第54話:国会図書館と静寂の便器
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俺、佐藤太一、18歳。
この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。
最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。
昨日はリゼロの異世界で混沌すぎて心がぐっちゃぐちゃになったし、もう混沌すぎる場所は勘弁って思ってた。
整然として落ち着いた場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を微妙に超えてくる。
今日は昼に食った日本の「お茶漬け」が胃の中でモヤモヤしてて、海苔の香ばしさとご飯の軽さが腹をギュルギュル鳴らしてる。シンプルで落ち着くものを選んだつもりが、結局トイレに駆け込む羽目になった。ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、国会図書館!?」
目の前には、整然とした閲覧室。本棚が「ズラーッ」と並んでて、無数の本が静かに佇んでる。
読書中の人が「シーン」と集中してて、時々ページをめくる「パラッ」って音が響いてる。
遠くで空調が「スーッ」と静かに動いてて、空気が少しひんやりしてる。
で、俺はいつものように便器ごと、その国会図書館の閲覧室のど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……国会図書館の中でトイレって、整然としすぎて逆に気まずいだろ!」
すぐ横では、スーツのおじさんが「ふむ…」って本に没頭してて、学生が「カタカタ」ってノートに書き込んでる。距離、3メートルくらい。
お茶漬けの海苔の匂いが鼻に残ってても、図書館の紙とインクの匂いに混ざって不思議な感じだ。この静かな場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツが汗でじっとりして、場違い感がやばい。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。
でもこの近さ、おじさんの「コホン」って小さな咳や、ペンの「カサカサ」って音が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 閲覧室の空気が静かで整然としてて、便器がカーペットにドカッと浮いてるのが気まずい。こんな秩序ある場所で用を足すとか、羞恥心が本のページより厚い。
静かすぎて、心が緊張で締め付けられてる。
腹の中じゃ、お茶漬けのご飯と出汁がグチャグチャ暴れてる。
時間がない。こんな場所でミッションとか、心が静寂と羞恥で爆発しそう。
おじさんが「この資料、興味深いな…」って呟いてる中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」
その時、学生が俺のすぐ横まで来て、「この本どこだ…?」って棚を探し始めた。
やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。
でも学生、俺をスルーして「あった!」って本取って戻った。
見えてねえよな……よな? でもその瞬間、空調が「ブーン」と少し強まって、冷たい風が便器に「スーッ」と当たった。「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。
閲覧室の静寂に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。
おじさんが一瞬「ん?」って顔して首傾げた。やばい、音でバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。
換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。
全身汗だくで、お茶漬けの海苔の匂いが鼻に残ってる。
心がまだ国会図書館の静けさで震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。
「国会図書館の中って……整然とした静寂の前でトイレとか、静かすぎて心がバグるだろ……」
考えてみれば、おじさんや学生、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 「ん?」は偶然だろ。
でも、あの秩序ある場所でやった事実は消えねえ。
俺のメンタル、もう本棚に並んだ本みたいに整いすぎて崩れてるよ。
「ったく、次はどこだよ……もう静かすぎるとこは勘弁してくれ」
お茶漬けは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




