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第24話:オパール鉱山の坑道と埃っぽい羞恥

俺、佐藤太一、18歳。この呪われたトイレに振り回される生活、もう何度も「もう限界だろ」って叫んでる。最近は世界各国の料理にハマってて、それが腹痛の原因になってるのは分かってるけど、やめられねえ。昨日は上野公園の夜桜で風情にやられたし、もう風流すぎる場所は勘弁って思ってた。次は無骨でシンプルな場所がいいなぁ……なんて淡い期待を抱いてたけど、やっぱりこのトイレは俺の願いを斜め上にぶっ飛ばす。

今日は昼に食ったオーストラリアの「ベジマイトトースト」が胃の中でモヤモヤしてて、塩辛いペーストとバターの重さが腹をギュルギュル鳴らしてる。初めて食ったけど、なんか癖になる味だった。でもその代償がこれだ。耐えきれずトイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。

「うおっ、オパール鉱山!?」

目の前には、薄暗い坑道。岩壁がゴツゴツしてて、天井から「ポタッ」と水滴が落ちる音が響いてる。空気が湿ってて埃っぽくて、遠くで「ガガガ」とドリルの振動が聞こえてくる。地面には赤茶色の土と石が散らばってて、壁に埋まったオパールのキラキラした筋が微かに光ってる。で、俺はいつものように便器ごと、その坑道のど真ん中にポツンと出現。

「いや、マジかよ……オーストラリアのオパール鉱山でトイレって、無骨すぎて逆にキツいだろ!」

すぐ横では、汗だくの鉱夫が「オイ、ここ掘れ!」って叫びながらピックを「ガンガン」振り下ろしてる。ヘルメットのライトがチラチラ動いて、坑道の奥から「ズズッ」と土砂を運ぶ音が響いてくる。距離、5メートルくらい。鉱夫の汗と土の匂いが混ざって、ベジマイトの塩辛い臭いと合わさって鼻がヒリヒリする。空気が重くて、便器が埃でザラザラしてるのが尻に伝わってくる。

「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。でもこの近さ、鉱夫の荒い息遣いや「カチャン」と工具を置く音が耳にガンガン入ってくるんだぞ! 坑道の空気が湿ってて涼しいけど、埃が舞うたび「ゴホッ」って咳き込みそうになる。こんな過酷な場所で用を足すとか、羞恥心がオパールの輝きより目立っちまう。

腹の中じゃ、ベジマイトトーストの濃い味がグチャグチャ暴れてる。時間がない。こんな場所でミッションとか、心が坑道の重さと緊張で押し潰されそう。鉱夫が「何か光ったぞ!」ってオパール見つけて喜んでる中、俺は必死に腹に力を入れる。

「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ!」

その時、鉱夫が俺の方にズカズカ近づいてきた。やばい、見つかる!? 俺は慌てて息を止めて固まる。でも鉱夫、俺をスルーして壁のオパールを「ガリガリ」掘り始めた。見えてねえよな……よな? でもその瞬間、ドリルの振動が「ゴゴゴ」と伝わってきて、便器がグラッと揺れた。「うわっ!」って声が出そうになったけど、グッと堪えた。

坑道の騒音に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。鉱夫が一瞬「ん?」って顔して首傾げた。やばい、音でバレる!?

ぷすっ。

「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」

光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上にホッとする。全身汗だくで、ベジマイトの塩辛さと坑道の土臭さが混ざって混乱。埃がTシャツにこびりついてて、払いながら俺は呟いた。

「オーストラリアのオパール鉱山って……坑道のど真ん中でトイレとか、無骨すぎてメンタル掘られるだろ……」

考えてみれば、あの鉱夫、俺のこと本当に気づいてなかったよな? 首傾げたの、ドリルの音のせいだろ。でも、あの過酷な坑道でやった事実は消えねえ。俺の羞恥心、もうオパールみたいに硬く埋まっちまってるよ。

「ったく、次はどこだよ……もう無骨すぎるとこは勘弁してくれ」

ベジマイトトーストは二度と食わねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。



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