第49話:アインシュタインの完成瞬間と知の便器
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俺、佐藤太一、18歳。
この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。
最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。
昨日はビッグバン前で何もなさすぎて頭がバグったし、もう何もなさすぎる場所は勘弁って思ってた。
賑わいすぎなくてもいいから何かある場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を超えてくる。
今日は昼に食ったドイツの「シュニッツェル」が胃の中でモヤモヤしてて、カツレツの油とパン粉の重さが腹をギュルギュル鳴らしてる。
ちょっと重いけど美味いものを選んだつもりが、結局トイレに駆け込む羽目になった。
ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、アインシュタイン!?」
目の前には、古びた書斎。
木製の机に紙とペンが散らばってて、窓から薄い日差しが差し込んでる。
アインシュタインが髪をボサボサにして、「E=mc²…これだ!」って呟きながら紙に書き込んでる。
黒板には数式がビッシリで、彼の目が「キラッ」と輝いてる。
で、俺はいつものように便器ごと、その相対性理論を完成させた瞬間のアインシュタインの前のど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……アインシュタインの完成瞬間でトイレって、知的な場面すぎて気まずいだろ!」
すぐ横では、アインシュタインが「時間と空間が…!」って興奮気味に独り言つぶやいてて、ペンを「カタカタ」動かしてる。距離、3メートルくらい。
シュニッツェルの油っぽい匂いが鼻に残ってても、書斎の埃っぽい空気に混ざって不思議な感じだ。この歴史的な場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。Tシャツが汗でじっとりして、場違い感がやばい。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。でもこの近さ、アインシュタインの「ふむ、これは革命的だ」って呟きや、紙を「パラッ」とめくる音が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 書斎の空気が静かで知的で、便器が木の床にドカッと浮いてるのが気まずい。
こんな天才の瞬間で用を足すとか、羞恥心が光速より速く広がっちまう。
知的すぎて、心が緊張で縮こまってる。
腹の中じゃ、シュニッツェルのカツとソースがグチャグチャ暴れてる。
時間がない。
こんな場所でミッションとか、心が知性と羞恥で爆発しそう。
アインシュタインが「これで全てが変わる!」って立ち上がって黒板に書き込みしてる中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」
その時、アインシュタインが俺のすぐ横まで来て、「ここに追加だ!」って黒板に「ガリガリ」数式書き込んだ。
やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。
でも彼、俺をスルーして「完璧だ…」って満足げに頷いて戻った。
見えてねえよな……よな? でもその瞬間、窓から風が「スーッ」と入ってきて、紙が「パラッ」と舞った。
便器が「ガタッ」と揺れて、「うっ!」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。
書斎の静寂に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。
アインシュタインが一瞬「ん?エネルギーか?」って顔して首傾げた。
やばい、音でバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。
換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。
全身汗だくで、シュニッツェルの油っぽい匂いが鼻に残ってる。
心がまだアインシュタインの知性で震えてる。息を整えながら、俺は呟いた。
「相対性理論の完成瞬間って……天才の前でトイレとか、知的すぎて心がバグるだろ……」
考えてみれば、アインシュタイン、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 「エネルギーか?」は偶然だろ。
でも、あの歴史的瞬間でやった事実は消えねえ。
俺のメンタル、もうE=mc²みたいに爆発してるよ。
「ったく、次はどこだよ……もう知的すぎるとこは勘弁してくれ」
シュニッツェルは当分食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




