第26話:タヒチのフラダンスと痔の余韻
俺、佐藤太一、18歳。この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。昨日は世界一辛い唐辛子畑で痔までできて地獄を見たし、もう辛すぎる場所は絶対勘弁って思ってた。穏やかで優しい場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレがそんな願いを素直に叶えるわけねえよな。
今日は昼に食ったタヒチ風の「ポワソンクリュ」が胃の中でモヤモヤしてて、生魚のさっぱりさとココナッツミルクの甘さが腹をギュルギュル鳴らしてる。痔の痛みがまだズキズキしてるから優しい味を選んだのに、結局トイレに駆け込む羽目になった。ドアをガチャッと開けた瞬間――。
「うおっ、タヒチのビーチ!?」
目の前には、エメラルドグリーンの海がキラキラ輝くビ南部ーチ。波が「ザザーッ」と寄せては引いて、白い砂が太陽に照らされて眩しい。ヤシの木が「サワサワ」と風に揺れてて、遠くでウクレレの「ポロン♪」って音が響いてる。で、俺はいつものように便器ごと、そのビーチの観光客向けフラダンス会場のど真ん中にポツンと出現。
「いや、マジかよ……タヒチのフラダンス会場でトイレって、優しすぎて逆に気まずいだろ!」
すぐ横では、色鮮やかな衣装のダンサーたちが腰を振って「フラ♪ フラ♪」って踊ってる。観光客が「オーッ!」って拍手してて、子供が「ママ、きれい!」ってはしゃいでる。距離、3メートルくらい。ダンサーの花の髪飾りが風に揺れて、ココナッツの甘い香りとポワソンクリュの匂いが混ざって鼻をくすぐる。でも、俺の尻は痔の痛みがズキッと残ってて、便器に座るのも辛い。砂が「サラサラ」って足元に積もってきて、Tシャツが汗でじっとりしてる。
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。でもこの近さ、観光客の「パシャッ」ってカメラ音や、ダンサーの「ハーイ!」って掛け声が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 海風が涼しくて優しいけど、痔の痛みが「ズキズキ」って疼いて、癒しどころか苦痛が倍増だ。こんなリゾートな場所で用を足すとか、羞恥心がフラダンスのリズムに乗っちまう。
腹の中じゃ、ポワソンクリュの魚とココナッツがグチャグチャ暴れてる。時間がない。痔のせいで脂汗が額からポタポタ落ちてくる。こんな場所でミッションとか、心が優しさと痛みで爆発しそう。観光客のおじさんが「タヒチって最高だな!」ってビール飲んでる中、俺は必死に腹に力を入れる。
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ! 尻が限界だ!」
その時、ダンサーの一人が俺のすぐ横まで来て、観光客に「一緒に踊りましょう!」って手を振った。やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。でもダンサー、俺をスルーして子供を「ハーイ♪」って誘って離れた。見えてねえよな……よな? でもその瞬間、波が「ザバァ!」って近くで上がって、冷たい水しぶきが便器に跳ねた。痔の痛みが「ズキッ」と反応して、「うっ!」って声が漏れそうになった。
ウクレレの音に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。観光客の子供が一瞬「ん?」って顔した。やばい、音でバレる!?
ぷすっ。
「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」
光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に救いに感じる。全身汗だくで、ポワソンクリュのココナッツ臭と海の塩気が混ざって混乱。尻の痔がまだズキズキしてて、立ち上がるのも一苦労だ。息を整えながら、俺は呟いた。
「タヒチのフラダンス会場って……優しいビーチの前でトイレとか、痔の痛みが癒しを台無しだろ……」
考えてみれば、あの観光客やダンサー、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 子供の「ん?」は偶然だろ。でも、あのリゾートな雰囲気の中でやった事実は消えねえし、痔の痛みはしばらく続きそうだ。俺のメンタル、もう波に漂うヤシの葉っぱみたいだよ。
「ったく、次はどこだよ……もう痔に優しくないとこは勘弁してくれ」
ポワソンクリュは当分食わねえし、痔薬塗らなきゃと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。




