なにごとかの物語
私には書く才能がない 足りない語彙と表現力
書きたい青臭さはある どうしようもない物語
私には書く心得がない 目の前には真っ白な紙
書きたい心持ちはある 胸の中には朱色の願い
私には書く主題がない 心から出てこない言葉
書きたい文字列はある 人から貰った想像の羽
私には書く時間がない 手帳にある日々の生活
書きたい時の栞はある 脳裏にある刹那の記憶
私には書く場所がない 不安と苦悩に揺れる今
書きたい世界観はある 現実と空想に揺れる文
私にはなにものもない 私にはなにごとかある
書きたいと思いながら 今日も文字を連ねゆく
書くのが好きではなく 文が好きなのでもなく
私の中にそっと息づく なにごとが好きなのだ