払って店を出る。


「付き合ってくれてありがとね。」


「いいよ。これぐらい。お前には世話になってるし。」


この時間に女性を一人で帰らせるようなことはしたくない俺の性格を鈴音は理解しているので遠慮することなく当たり前のようにマンションの方に向かって歩く。


「今日はお疲れ様。ありがと。また明日ね。起きて大学に来るときにLINEして。」


「了解。じゃあまた明日な。おやすみ。」


「おやすみ。」



読んでいただいた方ありがとうございます。

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なるべく多くの方に読んでいただきたいです。

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