第28話:遠山の裁きと痔の安堵
俺、佐藤太一、18歳。この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。昨日は秋葉原のメイド通りで痔に厳しい目に遭ったし、もう痔に厳しい場所は絶対勘弁って思ってた。優しくて穏やかな場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレがそんな願いをどう捻じ曲げるか、毎回ドキドキだ。
今日は昼に食った日本の「天ぷら」が胃の中でモヤモヤしてて、エビと野菜の油っぽさが腹をギュルギュル鳴らしてる。痔がまだズキズキしてるから、揚げ物は控えようと思ったのに我慢できなかった。結局トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、江戸の奉行所!?」
目の前には、畳敷きの座敷。障子から柔らかい光が差し込んでて、遠山金四郎が威厳たっぷりに座ってる。桜吹雪の刺青がチラリと見える袴姿で、「この裁き、遠山が預かる!」って低く響く声で言い放ってる。座敷の端では、罪人が「ご勘弁を!」って土下座してて、脇に控える奉行所の役人が「静粛に!」って睨んでる。で、俺はいつものように便器ごと、その裁きの場のど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……遠山金四郎の裁きの場でトイレって、痔に優しいけど緊張感やばいだろ!」
すぐ横では、金四郎が「証拠は揃っておる。お主の罪、明らかだ!」って裁きを言い渡してる。罪人が「助けてください!」って泣き叫ぶ声が響いてて、役人が「判決だ!」って巻物を広げてる。距離、3メートルくらい。畳の柔らかい感触が便器越しに尻に伝わってきて、痔の痛みが少し和らいでホッとする。でも、天ぷらの油臭が鼻に残ってて、座敷の和風な空気と混ざって気まずい。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。でもこの近さ、金四郎の鋭い目つきや、障子を叩く風の「サラサラ」って音が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 座敷の空気が穏やかで、畳が痔に優しくてありがたいけど、こんな厳粛な場所で用を足すとか、羞恥心が遠山の裁きより重い。痔のズキズキが少しマシでも、心臓がバクバクだ。
腹の中じゃ、天ぷらのエビと野菜がグチャグチャ暴れてる。時間がない。痔の痛みが和らいだとはいえ、脂汗が額からポタポタ落ちてくる。こんな場所でミッションとか、心が優しさと緊張で爆発しそう。金四郎が「おしらす!」って一声叫んで罪人に判決下してる中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」
その時、役人が俺のすぐ横まで来て、「記録に残す!」って巻物を「ガサッ」と広げた。やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。でも役人、俺をスルーして金四郎に「判決確認を!」って差し出した。見えてねえよな……よな? でもその瞬間、障子が風で「バタン」と開いて、冷たい風が座敷に吹き込んできた。痔が「ズキッ」と反応して、痛みがぶり返しちまった。
裁きの声に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。金四郎が一瞬「ん?」って顔して首傾げた。やばい、音でバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。換気扇のブーンって音と便器の冷たさが、いつも以上に現実に戻してくる。全身汗だくで、天ぷらの油臭が鼻に残ってる。尻の痔がまだズキズキしてるけど、畳のおかげで少し楽だった気がする。息を整えながら、俺は呟いた。
「遠山金四郎の裁きの場って……痔に優しい畳の前でトイレとか、癒しと緊張が混ざりすぎだろ……」
考えてみれば、金四郎や役人、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 首傾げたの、風のせいだろ。でも、あの厳粛な座敷でやった事実は消えねえし、痔はまだ完治してねえ。俺のメンタル、もう遠山の桜吹雪みたいに散ってるよ。
「ったく、次はどこだよ……もう緊張感ありすぎるとこは勘弁してくれ」
天ぷらは当分食わねえし、痔薬塗り直さなきゃと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




