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第十四話

夜、早速神崎からトークが届いた。


『伊庭さん、なにが食べたいですか?どうな物がいいが聞き忘れたんで教えてくださーい♪』


これといくつかのスタンプが送られてきた。

なぜかトークを見ただけでテンションが高いのがわかった。


『好き嫌いはないから神崎の好きなものでいいよ』


『じゃあアタシの行ってみたかったお店にしますねー♪バイトとかしてますか?何曜日が空いてるか教えて下さーい♪』


『水曜日、金曜日がバイトだからそれ以外なら大丈夫だよ』


『でわでわ火曜日にしましょー!お店はアタシが行きたいとこ予約しますねー♪』


『リョーカイ』


ここで神崎とのトークは終了した。



翌日、京條さんと出掛けるのだがまずは服装に悩んでいた。

いつもの大学に行くような格好はなしだと思うが気合いを入れすぎると目立ってしまう。

眼鏡なしで髪型も整えよっぽど親しい人以外には俺だとわからないようにするのはヤル気満々なようで京條さんに引かれそうな気もする。

とりあえずそれなりに見れる程度でいいかと思い、白シャツに茶色のジャケット、黒のスキニージーンズを選んだ。

約束は昼なので俺は十一時半に駅に着いたがまだ京條さんは来ていなかった。

十分ほどスマホに目を落としながら待っていると待ち人が横から声を掛けてきた。


「伊庭さん、お待たせしました。」


俺は待ち合わせのお決まりの「全然待ってないですよ。」というセリフを返しながら全く違うことを考えていた。

京條さんはホワイトのオフショルダーニットに淡い空色のプリーツスカートで前に見たときよりかなり大人っぽい雰囲気で幼顔とのギャップで俺は平常心を保とうと必死だった。


「今日はよろしくね。お礼のお出掛けだし夜は隣街のお店を予約してるからそれまでは近くのショッピングモールに行こうと想ってるけどいいかな。」


「ああ…いいですよ。京條さんの考えたプランで行動しましょう。」


「彩乃のことは彩乃って呼んでほしい。出来れば敬語も止めてほしい。彩乃も名前で優也くんって呼びたいけどダメかな?」


「じゃあ……彩乃、なんか恥ずかしいね。先輩なのにいいのかな。」


「彩乃は優也くんと先輩後輩じゃなくて普通の友達になりたい。今日もお礼だけど友達として遊べたらうれしいな。」


「わかったよ。今日は楽しもうね。」


「うん。」


二人で切符を買って電車に乗り隣街のショッピングモールにやってきた。

二人とも昼を食べてなかったのでまずはカフェに寄ったがそこで幼く見えていた彩乃の予想外の一面が見れることになった。

俺はフレンチトーストとコーヒー、彩乃はケーキと紅茶を頼んだ。


「このケーキおいしい。たまたま入ったカフェだけど当たりです。トーストはどうでした?」


「普通かな。正直、食に拘りとかないからね。彩乃はやっぱり甘いもの好きなんだね。」


「はい。優也くんも食べてみる?」


俺は「いや。いいよ。」と言おうとしたがそれより早く彩乃はフォークで一切れ俺の眼前にケーキを差し出す。


「どうぞ。」


「えっ?いや……」


「もしかして恥ずかしい?優也くん顔が赤いですよ。」


「うぐ…」


自分でも顔が熱くて赤面しているのはわかっていた。


「ふふっ、優也くん可愛い。意外とこういうことに慣れてないんですか?照れてる優也くんホントに可愛いですねぇ。」


彩乃の表情を見て俺は戦慄する。

幼く見えていた顔は鳴りを潜め小動物を前に獲物を狙う猛獣な表情だった。

それでいてどこか俺をからかうような愉しいような表情にも見える。

その表情に耐えられず俺はパクっと差し出されたケーキを口に含む。


「優也くん、おいしい?」


俺は味を感じる余裕もなくただ「おいしいよ。」とだけ答えるのだった。

その後はどんな会話をしたかよく覚えてないがカフェを出る頃にはようやく俺の気持ちも落ち着いてきてモール内をゆっくり見て回ることになった。

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