電気人間はコンピュータの夢を見ない
第一章夏
一九九九年 夏
七月三十日 金曜日
僕は加藤玲汰東京に住む高校二年生少しオタクっぽいとよく言われるが普通の人間だ、母親が倒れ、父は海外に単身赴任中であったため、父の実家に夏休みの間預けられることになった。
だが父の実家というのは房総半島の端っこにあり中学生の頃電車で行ったが恐ろしく時間が掛かったということを覚えている。
「あーあっすごい遠いんだよなぁあそこ・・・」
まあ文句を言っていても荷物の支度は進まないので、だまって支度をすることにした。
「ピロリン」
と携帯がなった、父からのメールだ前のメールは先週で来週から田舎に行けということのようなないようである。スマホを触りメールを見た、その内容は、いかのようなものであった。
「玲汰、元気にしているか?私は今仕事で東南アジアの某国にいます、本題に入りますが明日のさざなみ一号にのれ、詳細はおばさんからメールが来るはずだ 父より 」
何時も通り味気がない文面だなぁ、俺も人のこと言えないけどな。
何時も通りリビングの最新液晶TVでLDのアニメを見ていたところ。
「コツンッコツンッ」
とドアを叩く音がする。来客だろうか。
「はいー」
と答える、誰かと約束していたかと思考を巡らすがどうにも出てこない。
「佐藤です」
と少女の 声がした、そうだ委員長の佐藤さんと一緒に勉強をする約束をしていたのだ。
鍵を開きドアを開け中に招き入れる。
そこには背の高いうら若き少女が立っていた。
「いらっしゃい」
「少し遅れちゃった、ごめんね。」
「いいのいいの入って入って」
彼女は白いひらひらのついた真っ白なワンピースと、麦わら帽子をかぶっていた。
不覚にもかわいいなと思ってまじまじと見つめてしまった。
それに彼女が気づいたのか、どうなのかはわからないが、私の方を見てこう訪ねてきた。
「なんか、私についてる?」
「いや、別に」
「でも、私のこと凝視してたでしょ?」
「いや、まあ...」
「なんで見てるの?」
「あー、えー」
「もしかして可愛いから?」
「可愛らしい服だなぁと思いまして」
「やっぱり...いい女には、タバコと屋上と...そしてヒラヒラ服だわね」
「まさか委員長タバコ吸うの?」
「すこしね、こんなとこじゃなんだしなかいれてよ」
ドアの鍵を閉め、居間へと委員長を通す。
「お茶煎れるね、それともコーヒが良い?」
「麦茶はあるかしら?」
「あ、あるけど」
「じゃあそれにして頂戴」
「ただいま~」
冷蔵庫を開け、麦茶の入っている瓶を取り出し、背伸びをしてコップを棚から取ろうとするが少し背が届かない。近くにある踏み台を取ろうとすると、それを持っている「少女」が立っていた。
「あ、ありがとう」
そう言い手を前に出す。
「嫌よぉ」
と少女はほくそ笑む。
「なんでだよ」
と困ったふうな顔をする。
それに少女はノッてきたかのような表情をして、口を開ける。
「それじゃあこれから一日下の名前で呼んでくれたらいいわ」
「嫌ですよー...」
「あら?なんで」
そう、いやなのだ。まず僕はまず彼女の下の名前を知らないし、女性を下の名前で呼んだことすらないのだ。
喋れるのは親類縁者と教師くらいである。
それに同年代の女子という存在が嫌いなのだ、今回の訪問だってゴリ押しで約束させられたと言っても差し支えないのだ。
彼女は見透かしたかのような目で言う。
「あら、もしかして...私の名前覚えてないんじゃないでしょうね?」
冷や汗をかきながら僕は言う、この際はっきり行ったほうが今後のためだろう。
「スミマセンそのとおりです...」
頭を下げながらそう言い放った。
「やっぱりね。でも怒ったわ女の子の名前は一回聞いたら忘れちゃいけないのよ」
「すんません...」
「でも優しいから今から言うことを守れば水に流してあげる」
「ホントですか?」
「ホントよ、なんでそんなくだらない嘘をつく必要があるのかしら」
「わかりました、委員長の言うことを聞きます」
「なんでも聞く?」
「ええ、命にかかわらないことなら」
「勿論関わらないわよ。キミって面白いわね。あ、あと私の名前は結菜、佐藤結菜よ」
「お願いって?」
彼女は少し鼻を鳴らし「条件は簡単、これから下の名前で呼ぶこと、そして...」
息を飲み込み僕は口を開く。
「そして...?」
