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第9艦隊司令官 九鬼祐也

大日本帝国海軍は上海沖海戦で、第三艦隊の再編成を余儀なくされた。俺は艦隊壊滅の危機を回避した功績から少将に昇格した。中華民国海軍がここまで連携できているなど、誰か先進国の連中がお膳立てしているのではないだろうか。特にアメリカが。


「永野長官、なぜ私が新造艦隊の司令官を?」


「貴官の先日の活躍は聞いている。貴官に指揮能力には目を見張るものがあったからな。優秀な人材を遊ばせるわけにはいかん。それに、大本営も承認している」


「………分かりました。慎んで、お受け致します」


「うむ。期待しておるぞ」


「はっ!失礼します!」


確かに二つの歴史を知ってはいる。指揮だって2度目の歴史でしてきたから身体が覚えている。しかし、たかがあれだけで新造艦隊の司令官に任せるというのはいかがなものか。艦隊を任せられるならば、ある程度の人選ができるといいが。参謀には彼が一番だ。いるのならば、の話だが。


新造艦隊の資料は明日配布するようだが、どのような艦隊なのだろうか?新造とだけあり、小規模艦隊だと思うが………。これで軽空母でもあれば索敵や対空戦闘は問題ないんだけどな………。おそらく数も少ないし、配備されないだろうな。


「っ!?」

「うっ?」


ドンッ!誰かとぶつかってしまう。どうやら女性のようだが………って、女性!?よく見ると大尉の階級章が付いている。前史では全く見たことの無い女性軍人だ。まさか、ここまで違いがある世界だとは。ある意味で感動したよ。男女ともに社会で上手く生きていければ理想的だしな。


「すまない、大丈夫か?」


「は、はい。すみません!」


「いや、気にするな」


「すみません!し、失礼します!」


ずいぶん緊張していたな。この通路にいるということは永野長官に呼び出されたのか。永野長官も直接通達することが大切だと言っていだが、やりすぎじゃないか?将官や左官だけではなく、尉官まで直接呼ぶとは。初めてのやつは萎縮するんじゃないか?俺も昔は左官に呼び出されただけで緊張したからな。


「さて、どうしたものかな」


俺はひとまず、部屋に戻ることにした。整理する書類も考えもあることだし。部屋でなら独り言も聞かれる心配はないしな。ある程度の艦隊運用の構想は立てておこう。備えあれば憂いなし、とも言うからな。部隊の細分化はややこしいが、以前の意見で多少の改善はあるし、大丈夫だろ。


―――――――――――――――――――――――――


翌日になり、朝資料が届いた。



第九艦隊について。

所属は連合艦隊となる。


編制

三原型巡洋戦艦1隻(三原)

利根型重巡洋艦1隻(筑摩)

長良型軽巡洋艦2隻(由良、鬼怒)

吹雪型駆逐艦2隻(吹雪、白雪)

神風型駆逐艦2隻(神風、朝風)


なお、九鬼祐也少将を艦隊司令官に就任。就任に伴い階級を海軍少将より昇進、海軍中将に任命す。それに伴い2人の副官を派遣する。副官については別紙にて詳細を記載する。



なるほど、なぜ見知らぬ戦艦までいるのかが不思議でならないが、まあいいか。これが吉と出るか凶と出るか………。とにかく、8隻からなる小規模艦隊だな。うまく立ち回れば被害を減らせるだろう。勝てるかどうかは、連携次第だな。


コンコン。ドアをノックする音が聞こえたため、俺は入るように促す。


「し、失礼します!」


女性?いったい誰だろうか。顔をあげるとそこには昨日ぶつかった大尉がいた。大尉は緊張した面持ちで、海軍式の敬礼をする。俺はそれに返礼し、大尉を見る。改めて見ると、綺麗な女性だ。セミロングの黒髪に日本人には珍しい青い瞳。軍服の上からでも分かるほど軍人には見えないくらい体は細く、胸は控えめだが締まるところは締まり他は出ているという、美少女。あれ?彼女いくつになるの?


「わ、私は本日より、九鬼中将の補佐をすることになりました!さ、佐伯妙子(さえきたえこ)少佐です!」


「はあ!?」


「っ!?す、すみません!わ、私、な、なななにか失礼なことをしてしま、しまったのでしょうか!?」


しまった!面影があるような感じだし、出会いが似ていたので、つい彼が女になったのかと驚いてしまった。いかんいかん、冷静にならないと。俺はコホンと咳払いをして、彼女に向き合う。しかし、大尉から昇進していたとは。


「いや、すまない。知り合いに似ていたのでな」


「そ、そうですか……」


佐伯妙子………まさか、な。俺は女になった可能性をあっさり捨てた。永野長官や古賀提督などの史実軍人は男だったし、他には女性軍人は今のところ見ていない。高級軍人にはいない可能性が高いから、見ないのかもしれないが。副官の資料も彼女が持ってきてくれたようだ。



佐伯妙子

海軍少佐

海軍東京女子士官学校を首席で卒業。第三艦隊・第四水雷戦隊所属の木曾に配属。支那事変に従事し、第三艦隊参謀補佐として活躍。旅順沖縄遭遇戦では彼女からの的確な助言もあり、同海戦に勝利する。上海沖の撤退戦では第三艦隊の参謀長に臨時就任。

第九艦隊参謀補佐に任命。上海撤退の功績と参謀補佐に就任を称え少佐に昇格。


日森俊二郎(ひもりしゅんじろう)

海軍大佐

海軍横須賀士官学校を卒業。第二艦隊参謀補佐として演習においても的確な戦術を提示、同演習を勝利に導く。東京和襲撃演習に参加し、見事仮想敵艦隊を打ち破る。上海撤退ののち、上海へ撤退する中華艦隊を奇襲し、撃滅する。

第九艦隊の参謀長に任命。参謀長に任命及び中華艦隊撃滅を称え大佐に昇格。

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