表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/90

第72話:魔王と勇者の最終戦と騒がしき便器

俺、佐藤太一、18歳。


この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。


最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。


昨日はきさらぎ駅のトイレで静かすぎて心が消えかけたし、もう静かすぎる場所はマジで勘弁って思ってた。


騒がしくて活気ある場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を異世界にぶち込んでくる。


今日は昼に食った「ローストビーフ」が胃の中でモヤモヤしてて、肉の旨味とソースの重さが腹をギュルギュル鳴らしてる。


RPGっぽい気分でガッツリ食ったのが運の尽きだ。


トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。


「うおっ、異世界!?」


目の前には、魔王と勇者の最終戦の戦場。


魔王が「この世界は我が物だ!」って咆哮を上げてて、巨大な剣が「ガキーン!」と勇者の盾にぶつかってる。


魔法が「ドカーン!」と爆発し、地面が「ズズン!」と揺れてる。


遠くで魔物の軍勢が「ギャオオ!」と吠え、勇者の仲間が「負けるな!」って叫んでる。


で、俺はいつものように便器ごと、その戦場のど真ん中にポツンと出現。


「いや、マジかよ……魔王と勇者の最終戦でトイレって、騒がしすぎて死ぬだろ!」


すぐ横では、勇者が「光よ!」って剣を振り上げてて、魔王が「無駄だ!」って闇の魔法をぶっ放してる。


距離、5メートルくらい。


ローストビーフの肉臭が鼻に残ってても、焦げた土と血の匂いに完全に負けてる。


この激しい場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。


Tシャツが汗でビショビショで、場違い感がやばい。


「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。


でもこの近さ、魔王の「滅べ!」って咆哮や、勇者の「仲間を信じる!」って叫びが耳にガンガン入ってくるんだぞ!


戦場の空気が熱くて騒がしくて、便器が焦土に「ズブッ」と半分埋もれてる。


こんな壮大な場所で用を足すとか、羞恥心が魔王の魔力よりデカい。


騒がしすぎて、心が興奮で締め付けられてる。


腹の中じゃ、ローストビーフの肉とソースがグチャグチャ暴れてる。


時間がない。


こんな場所でミッションとか、心が騒音と羞恥で爆発しそう。


勇者が「これで終わりだ!」って光の剣を振り下ろす中、俺は必死に腹に力を入れる。


「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」


その時、魔王が俺のすぐ横まで飛んできて、「貴様ら全員!」って闇の波動を放った。


やばい、見つかる!?


俺は慌てて息を止めて固まる。


でも波動、俺をスルーして「ドゴーン!」と地面を抉っただけだった。


見えてねえよな……よな?


でもその瞬間、衝撃で便器が「ガタッ」と揺れて、「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。


戦場の喧騒に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。


勇者が一瞬「ん?魔物の唸りか?」って顔して首傾げた。


やばい、音でバレる!?


ぷすっ。


「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」


光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。


換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。


全身汗だくで、ローストビーフの肉臭が鼻に残ってる。


心がまだ異世界の戦場で震えてる。


息を整えながら、俺は呟いた。


「魔王と勇者の最終戦って……騒がしい戦場の前でトイレとか、活気ありすぎて心が崩れるだろ……」


考えてみれば、魔王も勇者も俺のこと本当に気づいてなかったよな?


「魔物の唸りか?」は偶然だろ。


でも、あの激戦の中でやった事実は消えねえ。


俺のメンタル、もう魔王の城みたいにボロボロだよ。


「ったく、次はどこだよ……もう騒がしすぎるとこはマジで勘弁してくれ」


ローストビーフは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。


でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