少女は不敵に微笑みこうい言った。
「私の彼女になりなさい」
「嫌と言ったら?」
「酷いわ。それとあなたは後悔するわ」
「分かりました、飲みます」
「あら意外ね、もっと醜く抵抗するかと思ったわ」
「なにか物凄い説得力があったので...」
「まあそれでいいわ」
彼女は不満げにつぶやく。
「それじゃあ踏み台貸してください」
「嫌よ」
「なんでですか?」
「それは私が取るからよ」
といい少女は少しだけ背伸びをし、食器棚に手をのばす。しかしこれは悲劇の始まりであった。僕の身長は158cmそして少女の身長は172cmである。そう、谷間に顔が当たるのだ。
胸が当たった瞬間少年は狼狽した、これは命の危機だ相手は何分タバコを吸っている不良だ。
根性焼きなんかやられては僕の不健康なまでの真っ白い肌が台無しだ。
少女は意外な言葉を放った。口を開く。
「キャッ!変態さんね。私としたいの?むしろさっさとしちゃう?」
「いや?そういうのはもっと親交を深めてからでしょ?」
「まあ、それもそうね...」
「とりあえず落ち着いてお茶でも」
「そうね」
そうすると少女は華麗に歩き椅子に座った、これが立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花というものであるのだろう。
「外は暑いけど中は少し寒いわね」
そういい少女は白い柔肌を少し伸ばしエアコンのリモコンに手を伸ばした。
「二十八度で良いかしら?」
「それでいいです」
僕と少女の間にはしばらくの沈黙が少しの間支配した。
必然的にもその均衡は少女によって破られた。
「煙草吸っても良いかしら?」
「ここでですか?」
当然とでも言う様に少女は頷いた。
「だめです。部屋にヤニの匂いがつきますから」
僕は当然拒否した、だが完全に否定し機嫌を損ねられたも困るのできっちりと予防線を張っておく。
「外で吸ってくれるなら付き合いますよ結菜さん」
少女は意外というような驚いた顔をして、それを誤魔化すようにおどけながら口を開きこう答えた。
「あら、真面目な君らしくなく意外ね。それと」
「それと?」
「結菜さんはやめて結菜でいいわ」
そう言うと少女は椅子をたち傍らに置いてあったカバンから、煙草を取り出す。
「何吸ってるんです?アメスピ、セッタ?」
「アメスピでもセッタでもないわキャスターよ。それと敬語はやめて」
私のほうが窓側に居たのでベランダの扉を開ける。
「暑いわね」
「そうですね」
「はい」
少女はそう言って煙草を私の口のあたりに突き出す。
「えっ...」
不思議そうな顔をして少女は顔をしかめ口を開く。
「まさかここまで来て吸わないつもりじゃないでしょうね?」
「吸うなんて一言も言ってないがただ付き合うと言っただけ」
「でもその言い方は誰がどう聞いても一緒に吸うってことじゃない」
「分かりました」
僕はそう言い口でその煙草を加える。
正直僕は生まれてこの方真面目に生きてきたことだけが誇りであったのだがそれがまた一つ崩れていったのだ。
「んっ」
少女はそう息を漏らし小さな真っ赤な唇に煙草をくわえ火をつける。
それはだいぶなれた手付きであったが商売女のそれとはまったく違ったが不覚にも美しいと感じてしまった。少女は少し息を吸い込みその後吐き出した。
「あのー火は?」
僕は延々と放置プレイをされては男がすたるので思い切って口を開く。
「んっ、こっち顔」
そう言い少女は僕の方に顔を向けてきた。
そして器用に火のついた煙草を僕のついてないそれの先端に そっと近づけ火をつけた。
それは、その時がたとえ八月であったとしてもあまりに熱い恋の始まりであった。
「今やったことなんて言うか知っている?」
「知らないです...」
「シガーキスって言うの素敵でしょ」
「僕」はただただ無言でうなずくことしかできなかった。
「あっ、そうだ」
そう言って少女は煙草を口から話しあどけない表情でこちらを見てきた。
煙草を口から話して普通に話す姿はクラスの連中いや教師連中誰しもが脳内で描く「委員長」そのものであった。
「携帯もってる?」
「持ってるけど」
「IDO?ドコモ?」
「ドコモだけど」
少女は嬉しそうな顔をして再び煙草をくわえ話し始める。
「私と同じだね」
「じゃあ...もしかして同じやつ?私はNなんちゃらだけど」「ぼくもだね」
