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第65話:祖母の田んぼと穏やかな便器

俺、佐藤太一、18歳。




この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。




最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。




昨日は美咲の部屋で狂気すぎて心が壊れたし、もう狂気すぎる場所はマジで勘弁って思ってた。




穏やかで落ち着いた場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を超えてくる。




今日は昼に食った日本の「おはぎ」が胃の中でモヤモヤしてて、あんこの甘さと餅米の重さが腹をギュルギュル鳴らしてる。




実家に帰った時、お祖母ちゃんが「太一に作ったよ」ってくれたのを思い出して食ったのが運の尽きだ。




トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。




「うおっ、お祖母ちゃん!?」




目の前には、田んぼ。




トラクターが「ガタガタ」と動いてて、実のお祖母ちゃんが「よいしょっと!」ってハンドルを握ってる。




水田が「チャプチャプ」と揺れてて、遠くでカエルが「ゲロゲロ」と鳴いてる。




春の風が「サアア」と吹いてて、田んぼの土の匂いが漂ってる。




で、俺はいつものように便器ごと、そのお祖母ちゃんが耕してる田んぼのど真ん中にポツンと出現。




「いや、マジかよ……お祖母ちゃんの田んぼでトイレって、穏やかすぎて逆に気まずいだろ!」




すぐ横では、お祖母ちゃんが「今年も豊作になるかな」って呟きながらトラクターを進めてて、土が「ザクザク」と耕されてる。




距離、5メートルくらい。おはぎのあんこの匂いが鼻に残ってても、田んぼの土と水の香りに混ざって懐かしい感じだ。




この平和な場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。




Tシャツが汗でじっとりして、場違い感がやばい。




「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。




でもこの近さ、お祖母ちゃんの「太一も手伝えればなあ」って独り言や、トラクターの「ブーン」って音が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 田んぼの空気が穏やかで静かで、便器が泥に「ズブッ」と半分埋もれてる。




こんなほのぼのした場所で用を足すとか、羞恥心がお祖母ちゃんの笑顔よりデカい。




穏やかすぎて、心が緊張で締め付けられてる。




腹の中じゃ、おはぎの餅米とあんこがグチャグチャ暴れてる。




時間がない。こんな場所でミッションとか、心が平和と羞恥で爆発しそう。




お祖母ちゃんが「もう一往復だ!」ってトラクターをターンしてる中、俺は必死に腹に力を入れる。




「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」




その時、お祖母ちゃんが俺のすぐ横までトラクターで近づいてきて、「土がいい感じだな」って降りて土を触った。




やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。




でもお祖母ちゃん、俺をスルーして「よし、終わり!」ってまた乗り込んで離れた。




見えてねえよな……よな? でもその瞬間、風が「サアア!」って強まって、泥が「バシャッ」と便器に跳ねてきた。




「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。




田んぼの静けさに紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。




お祖母ちゃんが一瞬「ん?カエルか?」って顔して首傾げた。




やばい、音でバレる!?




ぷすっ。




「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」




光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。




換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。




全身汗だくで、おはぎのあんこの匂いが鼻に残ってる。




心がまだ田んぼの穏やかさで震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。




「お祖母ちゃんの田んぼって……平和な耕作の前でトイレとか、穏やかすぎて心が落ち着かねえだろ……」




考えてみれば、お祖母ちゃん、俺のこと本当に気づいてなかったよな?




「カエルか?」は偶然だろ。でも、あの田んぼでやった事実は消えねえ。




俺のメンタル、もうお祖母ちゃんのおはぎみたいにほっこりしてるよ。




「ったく、次はどこだよ……もう穏やかすぎるとこはマジで勘弁してくれ」




おはぎは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。




でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。



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