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第63話:卒業式&閉校式と切なき便器

俺、佐藤太一、18歳。この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。




最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。




昨日は無菌室で涼しすぎて心が凍ったし、もう涼しすぎる場所はマジで勘弁って思ってた。温かくて落ち着いた場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を田舎にぶち込んでくる。




今日は昼に食った日本の「給食のカレー」が胃の中でモヤモヤしてて、懐かしいスパイスとジャガイモの重さが腹をギュルギュル鳴らしてる。給食っぽい気分で食ったのが運の尽きだ。トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。




「うおっ、卒業式!?」




目の前には、小さな体育館。




色あせた木の床に卒業証書が置かれ、集落最後の小学生が「ありがとうございました!」って声を震わせてる。




先生が「君が最後の卒業生だ」と涙ぐんでて、親たちが「立派になったな」と拍手してる。遠くで校歌が「♪~」と流れ、窓から春風が「サアア」と入ってる。




で、俺はいつものように便器ごと、その卒業式&閉校式のど真ん中にポツンと出現。




「いや、マジかよ……最後の卒業式&閉校式でトイレって、温かすぎて切なすぎだろ!」




すぐ横では、子供が「学校大好きでした」と泣きながら挨拶してて、親が「頑張ったね」とハンカチで目を拭ってる。




距離、3メートルくらい。給食のカレーのスパイス臭が鼻に残ってても、体育館の木と涙の匂いに混ざって不思議な感じだ。




この感動的な場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツが汗でじっとりして、場違い感がやばい。




「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。




でもこの近さ、子供の「先生ありがとう!」って声や、先生の「これで終わりだな」って呟きが耳にガンガン入ってくるんだぞ! 体育館の空気が温かくて静かで、便器が床にドカッと浮いてるのが気まずい。




こんな切ない場所で用を足すとか、羞恥心が卒業証書より重い。温かすぎて、心が緊張で締め付けられてる。




腹の中じゃ、給食のカレーのジャガイモと肉がグチャグチャ暴れてる。




時間がない。こんな場所でミッションとか、心が感動と羞恥で爆発しそう。親が「もうこの学校も終わりか…」ってため息ついてる中、俺は必死に腹に力を入れる。




「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」




その時、先生が俺のすぐ横まで来て、「校旗を下ろそう」と旗に手を伸ばした。




やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。




でも先生、俺をスルーして「長い歴史だった」と旗を畳んで離れた。




見えてねえよな……よな? でもその瞬間、風が「サアア!」って入ってきて、カーテンが「バサッ」と便器に当たった。




「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。




体育館の静寂に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。




子供が一瞬「ん?何か聞こえた?」って顔して首傾げた。




やばい、音でバレる!?




ぷすっ。




「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」




光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。




換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。




全身汗だくで、給食のカレーのスパイス臭が鼻に残ってる。




心がまだ卒業式の切なさで震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。




「最後の卒業式&閉校式って……温かい別れの前でトイレとか、切なすぎて心が泣くだろ……」




考えてみれば、子供や先生、俺のこと本当に気づいてなかったよな?




「何か聞こえた?」は偶然だろ。




でも、あの感動の中でやった事実は消えねえ。




俺のメンタル、もう閉校する体育館みたいに静かに崩れてるよ。




「ったく、次はどこだよ……もう切なすぎるとこはマジで勘弁してくれ」




給食のカレーは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。




でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。



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