「おそろいだね」
二人は目を見つめ合い笑いあった。
「もう暑いし煙草も尽きたしなか入ろうよ」
「そうね」
少女はさっきまでと人が変わったかのように素直にこたえた。
中に入ると少し設定温度が高いとはいえ冷房が入っていたから少し肌寒かった。
「冷房消す?」
「いやいいわ。消したりつけたりするとエコじゃないらしいわ」
「へえそうなんだ」
「じゃあ始めましょう」
「え?何を」
「何をって勉強じゃない?そのために集まったんじゃないかしら?エッチなこと考えてたの?」
「いやそんなわけじゃ...」
「別にいいわ初めましょう」
それから僕達は二時間半くらいこれといった休憩もせずに勉強をし続けた。
空が赤くなってきたのでお開きにすることにした。
「送っていこうか?」
「ううん、いいの」
「大丈夫?」
「大丈夫よ、それといつデートする?遊べる最後の高校生の夏なのだから」「それについてなんだけどね...」
包み隠さずこれからの予定やここに僕一人で住んでいること、すべてを話した。
「そう...なら仕方ないわ。でもむこういっても連絡はすること」
そう言って彼女は僕に連絡先の書いてあるメモ用紙を渡してきた。
彼女は少し乱暴に玄関のドアを閉め、足早に去ってしまった。
僕は自室に戻りパソコンの電源を入れる僕は少しパソコンに自信があってこのマシンは最新のPentiumⅢと東芝製HDDに256MBのメモリにSPECTRA5400み最新のWin98搭載だ。
少し熱くなってしまったがとにかくモンスターマシンなのだ。更に常時接続のドックスだまあいわゆるケーブルテレビだ驚異の1Mbpsごえの回線で父との海外メールやファイルのやり取りもラクラクと言ったわけだ。
「うん?メールだでも父さんじゃないぞ」
「なんだHNはYuna.Sだと」
この人はここ半年は見かけていないがよくBBSでアニメのことや特撮の事を話していた人だ、コンピューターにもかなり詳しく尊敬しているネット上の友人であったが...まさかな。
「よし、ひらいてみるか」
「お久しぶりですねRK1982氏こと加藤玲汰君お気づきかもしれないけれど私は佐藤結菜。あなたの彼女。今年のクラス替えで玲汰君の名前があったからもしかして...とおもって少し探りを入れたというか電算機研究会の友人と話していた時にHNを教えていたのを少しのぞき見てしまったの、すみません。田舎には多分回線はないと思うけどよろしくネ。あ、それとインターネットでのことは学校ではひみつヨ Yuna.S」
僕の中に激震が走ったこんな学年のマドンナ(とまではいかないが)がこんなバリバリコンピューターに詳しくてアニメとかを見ているということが衝撃的であった。「メールの返信を書かなきゃ」
じつは田舎には最近までテレビはなくかつTV波が地形的要因で届きづらいので三年前にケーブルテレビが引かれ実家ではパソコンが使えるのだ。
更に父のThinkpad 310にK6-2を突っ込んでメモリ上限まで入れた最早電池持ちを無視した娘がいるのだ。
「メールありがとうございます、勿論秘密にします。田舎にはケーブルテレビが引かれていて父のThinkpadを持っていくのでできます。」
「送信っと」
どんなメールが帰ってくるか楽しみだ。
メールボックスを更新すると父からのメールが入っていた。
「玲汰へ 父さんだ止めたのだがバカ妹こと小百合おばさんが自慢の環境破壊マシンコスモで家まで多分迎えに来る振り切って電車で行っても止めないしむしろ金をやる仕事が詰まっているので手短だすまない P.S母さんにも電話してから行くように。 父さんより」
何時も通り単調なメールだ、うん。
まあおばさんが迎えに来るのはまあ想定内だしなんでもないのだが、母さんに電話しろとあの人がゆうのは意外というかなんというかである。
まあ、もともと電話はするつもりであったし、どうでもいいのだが。
母は入院しているとは良い昔風に言えばサナトリウムとかそういうたぐいである。
父お事業を不眠不休で手伝いなんとかバブル崩壊後でありながら会社を大きくできたのは母さんのおかげだろう、だがそのせいで倒れてしまいそれに負い目を感じたのかいいサナトリウムに入れたのだ。
よし電話かけるか。
下へ降り電話のところに行く。 「よし042-33120-935っと」
