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ビッチだなんて呼ばないで

【主な登場人物】

大岐(おおき) 和珠(なごみ)

主人公。「なぁゴミ」と言われることが今世紀最高に嫌。オルデュールにすぐ暴力を振ることを除けば常識人。死ぬことが出来ない。


・オルデュール

一応ヒロイン。名前の由来はフランス語の『ordures(ゴミ)』。だが本人はスペイン人らしい。自称天使の幽霊で生前の記憶を持たない。


時瀬(ときせ) 華撫(かなで)

天性のドS。絵がめちゃくちゃ上手い。なんだかよく分からない部活を作ろうと頑張っている。部長。


昏名井(くれない) 結璃(ゆうり)

見た目は不健全でも、心は大和撫子。です、ます口調で会話する。ビッチじゃないよ!

 


「…幸せ宅配部?」

「そう。ボランティア部はもうあるみたいだから。新設理由もそれっぽく書けそうだし、何より個性的でインパクトがあるでしょ?」

「かなりの物好きしか集まらない気がしないでもないが…」


 俺の目の前にいる少女、時瀬(ときせ)華撫(かなで)に、訳あって塩を撒かれた翌日の放課後。

 彼女は、部活動の申請用紙を俺に見せた。きっと、朝職員室に入って貰ってきたのだろう。『幸せ宅配部』の下には部員の名前を書く欄が。勿論、時瀬と俺の名前の2つしかなく、他は空欄だ。


「あら?ボクの名前が無いじゃない。ここに書いても良いかしら?」

「駄目だ。お前はここの生徒じゃないって何回言ったら分かるんだよ…」

「生徒じゃなくても、部活というものに正式に入部したいのだけれど。でも考えてみたら、ボクって匿名希望のぷわぷわ天使だったことを忘れてたわ!書く名前がゴミみたいなのしか無いものね!」

「その名前で妥協したんじゃ無かったのかよ」


 と言いつつも、開き直ったオルデュールは、時瀬のシャーペンを手に取って紙に記そうとするので、その手から奪う。奪われた本人は悲しそうに眉をハの字に垂らした。本当にこいつは、いつ何を仕出かすか分からない。なんだろう、幼児を育てる母親の気持ちがとてつもなく伝わってきた…。


「それでね。部員募集のポスターも作ってきたんだ」

 クリアファイルから取り出したB4サイズの画用紙を、机の上に広げた。その紙にはコピックで綺麗に彩色された金髪幼女のイラストが描かれている。上手い。凄く上手いんだが、


「なんだ、この指名手配みたいなのは…。うちのロリは犯罪者か」


『この子を校内で見かけたら、幸せ宅配部へ!』と書かれた文字。金髪幼女のイラストはオルデュールの特徴を正確に捉えていてとても似ているのだが、目元を黒い傍線で塗りつぶされている。


「あ、これ、よく夕方のニュースで特集されてるやつね!確かモザイクって言うんだっけ?この子、ボクにそっくりで可愛いけど、ボクは結婚詐欺相手に騙されたことは無いわよ?」

「結婚詐欺って…。お前のその情報は何処から仕入れてるんだ?」

「あれ?テレビって知ってる?和珠はテレビを見ないのかしら?」

「テレビぐらい見るぞ…。だから、…いや、もういい」


 俺は、いつオルデュールがテレビを見ているのか気になったのだが、話になりそうに無いので諦める。因みに、俺のいる寮の部屋にはテレビは置いていない。

 そもそも、俺がこれと出会う前、オルデュールは何をしていたのか俺は知らない。呪いを押し付けられてそんなに日は経って無いと言え、知らないことは山ほどどころか、不明な点ばかりだった。


