電気人間はネット社会の夢を見る
七月三十一日 土曜日
やはり想像通りけたたましいエンジン音に起こされた。
目覚まし時計を見るとまだ四時を少し回った程度である、余裕を持って四時二十分に合わせていたのに...
「おはよー朝だぞレイタぁー」
「おはようございます。それと近所迷惑ですからドタドタ上がらないでください、それと」
「あぁもうっ!お婆ちゃんみたいな小言ってー」
僕は起き上がり周囲を見回したあれ、僕のカバンがない。
「お姉さんカバンどうしたの?僕の」
「いれといたよ、なんか馬鹿みたいに重かったし投げちゃいけない雰囲気漂ってたしそりゃもう丁重に」
「ありがと、中にノートパソコン入れてあるから」
「やっぱりかぁお姉さんの想像した通りだったわ」
「じゃあさっさと行くよー」
「ちょっとまって寝癖と歯と顔ぐらいはやらして」
「まあしょうがないわね。いいわよなるはやでね」
下に駆け下がり急いで顔を洗い髭を剃り寝癖を治す。
それらを終えササッと着替えると、もうお姉さんは車に乗っていた。
「遅いわよ早く乗りなさい」
「アクアラインですか?」
「そうよ、飯は吉牛かマックかそばね」
「飯にかんしちゃ文句はないんですけどお姉さんアクアラインアホみたいに飛ばすじゃないですかぁ?」
そう、コスモという車に乗って爆音を響かせていることから分かるようにまあ俗にいう走り屋である。
「アホみたいにってなによ。私がバカみたいじゃない。あ、馬鹿だった」
「そういえばお姉さん、コスモってMTあったけ?」
「うん、ないよ。FDのぶちこんだの」
「相変わらずだね。前はSVXにレガシィのミッションいれたんだっけ?」
「SVXの話はしないで、宵越しの車は持たない主義なのにあれは峠も楽しいいい子だったからぁ」
そんなこんな言ってる間に大黒PAである。
今の所そばのつもりだがそばを選べることやら、いつも彼女はマックを選ぶしそれを他人に強要するのだ。
「今日は私そばにするレークンは?」
「あ、僕も」
「よし、きまりっ。買ってくるから席とっといてあと水ね」
席に煙草をおき、水をとってくるのだ、それでしばし待とうかと思ったが、トイレに行きたくなったので煙草と水を置いたまま便所に行き用を足し、帰ってくるそうしたらお姉さんがニヤニヤしてた。
「レークンちゃんと高校生なんだね...コンピューターにしか興味ないみたいで心配してたけど。普通に煙草とか吸う高校生なんだね、お姉さんちょっと安心しちゃった」
なぜか、煙草を吸っていることを半泣きになりながら、褒められているという不可思議な状態に陥ってしまった。
「さっ伸びるから食べましょう」
それから僕達二人は他愛ない話をしてご飯を食べていた。
お姉さんがトイレに行きたいというので鍵を預かってドアを開けて暖気しておく。
「おーただいまただいま。暖気ありがとっ」
再び本線に入りアクアラインに潜って行くアクアライン内であほみたいに踏むのだ。
「ねえお姉さん?」
「なーに」
「いま何キロ出てる?」
「うーん155ぐらいかな」
「うそでしょ?」
「ほんとよー。但しマイルだけど」
「155マイルってことは...250キロっー」
「そうなりますねぇあんただってバイク乗ってるんだからスピードはロマンってことは分かるでしょ?」
「それとこれは話がべつだよ!免停怖くないの?」
「実はお姉さんさ切符切られたことないんだよね」
「うそでしょ」
「不思議なことに本当なんだよね」
そう言って彼女は不敵に笑った。
高速をでて鴨川方面に国道をぶっ放す三桁国道だから警察も少ないのだ。
「お姉さん今日は一人じゃないんだよ。未来ある若者を一人のっけてるんだよ」
「そーね。気をつけて飛ばすわ」
それから私は少し寝てしまった。
「起きて、もう着くわよ」
「寝かしてくれるの珍しいですね」
「流石に今日はちょっち早く起こしすぎたからね」
「もう連絡入れたの?携帯?」
「携帯まで通らないからハムで」
まだ意外と進んでたり進んでなかったりなんだなと思った。
「おおー見えた見えたクソ田舎だ」
それを自分で言うかなと言う言葉が喉まで出たがのみこんだのだ。
やっと無駄に大きい実家に帰った。
「お帰りなさい玲汰さん」
毎回お帰りなさいというのは婆さんだ一応長男の長男だからなぜか逐一特別扱いしようとしてくる、一応本家らしいが生まれも東京の城南育ちも東京の城南だから全くややこしいなとしか思っていない。
「どうも、ただいま」
「上がって上がって」
婆さんがまた最近増築したという扉をあけ入っていく。
「あ、そういえば︙」
「なんです玲汰さん?」
「玄関も直して土間なくしたんですね」
「やっとこの家のボロも直せたってところですからね。綺麗でしょう?」
また頑張って書きます