「もしもし佐藤です相模サナトリウム医院でしょうか?」
「はい、相模サナトリウム医院でございます」
若そうな25もいかなさそうな看護婦さんの声がした。
「あっ、佐藤さん前長電話してらっしゃった」
「そうです、すいません」
「大丈夫ですよ複数回線あるので、じゃあつなぎますね。」
「はい、お母さんですよ玲汰でしょ」
そこから他愛無い話を十分ほどして電話を切った。
今回は看護婦さんに嫌味を言われなかった、良かった。
とりあえず台所に立って見るのは良いのだがまったくもってバリエーションがないので飽き飽きしている。
まあ暫く田舎に行くし外食をしてもいいか。
私が豪勢な外食と言ったら三田の二郎一択なのだ玄関先に置いてあるカタナ250にまたがり一路三田へ向かう。
カタナというのは不人気の代名詞で知り合いの知り合いに合計5万もしないパーツの寄せ集めパソコンと交換したぐらいである。
いろいろと与太話をしている間に三田についた。
近くの路地にバイクを置き、歩いていくもう八時になるがまだ並んでいるだろうか、並んでいるだろうと考えて軒先までいったら臨時休業との札がかかっており、無駄足をふんでしまった。
とりあえず近くの吉野家にはいりちょうど金が余ったので煙草を買って吸ってみた。
やはりむせた、さっきは雰囲気に飲まれていたのだろう。
一番高いLARKを買ったのにと思いながらもとりあえずポケットに煙草を押し込み。
バイクに跨り家へ帰るこれからがテレホタイムだ盛り上がるぞ。
その前にノートパソコンの設定等々を済ましたいのだ。
考え事をしていたら、赤信号を通過しそうになってしまった。
家へかえり自室のマシンを起動させ同時にノートパソコンも起動させる、ノートは起動時からすごい熱だ少し電圧を下げたほうが良いな。
起動まで落ち着こうと少し外の空気を吸いにベランダに行こうとしたらまだ少女の持っていた煙草がテーブルの上に置いてあった。
ベランダに行って煙草を取り出し、ちょっとカッコつけたポーズをとってみた。
踊る大捜査線の織田裕二みたいにちょっとかっこつけて吸おうと思ったがライターがなかったので工具箱からボロの百円ライターを引っ張り出し火をつけた。
案外普通に吸えたむせたりというのも無かったこれは雰囲気云々というものではなく単に煙草の銘柄の違いとかニコチンの量とかタールの量なんかなのかもしれない。
五分ほど起動を待ちつつ夜風に当たっていたらもうメインマシンの方はもう起動できそうだ。
箱買いした缶コーヒーを開けながらとりあえずメールの問い合わせをする。
その間にノートパソコンの方の電圧を変更し再起動をかける。
「うん?メールが来てるぞ結菜さんかな?」
メールを開き文面を見ると小百合さんの文面だった。
「やっほーレータくんげんきぃ?とりあえず明日の五時に迎え行くからヨロシクゥ P.Sインターネッツばかりやって夜更かしすんなよ起きなかったら襲うぞ☆」
こんなバカっぽい文面だが地元の村だと上長をやっているし一応木更津高専を出ていてバカではないのだ。
噂によるとケーブルテレビ引っ張ってくるていうのは彼女の提案らしいし。それと文面から想像できるが二十五歳にもなってこんな痛いので勿論貰い手はいない、驚きだが田舎だともう行かず後家扱いらしい。
「よしデフラグ、デフラグ」
とりあえずデフラグを走らせ明日が早いので風呂に入る。
最新のガス釜なので保温機能もあり非常に便利だ。
「フーっ今日は疲れたー」
かなり疲れた精神的に疲れた、でも嬉しい出会いもあったしとりあえずプラマイゼロということにしておこう。
風呂を出てガス釜を止め、水を飲み用を足し床につく。
恐らく明日はけたたましいエンジン音に起こされるのだろう。
用語集的なもの
デフラグ・・・コンピューターに搭載されているディスクドライブ(HDD等)の断片を再構成しデータを最適化する当時のコンピューターには必須であった
カタナ250不人気バイクの代表マルチのカウル付きという当時のは流行に乗っていたが絶望的にデザインが駄目
ケーブルテレビ通常は有料放送などのある優先のTVを指すがこの場合は当時の一番高速な回線であった
Thinkpad当時はコンピューターマニアならば誰もが憧れたIBM 製高級ラップトップ
読んでいただきありがとうございますそのうち先も書きますばんばん評価お願いします。