「取り敢えず、これを貼ろうと思うけど良いかな?」

「俺は絵のセンスは皆無だし、手伝えそうにないからお前に任せるよ。好きにしろ」


 俺は、時瀬自作のポスターを返す。

「部室と顧問はどうするんだよ?」

「問題無いよ。顧問は灰田先生がやってくれるって。部室は、部室棟の空き教室があるからそこを使っていいらしいよ。確か教室番号は304だったかな」

「すまん、灰田先生って誰?」

 聞き覚えのない単語に、話を割って問いかける。

「私たちの担任教師だよ。そんな大事なことも覚えていられないの?大丈夫?」

 本気で時瀬に心配される俺。実は人の名前を覚えるのは苦手だったりする。犬とか猫とか、アニメのキャラクターなら覚えられるんだけどな。生身の人間となると、名前と顔が一致しなくて困る。


「そうだ、このポスターにも部室の番号書いておかないと。今日は鍵取りに行くのも面倒だし、部屋の確認は明日でも良いよね?」

「それで構わない。俺も4時から寮のドアノブの修理をしに業者が来るんだ。そろそろ帰らないと」

「ドアノブ?」


 首を傾げる時瀬。

 そんな時瀬に、オルデュールがドヤ顔で説明し始める。


「この馬鹿が首吊りするからドアノブが抜けちゃったのよ。だからドアが閉められないのよね」

「…え?首吊り?首吊ったのは痣で分かったけど、こっちに来てからやったの?」


 予想外だったようで時瀬は驚く。


「まあな。お陰様で、完全に閉め切ったら出られなくなる。だから今は臨時的にストッパーを掛けてるんだよ。まだこの季節でも、風が入ってきて寒くて嫌になる」

「そうなんだ」と時瀬は呟く。


「大岐くんって随分もやし体型に見えるけど。寮のドアノブって簡単に抜けてしまうのね」

「もやしってな…。まあ引き篭もってたからそう見られるのも仕方ないか」


 頭のてっぺんからつま先まで舐めるように見られる。

 俺の身長と比べたら体重はやや軽めかもしれない。最近、健全な高校生活を送るにあたって早朝のランニングを始めた。もちろん、オルデュールの命令でもある。


「私はこれから生徒会室寄ってから帰るから。先に帰ってていいよ」

「生徒会室?」

「うん。ポスターを掲示するのって生徒会からの許可がいるみたい。じゃあね」


 鞄を肩に下げ、教室から立ち去る時瀬に手を振る。

 俺も寮の方に戻ろうかと席を立ち上がった時、また時瀬が教室に戻ってきた。


「どうした?忘れ物か?」

「ううん。連絡先交換してないな、って思って。大岐くんスマホ持ってるよね?」

「持ってるけど…連絡先ってどう交換するのか分からないぞ」

「貸してくれれば私がやるよ」

 制服のポケットからスマホを出して、彼女に渡した。


 俺たちの高校では、学校からスマホが支給される。

 逆に言えば、元々使っていた携帯電話の持ち込みとその使用は厳禁。

 学校から支給されたスマホは、入れられるアプリケーションが決まっていて、今流行りのソーシャルゲームや外部とコミュニケーション出来るチャットは出来ない。辛うじて、閲覧は出来るものの、書き込みは不可能だ。

 ネット中毒からの離脱や、外部の高校との揉め事を避けるために、このようなことを学校はしていると俺は考える。


「はい。できた」

 時瀬の連絡先が追加された携帯を俺に返した。そのまま「じゃ、また明日」と短く呟き、今度こそ立ち去る。


「ふふーん?もしかして、生まれて初めて貰った女の子の連絡先かしら?」

「初めてなのは否定しないよ。貰ってもチャットするのかって思っただけだ」

「その割には嬉しそうに見えるわよ。和珠っていつもローテンションだものね」

「うるせぇ」

「うふふっ!照れてる〜?」

 茶化すオルデュールに喝を入れる。

 でも、これの言う通り、登録画面を見て少しだけ嬉しい気持ちを抱えた俺がいた。



 ドアノブの修理が無事に終わり、次の日の放課後。

 この学校には普段俺たちが使用している校舎の他に、旧校舎と呼ばれる建物がある。文字通り、昔使われていた校舎だ。現在は取り壊しせず、部室棟として生徒たちの居場所になっている。建物自体は古いものの、よく心霊スポットとして描かれるような木造建築ではない。きちんとした校舎だ。


