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第百二話

先にやるアクティビティはSUPということだった。

インストラクターの教えに従って乗ってみたが俺はすんなり立つことが出来た。

鈴音と伊佐もすぐに乗ることが出来て、彩乃は多少苦戦したが乗れるようになった。

慣れるとパドルで漕いでもボードは安定していてインストラクターの後に付いていくことが出来た。

海が綺麗なので海底まで見えてパドルがあることで移動も出来る。

ある程度するとインストラクターから離れなければ自由にしていいと言われた。


「乗ってみるとなかなか気持ちいいわね。」


「だな。流行ってる理由がわかるな。」


「優也さーん、見てくだ……あー、うげっ!」


伊佐を見るとなにをやってたのかわからないが女性があげてはいけないような声を出しながら海に落ちる瞬間だった。

すぐに海面に顔を出しボードに捕まっているので無事なようだ。


「いやー、調子に乗ってやっちゃいました。」


「大丈夫か?」


「はい。でもボードに上がれません。」


そこでインストラクターが近づいてきて伊佐がボードに上がるのを手伝ってくれた。

俺なら一人で上がれると思うが女性には難しいだろう。

俺と鈴音は割と器用なので落ちることもなく、彩乃は落ちないようにあんまり動いてなかったので結局落ちたのは伊佐だけだった。

砂浜に戻ってきてすぐに次のバナナボートをすることになった。

ボートは縦に四人並んで座るタイプの物で俺はボートのバランスの問題で一番後ろに乗ることになった。

女性陣はアグレッシブな伊佐が前が良くて、怖がっている彩乃はなるべく後ろがいいということで結果的に年齢順になっていた。

モーターボートに引っ張られスロースタートして最初はみんな笑っていたがスピードが上がるにつれて笑いがなくなり悲鳴に変わっていった。

なんとか落ちないようにバナナボートに掴まっていた俺たちだが結局みんな海に落とされた。

最終的にはモーターボートの方向転換による遠心力でバナナボートがひっくり返り、どう頑張っても海に落とされるので座る順番にもあんまり意味がなかった。

落とされるのもこのアクティビジョンの醍醐味なので当たり前の結果なのだが。

アクティビティの店に戻りシャワーを浴びて元の服に着替える。

そこまでがこのプランのメニューだった。



「結局、あんたも落ちたのね。」


車に乗り込んで後ろに座った鈴音が言った一言だった。

今度は彩乃が助手席に座っている。


「そりゃそうだろ。ボートが引っくり返って落ちないって無理だろ?」


「そうだけどあんたのことだからそれでも取っ手を離さないのかなって。」


「引っくり返ったボートの取っ手離さなかったら溺れるだろ。」


「優也さんならそれでも離さず俺は落ちてないとか言いそうですよね。」


伊佐の発言に彩乃もウンウンと頷いている。

この三人は俺をなんだと思ってるんだろうか。


「あれで落ちてないとか言うわけないだろ。」


「あははっ、なんとなくよ。」


三人から俺は変わり者だと思われてそうだが俺から見たら大概この三人も変わり者だ。

じゃなければこの四人で旅行する事になんかならないだろう。

自分にもブーメランな考えだが。


「今からどうする?次のホテルにチェックインしてから飯にするか、飯食ってからホテルに行くかどうする?」


「そういえば伊佐ちゃん、夜はどこにするの?場所によってどっちが先か決めたほうがいいと思うんだけど。」


「えーっとですねぇ、候補が一つじゃないんですよー。石垣牛を出す焼肉屋かステーキハウス、海の近くで出来るバーベキューがあったんですけどどうですか?」


「うーん、バーベキューはどうかしらね?海ならもう堪能したし、焼肉屋とかステーキハウスのほうが美味しい肉がありそうじゃない?」


「彩乃はお肉以外の物があるほうがいいかも。」


「じゃあステーキハウスがいいかもです。そこならシーフードメニューも豊富ですよ。」


「じゃあそこにするか?」


「そうね。沖縄といえばステーキとシュリンプも有名だしいいんじゃない?」


「よし、そこにしよう。どの辺にあるんだ?」


「ちょっと待ってくださいね。鈴音さん、ホテルってここですよね?」


後部座席で伊佐は鈴音にスマホを見せて場所の確認をしている。


「そうね。お店はホテルの手前みたいね。先に食べてからホテルに向かいましょうか。」


「そうするか。」


彩乃はナビの設定がわからないようなので伊佐に店名を聞いて俺が行き先設定をした。


「あっ、人気のお店みたいのんで電話してみますね。」


俺はとりあえずナビに従って車を走らせる。

電話が終わった伊佐が申し訳なさそうに声をかけてきた。


「すみません。一応、予約は出来たんですけどちょっと待つことになるかもです。」


「一時間とかか?」


「いえ、十分、十五分ぐらいなんですけど……」


「それぐらいならいいじゃない。伊佐ちゃん気にしすぎよ。」


「だな。ちょっと待ったほうが旨く感じるんじゃないか?」


「ありがとうございます。」


予約は出来ているということだったのでコンビニに寄り夜に飲み食いする物を先に買い、車をゆっくり走らせて店に着くと待つことなく席に着くことが出来た。

雰囲気のいい洒落た店だが値段もそれほど高くなくて人気のありそうな店だ。

俺と伊佐はビーフステーキ、鈴音はアワビのバターグリル、彩乃はガーリックシュリンプを頼んだ。


「優也はお酒飲んでもいいわよ。ここからホテルまで近いみたいだし私が運転出来るわよ。」


「いいよ。みんなで飲めるならともかく俺だけ飲んだりしないよ。」


「優也と一緒に二人も飲んでいいわよ。彩乃さんは飲んだらダメか。」


「うん。彩乃は昨日みたいに飲んだら寝ちゃうから。」


「アタシも飲みませんよ。後でホテルで飲みましょうよ。」


「だよな。わざわざ店で高い酒飲むことないだろ。」


「そのほうがいっか。」


出てきた料理は当然のようにシェアし合って食べた。

人気店だけあってどれも旨くてこの店を見つけた伊佐に感謝だった。


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