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第二十七話

カフェを後にした俺と彩乃は商店街から少し離れたゲームセンターに来ていた。

大型のゲームセンターでUFOキャッチャーやメダルゲームが充実していて客層も幅広くおそらく同じ大学の学生も居るだろう。

着いて最初に彩乃が興味を示したのはメダルゲームだった。


「あそこではみんななにやってるの?あんまりお金使ってないみたい。」


「あの辺はメダルゲームコーナーだから最初に買ったメダルを使って遊ぶんだよ。増やせればずっと遊べるしなくなるとまたメダルを買わないといけないんだ。」


「増やしてどうするの?」


「どうもしないよ。メダルを預けることが出来て次に来たときに引き出して使えるから増やせばずっと遊べるんだよ。やってみる?」


「うん。」


「じゃあ五百円ほどメダルにするね。」


「彩乃が出すよ。」


「いやいや。彩乃は初めてだしここはカッコつけさせてよ。彩乃はどれをやってみたい?」


素早くお金を入れてメダルを手にした俺は彩乃にどれがやりたいか聞いてみる。

定番の競馬やビンゴなどはすぐメダルがなくなるかもしれないしキッズゲームと言われる小さい筐体のゲームは意外と増やしやすいがデートでやるゲームじゃないだろう。

本気でメダルを増やしたい訳ではないので彩乃が楽しければそれでいい。


「あれをやってみたい。」


彩乃が見ているのはプッシャーゲームと言われるものだった。

タイミングよくメダルを投入して手前の落ち口にメダルを落とすというものだが運が良ければジャックポットという大量にメダルを吐き出すこともある。

早速二人でやってみたがビギナーズラックが起こることもなく普通にメダルが減ってしまった。

その後、競馬をやってみると意外と当てることができ、少しメダルを増やすことが出来た。

次にビンゴもやってみたがリーチにはなるものの結局当たることはなく全てのメダルを消費した。


「なかなか難しいですね。」


「簡単に増やせたらずっと遊べちゃうからね。」


「なるほど。」


「次はどうする?やってみたいのある?」


「プリクラ撮ろ。」


「じゃあ行こう。色々種類があるみたいだけど俺もよくわからないんだよね。」


「彩乃も。わからないから空いてるをやってみよ。」


「だね。」


目についた空いてるやつの中に入ってみる。

俺がお金を入れようとしたのだが彩乃が「これは彩乃が出す」と言って譲らなかった。

筐体のアナウンスに従って操作していよいよ撮影が始まった。

最初は並んで普通に撮ったが、


「優也くんもっと近寄って。」


彩乃のスイッチが入ったようだ。

二人だけの空間だが一応カップルスタンスでいくことにする。


「わかった。もっと顔を近付けよっか。」


「う、うん。そうしよ。」


俺の態度に一瞬彩乃が戸惑ったようだがすぐに積極的になる。


「二人でハートマーク作ろ。」


その後も本当の恋人のように撮影した。

筐体に備え付けられているハサミでシールを切り半分を俺に渡しながら「優也くんありがと。楽しかった。」と嬉しそうにしている。


「次はUFOキャッチャーやってみよっか?俺もあんまりやったことないけど。」


「うん。やってみたい。」


「どれやろっか?どうせなら彩乃が欲しいもの狙おう。取れるかわからないけど。」


「このネコちゃんのぬいぐるみが欲しい。」


「じゃあやってみよう。」


俺はお金を入れてまず一回やってみた。

こんなときに物語の主人公や持ってる人ならあっさり取れたりするのだろうがあいにく俺はただの一般人だったらしく普通に失敗した。

聞いた話だが簡単に取れないときは少しずつ獲得口にずらしていって取るらしい。

彩乃が「次は彩乃がやってみる。」と言ってお金を入れチャレンジしたがダメだった。

その後、数回チャレンジしてなんとか取ることが出来た。


もちろん彩乃のために取ったので「はい。彩乃。」と彩乃に手渡す。


「えっ、彩乃に?優也くんが取ったから優也くんのだよ。」


「彩乃のために取ったんだから彩乃にあげるよ。だいたい俺には似合わないよ。」


「ほんとにいいの?」


「もちろん。」


「ありがと。大切にするね。」と言ってぬいぐるみを優しい笑顔で抱き締める。

その顔を見ただけで取れてよかったと思った。

ふと時計を見ると居酒屋の予約時間が迫っていたので今から向かうことにする。

俺たちの通う大学の近くにあり同じ大学の学生もよく利用する安めの大衆居酒屋だ。


「そろそろご飯の時間だし行こうか。彩乃が前に連れていってくれたようなお洒落な店じゃなくてたまに行く普通の居酒屋だけど。」


「ううん。」彩乃は首を振りにっこり微笑む。


「その方が優也くんがいつもどんなとこに行くのかわかるから嬉しい。」


「そう言ってもらえてよかった。」


二人で居酒屋に向けて歩き出す。

俺が前を歩き彩乃が少し斜め後ろを歩くという微妙に距離のある位置取りだった。

もちろん俺が車道側を歩くし今日のデートで把握した彩乃の歩くペースに合わせて歩く。

今日の目的を考えるともっと寄り添って歩いたり手を繋いだりしたほうがいいのかもしれないがそもそもそういう関係ではないので出来ない。

彩乃の誘惑モードが発動すれば出来るかもしれないが今の彩乃は嬉しそうにニコニコしているだけだった。

しばらく歩き目的の居酒屋に到着し二人で中に入った。

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