 俺は部室棟の空き教室にいた。想像していたよりもかなり広い。40人クラスで普通に授業出来るぐらいだ。


 時瀬は生徒会に話があるからと、まだ来ていない。

 空き教室はしっかり片付いていて、俺が早く来て掃除する必要は無かった。備品は全てダンボールに入っている。こっちの仕分けは時瀬が来てから整理した方が良いだろう。

 だからって、突っ立っているのも落ち着かない。

 部屋の片隅にあるパイプ椅子を手に取る。


「オルデュール、お前も座るか?」

「そうするわ。随分と気が利くのね」


 パイプ椅子を三脚取り、並べた。

 広い教室にパイプ椅子が3つ。シュールである。


「物が無い部屋って落ち着かないわよね。ミニマリストってボクからしたら考えられないわ。ねえ、和珠。そこのダンボールから何か物を取り出して飾りなさいよ」

「そうは言ってもさ…。ガラクタばっかだぞ」


 未開封のパーティーグッズやボロボロになったボードゲームなど、使えるのか微妙なものばかりだ。ボードゲームは自作のようだ。俺はそこまでアナログなゲームは好きではないのでスルーする。

 諦めず、ダンボールの底まで漁ると、電気ポットと茶越しが出てきた。茶葉と紙コップもある。この部屋は、俺たちが来る前までは何部だったんだ…。


「辛うじてお茶なら湧かせそうだ。だが、机が無いな…」

「ボクが取って来るわよ。隣の教室も空いてるみたいだったし。さっき覗いたら机が隅に寄せてあったわよ。少しぐらいかっぱらっても無問題でしょう」

「物って持てるのか?いや、物体に干渉出来るから触ったり運んだりするのか」

「もちのろんよ。だってボクは可愛い天使なのだもの。サイキックな天使パワーでいとも簡単に操ってみせるわ!糸だけに!」


 根拠と結論が全く成り立っていない。というか意味が分からない。

「じゃあ、ちょっくら見て来るわね」とオルデュールは退室。広い教室には、備品の入ったダンボールとパイプ椅子三脚と、そのうち一つに腰掛けた俺しかいなくなった。

 やることねぇ…。


 目の前にあるのは黒板。少しだけだが白く汚れている。

 その黒板を綺麗に掃除すべく、試みようとした時だ。

 教室の扉がゆっくりと音も無くスライドした。オルデュールがもう帰って来たのかと、扉の方へ振り向く。しかし、そこには自称天使ではなくーーーー


 金髪の女子生徒がいた。


 金髪は金髪でも、オルデュールのような主張が大人しめの「地毛です」 と言ったようなものではない。アジア人が無理矢理染めて手にした金髪だ。その金髪を後頭部で一つに結ってお団子にしてる。

