第66話:豊洲市場競りと騒がしき便器
俺、佐藤太一、18歳。
この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。
最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。
昨日はお祖母ちゃんの田んぼで穏やかすぎて心が落ち着かなかったし、もう穏やかすぎる場所はマジで勘弁って思ってた。
騒がしくて活気ある場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を市場にぶち込んでくる。
今日は昼に食った日本の「マグロ丼」が胃の中でモヤモヤしてて、マグロの脂と醤油の旨味が腹をギュルギュル鳴らしてる。
正月の気分でガッツリ食ったのが運の尽きだ。
トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、豊洲市場!?」
目の前には、年始めの一番マグロの競り会場。
競り人が「ヨーイ、1億!」って叫んでて、買い手たちが「2億!」「3億!」って手を挙げまくってる。
巨大なマグロが「ドーン」と並んでて、市場が「ガヤガヤ!」と熱狂してる。
遠くで氷が「ガシャガシャ」と砕かれ、カメラのフラッシュが「パシャパシャ」光ってる。
で、俺はいつものように便器ごと、その競りのど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……一番マグロの競りでトイレって、騒がしすぎて頭おかしくなるだろ!」
すぐ横では、競り人が「4億だ!まだいくか!」ってマイクで煽ってて、買い手が「5億!」って叫び返してる。
距離、5メートルくらい。
マグロ丼の醤油臭が鼻に残ってても、魚と氷の匂いに完全に負けてる。
この熱狂的な場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツが汗でビショビショで、場違い感がやばい。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。
でもこの近さ、競り人の「6億で決まりか!」って叫び声や、買い手の「もっとだ!」って怒号が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 会場の空気が熱くて騒がしくて、便器がコンクリートの床にドカッと浮いてるのが気まずい。
こんな活気ある場所で用を足すとか、羞恥心が一番マグロより高値だ。
騒がしすぎて、心が興奮で締め付けられてる。
腹の中じゃ、マグロ丼のマグロとご飯がグチャグチャ暴れてる。
時間がない。
こんな場所でミッションとか、心が騒音と羞恥で爆発しそう。
競り人が「7億だ!落とすぞ!」ってカウントダウンしてる中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」
その時、買い手のおっさんが俺のすぐ横まで来て、「8億だ!」って手を振り上げた。
やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。
でもおっさん、俺をスルーして「負けねえぞ!」って競り人に叫んで離れた。
見えてねえよな……よな? でもその瞬間、競り人が「ガン!」ってハンマー叩いて、「8億で落札!」って会場が「ドカーン!」と沸いた。
衝撃で便器が「ガタッ」と揺れて、「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。
市場の喧騒に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。
おっさんが一瞬「ん?魚か?」って顔して首傾げた。
やばい、音でバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。
換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。
全身汗だくで、マグロ丼の醤油臭が鼻に残ってる。
心がまだ豊洲市場の熱狂で震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。
「豊洲の一番マグロ競りって……騒がしい市場の前でトイレとか、活気ありすぎて心が崩れるだろ……」
考えてみれば、競り人やおっさん、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 「魚か?」は偶然だろ。
でも、あの喧騒の中でやった事実は消えねえ。
俺のメンタル、もうマグロみたいに競り落とされてるよ。
「ったく、次はどこだよ……もう騒がしすぎるとこはマジで勘弁してくれ」
マグロ丼は当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




