第69話:桜島麻衣の撮影現場と騒がしき便器
俺、佐藤太一、18歳。
この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。
最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。
昨日は宗谷岬の大晦日で静かすぎて心が凍えたし、もう静かすぎる場所はマジで勘弁って思ってた。
騒がしくて活気ある場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想をロケ地にぶち込んでくる。
今日は昼に食った日本の「たこせんべい」が胃の中でモヤモヤしてて、タコの旨味とせんべいの塩気が腹をギュルギュル鳴らしてる。
江ノ島気分で食ったのが運の尽きだ。トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、桜島麻衣!?」
目の前には、江ノ島の海岸。
人気女優・桜島麻衣が「君のこと、嫌いじゃないよ」って台詞を言ってて、カメラが「ジーッ」と回ってる。
監督が「カット!もう一回!」って叫んでて、スタッフが「ライト調整!」「風よけ!」って動き回ってる。
波が「ザザーッ」と打ち寄せ、観光客が「麻衣ちゃんだ!」って遠くで騒いでる。
で、俺はいつものように便器ごと、その青春ラブコメ撮影現場のど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……桜島麻衣の撮影現場でトイレって、騒がしすぎて頭おかしくなるだろ!」
すぐ横では、桜島麻衣が「監督、次はもっと感情入れてくよ」ってクールに言ってて、助監督が「はい、次準備!」って走り回ってる。
距離、5メートルくらい。たこせんべいの塩気が鼻に残ってても、海風と機材の油臭に混ざって混乱だ。
この賑やかな場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツが汗でビショビショで、場違い感がやばい。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。
でもこの近さ、監督の「アクション!」って叫び声や、麻衣の「君がそんな気分でも…」って台詞が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 現場の空気が熱くて騒がしくて、便器が砂浜に「ズブッ」と半分埋もれてる。
こんな華やかな場所で用を足すとか、羞恥心が青春ラブコメの脚本より長い。
騒がしすぎて、心が興奮で締め付けられてる。
腹の中じゃ、たこせんべいのタコとせんべいがグチャグチャ暴れてる。
時間がない。こんな場所でミッションとか、心が騒音と羞恥で爆発しそう。
麻衣が「君と一緒にいたいだけ」とカメラ目線で言ってる中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」
その時、スタッフが俺のすぐ横まで来て、「ここに照明置くぞ!」ってライトを「ガチャン!」と設置した。
やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。
でもスタッフ、俺をスルーして「次急げ!」って離れた。
見えてねえよな……よな? でもその瞬間、波が「ザバーン!」って寄せてきて、水が「バシャッ」と便器に跳ねた。
「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。
撮影の喧騒に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。
麻衣が一瞬「ん?波じゃない音?」って顔して首傾げた。やばい、音でバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。
換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。
全身汗だくで、たこせんべいの塩気が鼻に残ってる。
心がまだ江ノ島の騒がしさで震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。
「桜島麻衣の撮影現場って……騒がしいロケの前でトイレとか、活気ありすぎて心が崩れるだろ……」
考えてみれば、麻衣やスタッフ、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 「波じゃない音?」は偶然だろ。
でも、あの熱狂の中でやった事実は消えねえ。
俺のメンタル、もう青春ラブコメのエキストラみたいに埋もれてるよ。
「ったく、次はどこだよ……もう騒がしすぎるとこはマジで勘弁してくれ」
たこせんべいは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




