第61話:草津温泉湯揉みと温かき便器
俺、佐藤太一、18歳。
この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。
最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。
昨日は中世ヨーロッパの汚物まみれの城で臭すぎて心が死んだし、もう汚すぎる場所はマジで勘弁って思ってた。
清潔で気持ちいい場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を温泉にぶち込んでくる。
今日は昼に食った日本の「温泉卵」が胃の中でモヤモヤしてて、半熟の黄身と塩気が腹をギュルギュル鳴らしてる。温泉っぽい気分で食ったのが運の尽きだ。
トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、草津温泉!?」
目の前には、熱気ムンムンの湯揉み会場。
木の板を持った女性たちが「ヨイショー!」って掛け声あげてて、温泉水が「チャプチャプ!」と揺れてる。
観光客が「すごいね!」って拍手してて、湯気が「モワモワ」立ち上ってる。
遠くで硫黄の香りが「フワッ」と漂ってて、木造の建物が「ギシッ」と鳴ってる。
で、俺はいつものように便器ごと、その湯揉みパフォーマンスのど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……草津温泉の湯揉み最中でトイレって、清潔だけど熱すぎだろ!」
すぐ横では、湯揉みのお姉さんが「温泉を冷ますんだよ!」って観光客に説明してて、子供が「楽しそう!」ってはしゃいでる。距離、3メートルくらい。
温泉卵の黄身の匂いが鼻に残ってても、硫黄と湯気の香りに混ざって不思議な感じだ。
この温かい場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツが汗でビショビショで、熱気が肌にまとわりついてくる。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。
でもこの近さ、お姉さんの「よいとー!」ってリズミカルな声や、板の「パシャッ!」って水をかく音が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 会場の空気が温かくて賑やかで、便器が木の床にドカッと浮いてるのが気まずい。
こんな清潔な場所で用を足すとか、羞恥心が湯気より濃く立ち上っちまう。
熱すぎて、心が緊張で締め付けられてる。
腹の中じゃ、温泉卵の黄身と白身がグチャグチャ暴れてる。
時間がない。こんな場所でミッションとか、心が温かさと羞恥で爆発しそう。
お姉さんが「みんなもやってみる?」って観光客に呼びかけてる中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」
その時、子供が俺のすぐ横まで来て、「お湯あったかいね!」って手を伸ばしてきた。やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。
でも子供、俺をスルーして「ママ、見て!」って湯気に手を振って離れた。
見えてねえよな……よな? でもその瞬間、湯気が「モワッ!」って便器に直撃して、熱が「ジリッ!」と伝わってきた。「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。
湯揉みの掛け声に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。
お姉さんが一瞬「ん?何か聞こえた?」って顔して首傾げた。やばい、音でバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。
換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。
全身汗だくで、温泉卵の塩気と硫黄の残り香が混ざって混乱。
心がまだ草津温泉の熱気で震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。
「草津温泉の湯揉みって……温かい清潔さの前でトイレとか、熱すぎて心が茹で上がるだろ……」
考えてみれば、お姉さんや子供、俺のこと本当に気づいてなかったよな?
「何か聞こえた?」は偶然だろ。
でも、あの湯気の中でやった事実は消えねえ。
俺のメンタル、もう温泉の湯みたいにグツグツしてるよ。
「ったく、次はどこだよ……もう熱すぎるとこはマジで勘弁してくれ」
温泉卵は当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




