第二十話
金曜日の夜、バイトから帰ってシャワーを浴び夜ご飯にスティックタイプの栄養補助食品とエネルギーチャージゼリーを食べた俺は漫画を見ていた。
バイトの後輩の村田さんからもうすぐ新刊が出ると聞いたので前刊を読み直すことにしたのだ。
しばらく読んでいるとLINEの通知音が鳴った。
スマホのロックを解除して見てみると鈴音からで『今からTELしていい?』と書いてあった。
俺は『大丈夫』とだけ打ち込み送信してまた漫画を読もうとしたのだがすぐにスマホの着信音が鳴り出した。
「もしもし。」
『もしもし。優也、おつかれ。今日バイトだったんでしょ?ご飯と風呂は終わった?』
「もう済ませたよ。どした?」
『ちゃんとしたもの食べたの?』
「栄養的には大丈夫なはずだ。」
『またそういうのなのね。まともなもの食べなさいよ。』
「おかんか。それよりどうしたんだよ?」
『そうそう、先に言っとこうと思って。里佳に優也のLINE教えたからもしかしたらそのうち連絡あるかもしれないからね。』
「えーっと、あぁこの前の合コンの時の子か。たしか前に教えていいって言った記憶があるな。」
『でしょ。そのうち連絡あると思うから覚えといて。』
「わかった。それが言いたかったことなのか?」
『それと明日は食べに来るでしょ?ただ学祭までの土日の昼間は準備があるから大学に居るのよ。』
「夜だけだな。何時に行けばいい?」
『そうね。七時ぐらいには食べれるように準備するからそれぐらいに来て。明日、バイトはないの?』
「明日はないけど日曜日がバイトだよ。他になにかあるか?」
『あるけど明日うちで話しましょ。』
「わかった。じゃあな。おやすみ。」
『おやすみ。』
電話を切って鈴音が言いたかったことはなんだろうと考えたが全く思い当たらなかった。
まあ明日話すって言ってたし今考えても意味がないと考えることを放棄して電話の前に読んでいた漫画の続きを読むことにした。
翌日、夜に鈴音の家に行くぐらいしか予定がなかったので昼間はトレーニングをすることにした。
昔に比べるとかなり身体が鈍っているのでたまには本格的に身体を動かさないといけないだろう。
スウェットに身を包みまずはランニングで一時間ほど走って家から遠い公園にやってきた。
子供が遊ぶような公園ではなく広くて自然に囲まれていて大人がジョギングしている姿をよく見掛ける公園だ。
大学からも距離があり知り合いに会う確率も低いだろう。
ここでしっかり身体を動かして鈍った身体に鞭を打つ。
気付くと公園に着いて三時間が経っていたので身体が水分を欲している。
自販機で買った水を飲み干し少し休憩をしてから再びランニングで家に帰る。
家に付いていきシャワーを浴びてほどよい空腹感があったが今なにかを食べると鈴音の料理を美味しく食べられないと思うので我慢した。
夜、約束の時間が近付いてきたので鈴音のマンションに向かうことにしたのだが昼間しっかりトレーニングしたので今日はゆっくり歩いて行く。
何事もなくマンションに着き鈴音の部屋に入る。
「いらっしゃい。今日はなにしてたの?」
「久しぶりに身体動かしてた。腹減ったから早速なにか食わせてくれ。」
「もう出来てるからすぐ食べられるわよ。飲み物はビールでいいでしょ?」
「ああ。」
今日のメニューは生姜焼きだった。
鈴音の料理の腕は超一流と言える腕前でだいたいの料理は作れる。
定番料理から俺の知らないどっかの外国の料理までいろいろ作ってくれるが美味くなかったことがない。
「「いただきます。」」
「うまい。さすが鈴音だな。マジで料理の道に進んだほうがいいんじゃないのか?」
「それも考えてはいるけどまだ決めかねてるのよね。他にもやってみたいことあるし。他の仕事に就いても料理は出来るしね。」
「まあ鈴音ならどんな仕事もうまくこなせそうだよな。んで話ってなんなんだ?」
「学祭の最終日の後に実行委員会で打ち上げがあるのよ。そのとき優也に一緒に参加してほしいのよ。」
「なんでだよ。俺、実行委員じゃないから無理だろ。」
「だから準備たまに手伝ってよ。学祭の準備ってけっこう重たい物運んだりするから優也が手伝ってくれたら助かるし、打ち上げに参加しても違和感ないと思うのよ。」
「そもそもなんで俺が打ち上げに参加するんだよ?」
「学祭終わりとかってみんなテンション上がってるでしょ?そういう時って勢いっていうかノリなのかわかんないけど二人きりになろうとしたり告白してきたりする人がけっこういるのよ。一緒に実行委員やった連帯感みたいなのを好意と勘違いしたりして。だから優也が側に居たらなくなりそうじゃい?」
「俺が居ても誘ってくる奴はいるだろ?俺にそんな抑止力はねえよ。」
「全く無くはないでしょ。それに絶対二次会、三次会に誘われると思うけど優也が帰るときに一緒に帰るって言えば断りやすいのよね。」
「またお前と付き合ってるて噂が再燃しそうだな。」
「今さらじゃない?再燃もなにも今でも思ってる人けっこう居ると思うわよ。」
「かもな。まあいいよ。手伝いが必要なときは連絡してくれ。」
「ありがと。ちなみに里佳も実行委員だから仲良くしてあげてね。」
鈴音のお願いを断るという選択肢を俺は持っていない。
学祭という陽キャのイベントに携わるようになり地味な大学生活がどんどん遠退いている気がする。
「それと今日話したかったことがもう一つあるのよね。」
「そうなのか?なんだよ?」
「大学の三女神の事なんだけど……」
「……………」
学祭なんかよりよっぽど厄介な話が始まるらしい。
読んでいただいた方ありがとうございます。
もし面白いと思っていただけたら拡散してもらえたらうれしいです。
なるべく多くの方に読んでいただきたいです。
よろしければ感想や評価もお願いします。
いいねやブックマークもして頂けたらうれしいです。
これからもよろしくお願いします。