 そして、全体的に派手である。その要素は金髪だけではなく、健全な高校生はしないような化粧が施されていたり、ピアスが空けられていたりする。

 うちの高校の制服を着ているから生徒であることは間違い無いだろう。その手には入部希望の紙が握られていた。


「誰ですか?」

「わ、わたし…?えっと、くれない…ゆうり、です…。よろしくお願いします」


 俺が敬語で質問したからか、その女子生徒も敬語で返す。見た目はパリピの癖に、随分と大人しい性格らしい。

 お互い棒立ちのまま訪れる沈黙。己のコミュニケーション能力を恨むしかない。


「あ、あの…わたし、入部希望です」

「え?マジで?もう募集のポスター貼ってあったのか?」

「…はい。生徒会室の横の掲示板にありました」


 指名手配ポスターで新設許可下りたのか…。でもあの時瀬なら、生徒会に反対されても上手いことこじつけてごり押ししてそうだが。

 この目の前の少女は、何故こんなやること不明の怪しい部に入ろうと思ったのかさっぱり分からない。幸せを見つけるって何処の新興宗教だと俺は思う。

 棒立ちにさせるのも悪いので、俺は椅子を勧める。


「この部の部長、時瀬って言うんだけど。今、ちょっと用事があっていないんだ。その内来るからそれまで座ったらどうか?」

「ありがとう…ございます」


 入口に1番近いパイプ椅子に腰掛ける女子生徒。スカートを押さえて座る仕草は、お淑やかに見えた。


「…あなたの名前って、何ですか?」

「俺か?大岐だ。学年とクラスは1年B組。くれないさんって何処のクラス?」

「…わたしは1年A組です」

「やっぱ同い年か。それじゃあタメだな。無理に敬語なんて使わなくても良いぞ」

「…お気遣いありがとうございます。でも、これでいいんです。敬語、好きなので」


 やたら間を開けて話すくれないさん。声量が小さいこともあってだんだん眠くなってきた。

 コミュ障の俺は頑張って話題を展開させる。


「くれないってどんな字を書くんだ?」

「…源氏の氏に日向の日の(くら)いに、名誉の名に、井の頭線の井で昏名井(くれない)です」

「紅生姜の紅かと思った」

「紅生姜というチョイスは謎ですが…。よく、そっちの漢字とまちがわれます…」


 オルデュールはまだ帰ってこない。

 あのJアラートよりも煩く、キンキンと耳に響く低級悪魔の産声のような声は、今となると恋しく思う。最終手段である天気の話題に移ろうかと考えていたら、再び部室の扉が開いた。お喋りお化けの帰宅ではなく、部長の時瀬だ。

 時瀬は一時停止し、睨むように昏名井を見つめた。


「なんでこの人、頭にうんこ乗っけてるの?」

「おいおい時瀬さん、それうんこじゃなくてお団子だ」


 第一声がそれかよ。せめて名前だとか、部活見学に来た理由を聞いてやれよ、と心の中で俺は突っ込む。

 自分の髪型をうんこ呼ばわりされた昏名井は、呆然と時瀬を見つめ返す。


「…これ、うんこじゃないです」

「私から見たら立派なうんこに見えるよ」

 立派なうんこって何だよ。排泄物に立派なんて概念は存在するのだろうか。

「あのな。JK2人がうんこを連呼するのはシュールだからやめてくれ…。時瀬も話を聞く態度ぐらいは示してやれよ」

「えぇ…私ビッチ嫌いだし。その品のないパツキンも生理的に無理。そもそもうちの学校で毛染め良かったんだっけ?高校デビューしちゃった感じ、如何にも受け入れられない」

「び、ビッチでもないです…!毛染めは生徒会で特に禁止されていないはず…です」


 一方的な偏見を押し付ける時瀬。健全を逸脱しすぎた姿は俺も好きではないが、あまり罵ると昏名井に精神的ダメージが課せられそうだからやめておく。

 時瀬の暴走を見計らったかのように、また扉が開く。

 噂の人物の登場よりも先に長机が四つ、雪崩のように流れてきて、ベストポジションで停止した。もし、俺が椅子を中央に置いていたら長机と衝突して、体の骨のどこかがご臨終していただろう。


