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第十話

週明けの月曜日は何事もない一日だった。

翌日、朝から講義を受けて次のコマはないので帰るか迷っていたところで鈴音に誘われて話をすることになり中庭にあるベンチに向かった。


「ねぇ、優也。今週金曜日は空いてる?前に言ってた合コンなんだけどこれる?」


「予定はないけどホントにやるのか?今は特に出会いとか求めてないんだよなぁ。」


「またそんなこと言ってんの?早く新しい彼女見つけなさいよ。いろいろ出会いをセッティングしてあげるわよ。今回のも私が主催だからいい娘ばっかりよ。」


「とりあえず行くけどこのままの俺で行くからな。」


「しっかりオシャレして来なさいよ。絶対モテるわよ。あっ、ところであんた一個上の先輩で癒しの女神って言われてる人知ってる?」


「知らん。お前が慈愛の女神で今度は癒しかよ。どうやって癒してくれんの?」


「見ればわかるんじゃい。ほら、今こっちに歩いてきてる三人組の真ん中よ。」


鈴音が見ている方向に目を向けるとつい先日関わった三人組がこちらに向かって歩いていた。

薄々そうじゃないかと思っていた。

最初はだいぶ年下と思って助けたが前回で同年代だとわかったのでその可能性もあるとは想っていたがまさかホントに同じ大学のしかも一個上の先輩だったとは。

とりあえず見つからないように下を向こうとしたがその前に銀髪の女の子が俺の顔を見てビックリしていた。


「やっぱりあんたが助けたのってあの人なのね。なんか話したそうに見えるから私は行くわね。合コンのことはまたLINEするわ。じゃあね。」


鈴音はヒラヒラっと手を振って去っていった。

入れ替わりで三人組が近付いてきて赤髪の女の子が話しかけてきた。


「あっ、やっぱり同じ大学だったんですね。先日はありがとうございました。」


「あー、俺が一個下みたいなんでタメ口でいいですよ。あんま目立ちたくないんで出来ればこの前の話はなしでこのままスルーしてくれて大丈夫です。」


周りの学生から注目されている気がする。

ただでさえ鈴音と仲が良いと噂されてるのににさらにもう一人の女神様と接点があると思われると俺の静かな大学生活が脅かされるのは間違いない。


「後輩だったんだねぇ。私はお礼も言えたしいいんだけどアヤがちゃんとお礼したいって言ってるんだよねぇ。」


「あの……この前はホントにありがと………彩乃はお礼がしたい。今度、ご飯でも行きませんか?」


俺は「うーん…」と考える。

ここで断ってもまた大学で何度も誘われるような気がする。

一度ちゃんとお礼を受けたほうが後々面倒にならないだろう。


「わかりました。じゃあ次の日曜日なら空いてるからその日でどうですか?ただ、この近くは目立つんで出来ればちょっと離れた場所がいいんですけど。」


「じゃあ日曜日のお昼に駅で待ち合わせ。どこに行くかは彩乃が決めておく。」


「じゃあそれで。では失礼します。」


もう手遅れかもしれないが俺は目立たないようにその場を足早に去っていった。


■ ■ ■



「アヤ、ちゃんとお礼言えたね。」


遥は人見知りの彩乃が頑張ってお礼を自分で言えたことに驚いていた。


「うん。緊張したけどお礼に誘うことも出来た。」


「しっかしトモの言ってた通り意外と顔は良さそうだったね。しかもこの前と違って猫背で暗そうな雰囲気してたけどあれわざとそう見せてるよね。」


「だろうね。理由はよくわかんないけど。私の情報通り中里さんと仲良さそうだったけど私達が近付いたら離れたし付き合ったりはしてなさそうだよね。」


友子の言葉に彩乃は安堵し日曜日に仲良くなれるように頑張ると決めたのだった。

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