第56話:南極大陸発見と極寒の便器
俺、佐藤太一、18歳。
この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。
最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。
昨日はトランプの就任式で騒がしすぎて心が崩壊したし、もう騒がしすぎる場所は勘弁って思ってた。静かで落ち着いた場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を極地にぶち込んでくる。
今日は昼に食ったロシアの「ボルシチ」が胃の中でモヤモヤしてて、ビーツの甘さとスープの温かさが腹をギュルギュル鳴らしてる。寒い日に温まるものを選んだつもりが、結局トイレに駆け込む羽目になった。ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、南極!?」
目の前には、果てしない氷の大地。
雪と氷が「キラキラ」と広がってて、船上の探検隊が「見ろ、あれが大陸だ!」って叫んでる。
風が「ゴオオオ!」と吹き荒れてて、遠くで氷が「パキッ」と割れる音が響いてる。
で、俺はいつものように便器ごと、その南極大陸が発見された瞬間の氷原のど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……南極大陸発見の瞬間でトイレって、静かすぎて寒すぎだろ!」
すぐ横では、船長らしき男が「これが我々の偉業だ!」
って望遠鏡を覗いてて、乗組員が「歴史に刻まれるぞ!」って興奮してる。
距離、5メートルくらい。ボルシチのビーツの匂いが鼻に残ってても、凍える風と氷の臭いに負けて感覚が麻痺してくる。
この静かな場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツじゃ耐えきれず、歯がガチガチ鳴って全身が震えてる。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。
でもこの近さ、船長の「記録しろ!」って低い声や、風の「ヒュウウ」って唸りが耳にガンガン入ってくるんだぞ! 氷原の空気が静かすぎて、逆に孤独感が重い。
こんな歴史的な場所で用を足すとか、羞恥心が氷河より冷たく固まっちまう。
静かすぎて、心が凍え死にそうだ。
腹の中じゃ、ボルシチのビーツと野菜がグチャグチャ暴れてる。
時間がない。
こんな場所でミッションとか、心が寒さと緊張で爆発しそう。
乗組員が「旗を立てよう!」って氷に降り立つ中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」
その時、乗組員が俺のすぐ横まで来て、「この氷、硬いな!」ってピッケルで「ガンガン」叩き始めた。
やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。
でも乗組員、俺をスルーして「船長、こっちだ!」って叫んで離れた。
見えてねえよな……よな? でもその瞬間、風が「ビュウウ!」って強まって、雪が「バサバサ!」って便器に降り注いだ。
「うっ!」って声が出そうになったけど、ガタガタ震えて堪えた。
氷原の静寂に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。
船長が一瞬「ん?風か?」って顔して首傾げた。やばい、音でバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。
換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に温かく感じる。
全身ガタガタ震えてて、ボルシチのビーツの匂いが鼻に残ってるけど、手足が冷え切って感覚がない。心がまだ南極の静けさで震えてる。
息を整えながら、俺は呟いた。
「南極大陸発見の瞬間って……静かな氷原の前でトイレとか、寒すぎて心が凍るだろ……」
考えてみれば、探検隊、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 「風か?」は偶然だろ。
でも、あの極寒の中でやった事実は消えねえ。俺のメンタル、もう南極の氷みたいに固まって崩れてるよ。
「ったく、次はどこだよ……もう寒すぎるとこはマジで勘弁してくれ」
ボルシチは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