「待たせたわね!和珠、これでいいかしら?」

「お前、殺す気か!?今ひゅんって前髪が逝ったぞ!?ひゅんって!!!!」

「あんた死なないから大丈夫でしょ?あ、でも、もしかして今のが事故というカテゴリーになるなら、お空の向こうに行っちゃうかしら?」

「俺じゃなくても、他の2人がお空の向こうに行っちゃうぞ」


 振り返ると、女子生徒二人組は呆然と立ち尽くしている。俺も正直、オルデュールがポルターガイスト擬きが出来るとは考えていなかったので、明け暮れる。

 異常現象を目の前にして、初めに口を開いたのは昏名井の方だった。オルデュールの方を指す。


「あの小さい女の子って、ポスターに描かれていた子…ですか?」

「昏名井って喋るJアラートが見えるのか?…っても見えなきゃこんな所来ないか」

「喋るJアラート…?もしかして、あの子って人じゃ無いんですか?」

「ああ。俺の背中にくっ付く背後霊だ。目を付けられると祟られるから気を付けろよ。名前はオルデュールって呼んであげてくれ。きっとあれも喜ぶ」

「誰が背後霊よ!ゴミから疫病神にランクアップしてるじゃない!」


 ランクアップして良かったじゃん、じゃなくて。

 俺に面倒な呪いを押し付けた当の本人はお前だろう、と言いたい。


「なあ時瀬。オルデュールが見えるなら、昏名井をこの部に入れても良いんじゃないか?逆に5人揃えなきゃ部の創設は認められないようなもんだし。部員を選別するほど今の俺たちには余裕は無いと思うぞ」

「なあゴミ。和珠(なごみ)…大きなゴミ…」

「時瀬さん…もしかして怒ってるのか?」

「怒ってないよ。別に怒ってないよ」

「やっぱ怒ってるだろ…」

「大岐くんの言ってることが、正論だっただけ。あと個人的に、このビッチが気に入らない」

「だ…だから!ビッチなんかじゃないです…!」


 顔を真っ赤にして反論する昏名井。その効果音かのように、電気ポットからお湯の沸く、ふつふつとした音が鳴る。

 空気を読まないオルデュールが、電気ポットで湧かしたらしい。紙コップでお湯を注いで茶を煎れる。


「うん、普通の煎茶ね。上級品ではないみたいだけど、とっても美味しいわ」


 注いだ茶を毒味したオルデュールは、俺たちの前にある机に、それが入った紙コップを置いてく。服装からか、若干メイドっぽさを感じた。いや、この場合はメイドならぬ冥土か。メイドを勤める女の子はもっとお淑やかな方が好みである。


「ねえそこの性悪。お茶飲んだらどうかしら?温かいものを飲んだらきっと落ち着くわ」

「そろそろ時瀬って呼んでよ…」

 苦笑いしつつ、時瀬はオルデュールのお茶を飲む。「美味しい」と声を漏らす時瀬。

 そんなに美味しいのかと試しに俺も啜ってみる。

 …意外と美味しかった。オルデュールの方に顔を向けると「30秒浸出させるのがコツよ」と相変わらずの得意顔で胸を張った。


「昏名井さんは、そのうんこヘアーをどうにかして来るならいいよ」

「そうすればこの部活に入れてくれるんですか?」

「まあ。仮入部ってことで」


 昏名井が手にしていた入部希望の紙を、時瀬は受け取る。何がどうあれ、丸く収まりそうで良かった。


「ところで、昏名井さんは、どうしてこんな馬鹿みたいな名前の部活に入ろうと思ったの?ただのお遊びするクラブにしかならないと思うよ?」

「…あの子が見えたからってのもありますが…。貼られたポスターを見て、ちょっとだけ面白そうだなって思いました」


 昏名井の言った単語に「あの子ってボクのことね!?可愛いボクのこと!?」と異常な程に反応するオルデュール。煩わしいので、熱湯が入った紙コップを首筋に当てとく。あと、さらっと時瀬さん、馬鹿みたいな名前の部活って言ったよね。


「面白そう?あんな指名手配のポスターで?」

「ポスターが、と言うより、あの絵を描いた人は絶対面白い人だってことが伝わってきました。あれ、時瀬さんが描いたんですよね。すっごいセンスを感じます。ああいうの、わたし好き…です」

「そ、そう…かな?……ありがと」


 時瀬が柄にも合わず、珍しく照れる。少しだけ物腰が柔らかくなった時瀬に、昏名井が再び話かける。友達として距離を詰めたいと思ったのだろうか。


「時瀬さんって下の名前はなんて言うんですか?わたしは結璃(ゆうり)って言うんです。昏名井結璃です」

「そう。私の名前は、散華の華に、撫子で華撫(かなで)って書く」

「じゃあ、華撫ちゃんって呼んでも良いですか?」


「却下ね」


 相手が同性でも、下の名前で呼ぶことは駄目らしい。

 今日の報告。部員が3人になりました(仮入部員含む)。

ギャグを書くって難しひ

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