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いざ、冒険の旅へ!

 セブカル島には、東西南北に4つの港がある。港といっても、船ではなく···


「すごい。空港みたいだ」


「まぁな···」


 大小様々なモニターに映し出される色々な言葉。


「日本語もあるんだ。でも、僕はどこに行くの?」


 渡された番号と日本と書かれた番号が違うのは、すぐにわかった。


「No.8924は、この通路だな。俺もどこに行くのかは知らない」


 奨伍は、周りを見渡すとテレビで見たことのある服を着た人や今年亡くなった狩野五郎もいて驚いた。


「僕、生まれ変わるなら同じ人間がいい」


「そうだな。俺は昔とあまり変わらなかった」


「おじさんも昔と人間だったの?」


「当たり前だ。ま、俺の目の前にたったのは男の神だったけどな···」


 通路を進むとまた人の列!


「あのトンネルも空港にあった」


 貴金属探知機が、あるゲート。


 それらを通過し、カプセルゲートへと進んだ。


『No.8924ですね。ハレク様と高岡奨伍さまですね』


「うん」


「はい」


『では、こちらにお入り下さい』


 受付にいたお姉さんが、僕とおじさんを包みたいなカプセルの中へと通し、扉がしまった。


「おじさん! 僕たちどうなるの?」


「わからん。俺、ここにきたの初めてだから」


 カプセルの中が、なにやらチカチカとし始めたら、音もなく扉が開いた···



「ここは、どこだろう?」


 辺り一面畑のような青臭い匂いが鼻をつく。


「おじさん?」


 先程まで一緒にいたハレクの姿がなく、奨伍は泣きそうになった。


『ここだ、奨伍。お前の足元』


 シャリッ···


 奨伍が、足元をみると、地面にキラキラした不思議な形のペンダントが落ちていた。


「おじさん?」


『実はな、あのカプセル。願ったモノに慣れるシステムもあるんだ。初めてきたというのは、つまり···』


「嘘?」


 奨伍は、そのペンダントを掌に乗せてそう語りかけた。


『お前、今の自分の姿見たか?』


「ううん。今も昔も子供だもん」


『手を天に掲げ、ラミーと唱えろ。そうすれば、お前の今の姿がわかる』


 奨伍は、言われた通り、


「ラミーッ!」


(ん? これ僕の声?)


 唱えた瞬間、目の前に鏡のような物が現れ···


「嘘だ···」


『嘘じゃない。たぶん、心の中で大人になりたいと思ってたりしたんだろ?』


(確かにそうだった。弟が生まれて、ママは僕だけのママじゃなくなったから。パパも···)


 着ていた服は、その身体にしては小さすぎて、木陰でモニターから出した服に着替えた。入れてあった服も大きくなっていた。靴も···


『俺は、今から案内役に回る』


「うん。わかった、ハレク」


 ペンダントを握りしめて大きく深呼吸をした。


「でも、どっち行くんだ?」


『はぁ···。そのまま、右に行くとトレージという村がある。まずは、そこへいけ』


「うん。右だね」


 ハレクの言った通り、奨伍は右に延びた道をゆっくりゆっくりと歩いていった。



「おしっこ···」


 藪の奥に潜り、立ちション···


「変態···。見ただろ、俺の···」


『さーねー。ふふんっ』


 しまう時、ペンダントが大きく揺れた···


 道を歩く···


 歩く···


 ある···


「どこまで歩けばいいんだよっ!」


 行けども行けども、村は愚か人っ子ひとり見つからない。


『おっかしいなー。右へ10km歩いた』


「ハレク? いまなんて言った?」


『あ? 右へ10kmと言ったが?』


「お前、ぜってー川に沈めてやっからな!」


 喧嘩しながらもひたすら歩き、トレージについたのは陽が落ちそうな頃だった。


「寂れた村だな」


『静かだな』


 確かに、静かな村だ。灯りはついてはいるものの、音があまりしなかった。


「どうすんだ? こんなとこに泊まれるとこでも···なさそうだな」


 どうやら、あまり歓迎はされてはいないらしく、灯りが漏れてる窓からチラッとこちらを伺うような視線を感じた。


「外で寝るのか? 俺、キャンプとかしたことねーよ?」


『奨伍。モニターでなんかわかるか?』


 ボタンを押し、モニターにトレージの情報が映し出されたが···


「なぁ、この村って大人と赤ん坊しかいねーの?」


『わからん』


 映し出された人口数には、成人した男女と赤ん坊の数しか表示されなかったからだ。



 とりあえず、視線を感じながらも廃屋みたいな小屋へとたどり着いた。


「灯りは? どうすんだ?」


『灯りは、ジライト。炎は、ファイヤーだ』


 目を凝らし、様子を伺うとうっすらと周りが見えてきて、


「ジライト」


 唱えると奨伍の指先に灯りが灯る。


『お前、バカか? 上を見て唱えろよ』


「······。イライズ。ほんと、ムカつくな」


 天井の一点を見つめ、ジライトを唱えると、灯りがともり部屋がわかる。


「これか?」


 部屋の真ん中辺りに、小さな砂場みたいなのがあり、木の燃えかすがあった。


「ファイヤー···」


 小さく唱えただけなのに、メラメラと炎は大きくなっていった。


「囲炉裏、か。じゃ、話ははえーな。ってか、ハレクお前は飯とか···」


『食えるわけねーだろっ! バカにしてんのか?』


「仕返しだ。ふふん」


 モニターで、パンとコーヒーを出し、温めた湯を注ぐ。


「はぁっ、うまっ!」


 食べ慣れた味のパンでも、歩き疲れた身体にはかなり響き、いつしか眠りに落ちてしまった。

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