第52話:真冬の富士山山頂と凍える便器
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俺、佐藤太一、18歳。
この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。
最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。
昨日は吉宗の成敗の場で劇的すぎて心がズタズタになったし、もう劇的すぎる場所は勘弁って思ってた。
穏やかで静かな場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を極端に超えてくる。
今日は昼に食った日本の「おしるこ」が胃の中でモヤモヤしてて、あんこの甘さと餅の重さが腹をギュルギュル鳴らしてる。
寒い日に温かいものを選んだつもりが、結局トイレに駆け込む羽目になった。
ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、富士山!?」
目の前には、真冬の富士山山頂。
雪と氷に覆われた頂上が広がってて、風が「ゴオオオ!」と唸りながら吹き荒れてる。
遠くに雲海が「モクモク」と浮かんでて、空は青と白で凍てついてる。
で、俺はいつものように便器ごと、その富士山山頂のど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……真冬の富士山山頂でトイレって、穏やかどころか寒すぎだろ!」
すぐ横では、雪が「ザザーッ」と風に舞ってて、氷が「キンキン」と冷たく光ってる。
距離とか分からねえくらい視界が白い。
おしるこの甘い匂いが鼻に残ってても、凍える風に負けて感覚が麻痺してくる。
この静かな場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツじゃ耐えきれず、歯がガチガチ鳴って全身が震えてる。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。
でもこの近さ、風の「ヒュウウ」って唸り声や、雪の「ザクザク」って積もる音が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 山頂の空気が静かすぎて、逆に孤独感が重い。
こんな極寒の場所で用を足すとか、羞恥心が氷より冷たく固まっちまう。
穏やかすぎるどころか、心が凍え死にそうだ。
腹の中じゃ、おしるこの餅とあんこがグチャグチャ暴れてる。
時間がない。
こんな場所でミッションとか、心が寒さと緊張で爆発しそう。
風が「ゴオオ!」って強まる中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」
その時、風が「ビュウウ!」って突然強まって、雪が「バサバサ!」って便器に降り注いできた。
やばい、埋まる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。
でも雪、俺をスルーして「ザザーッ」と積もってっただけだった。
見えてねえよな……よな? でもその瞬間、便器が「ガチッ」と凍り付く音がして、尻が「キンキン」に冷えた。「うっ!」って声が出そうになったけど、ガタガタ震えて堪えた。
山頂の静寂に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。風が一瞬止まって、音がやけに響いた気がした。やばい、山にバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。
換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に温かく感じる。
全身ガタガタ震えてて、おしるこの甘い匂いが鼻に残ってるけど、手足が冷え切って感覚がない。
心がまだ富士山の寒さで震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。
「真冬の富士山山頂って……穏やかな静寂の前でトイレとか、寒すぎて心が凍るだろ……」
考えてみれば、見るも何も誰もいねえから気づくも何もねえよな? でも、あの極寒の中でやった事実は消えねえ。俺のメンタル、もう富士山の雪みたいに積もって崩れてるよ。
「ったく、次はどこだよ……もう寒すぎるとこは勘弁してくれ」
おしるこは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




