盾の購入
昨日は晩御飯を食べた後ゲームをせずに寝ることにした、なので現在の時刻は朝の7時、ゲーム内時刻は夜中だろう。できることは錬金ぐらいだが、前のようになにかのクエストで使えるアイテムが作れるかもしれないと思いログインすることにする。
「リンク・オン」
ーーーーー
ログインをして目を開けるとそこは噴水広場だった。どうやら街中でログアウトするとここからログインするらしい。とりあえず目立たないようにするために近くの路地に入っていく、なにやら視線を感じた気がしたが気のせいだろう。
しばらく路地を歩き広場の声が届かなくなったところで座り込みカバンから錬金セットを取り出す。とりあえず回復薬を錬金することにする、回復薬はいくらあっても困らないからだ。雑草の中から丸い草を選り分けていく、59枚のうち10枚しか丸い草はなかった。どうやら丸い草は少ないらしい、探した場所が悪かったのかもしれないが。
次に筒に骨を入れ分解して骨粉を作る、これを何回か繰り返し準備は完了だ。
釜に汚水を注ぎ丸い葉を浮かべる。汚水を使うのは水を作るを製作できる数が減るからだ。スイッチを押して混ぜながら骨粉を入れていく。
「ん?」
釜の様子がおかしい。具体的に言うと前回よりも光の量が少ないのだ。材料も手順も前回と同じようにしたつもりだし何がいけなかったのかわからない。原因となった理由を考えているうちに釜から弱々しい光とともにアイテムが出てきた。
<ケイの下位回復薬:失敗>レア度:1
ケイが錬金術で作り出した失敗作の回復薬、HPを15回復する。名称及び本文よりプレイヤーネームを削除可。
どうやら失敗作らしい、なぜ失敗してしまったのか思い悩んでいるとある一文を思い出した。釜と棒の説明欄にあった「成功率は高く無いが」の部分だ、おそらくこの成功率というのは材料の組み合わせによるアイテムロストの失敗ではなく、アイテムの性能を下げてしまう失敗に関係しているのだろう。しかも使用している錬金術も最下位錬金である、こちらは特に説明が無いので成功率に関係しているかは未知であるが。つまりいい釜と棒で錬金をしないとアイテムが揃っていても失敗作を作ってしまうかもしれないということだ。
新しい錬金道具を買いに行こうか悩んだがどうせ材料はそこらに落ちているアイテムだ。今あるお金は装備の方に回したいのでとりあえずこのまま錬金を続けることにした。いずれレアアイテムを材料にするときに買いに行くとしよう。
「ふぅ、このぐらいで一旦休憩するか」
残り9枚あった丸い葉を錬金し終えたところで一旦休憩することにした。どうやら前回の錬金時の成功率はだいぶ高かったらしい、今回は初めの失敗作を含め10個中7個が失敗作だった。しかし配布ポーションより劣るとはいえタダ同然で手に入る回復薬としては十分な性能だろう。
時計を見れば日付が変わっていた、おおよそ3時間くらい錬金していたということだ。
一度錬金道具を片付けて買い物をすることにする。このゲームは時間帯によって出現するモンスターなどは変わるが、店なんかは一部を除き何時でも開店しているらしい、超ブラック企業の集まりである。
路地を抜けて大通りへと出て防具屋探すことにする。なぜ防具なのかというと盾を探すためである。ホーンラビット戦では相手の単調な動きと体軀の小ささからなんとか戦えたが、ゴブリンなどで同じような戦法が取れるとは思わない。いくら戦闘ができるとはいえスキルが無いのでそれなりに時間がかかる、時間がかかるということはリスクも増えるということだ。であればそのリスクを減らすために身を守る盾を購入するのは当然であろう。
歩いて5分防具屋らしき店を発見することができた。店頭にかざかられている鎧を横目に店内に入る。
「いらっしゃい!マーセル防具店へようこそ。何をお求めかな?」
店内に入るなり大声をかけられびっくりする。声のした方に顔を向けると大きなヒゲと筋肉がもりもりとしたいかにもドワーフというような人が立っていた。
「おおすまねぇ。びっくりさせちまったみてぇだな、声がでかいのはもともとなんだ許してくれ」
「ああ、大丈夫だ。店に来たのは盾を探しているんだなにかいいのはないか?」
「盾か、ちょいと待ってくれ」
そう言いながら俺のことをじっと見つめてくるドワーフ(仮)、何か声をかけようとしたとき彼は店の奥に走って行ってしまった。
なんだったのかと思案していると店の奥から盾を何枚か持って現れた。
「ふぅ。こいつらなんかどうだ。嬢ちゃんにぴったりだと思うぜ」
そう言いながら4枚の盾を見せてくる。
<粗銅の盾>レア度:1
適正レベル:2 必要ステイタス<STR:10> VIT+2 耐久値30/30
粗銅で作られた盾。耐久力は高くないが軽くて扱いやすい。
<角兎の盾>レア度:2
適正レベル:3 必要ステイタス<STR:11,INT:15> VIT+5 耐久値70/70
ホーンラビットの毛皮で作られた盾。毛皮の性質から物理的な攻撃を完全受け止めることができるが扱いが難しい。火属性の攻撃に弱い。
<針蜂の盾>レア度:2
適正レベル:3 必要ステイタス<STR:12,AGI13> VIT+4(+2) 耐久値90/90
ニードルビーの甲殻で作られた盾。軽くて耐久値が高く扱いやすい。一定の速度以上で移動中に限り性能が上乗せされる。
<火石の盾>レア度:3
適正レベル:3 必要ステイタス<MP:100,INT15> VIT+2 耐久値50/50
火の魔力の籠った石を基本に作られて盾。魔力を流すと<火弾>を発動することができるが発動するたびに盾にダメージが入る。軽いが防御力も低く扱いにくい。
驚くことにどれも必要要件をクリアしたものばかりだった。持ってくる前にこちらをじっと見ていたので看破系のスキルでもあるのかもしれない。しかし迷う、特に角兎と火石だ。今回の目的を考慮すると角兎が最適だろう、しかし魔法が使えることを考えると火石の方に気持ちが傾く。
「ちなみに値段はいくらなんだ」
「ああ、それも重要だな。粗銅が1,000G、角兎と針蜂が4,000Gで火石が8,000Gだ。火石はここらじゃ珍しいからな少し高いんだ」
「むぅ」
現在の所持金は6,750Gだ。火石の盾には足りない、仕方ない角兎の盾にしておくか。
「角兎の盾を買うよ」
「毎度あり、ありがとな嬢ちゃん」
「嬢ちゃんって呼ぶな、名前はケイだ」
そう言いながら取り出した4,000Gを渡す。
「お、そうか悪かったな。ちょうどだな、じゃこれからも何かいるならきてくれよなケイ」
「おう」
そういいながら店を出る。さっそく盾を装備してみた、表面はウサギの毛で覆われていてふわふわである、気持ちいい。ふわふわな毛は結構な弾力はあり確かに攻撃を受け止めるのに十分なものだと思う。
そしてケイは新しい盾を手に入れて上機嫌になりスキップしながら露店めぐりを始めた、周りの視線に気づかずに。
クエスト追加しました。できるだけ早く投稿したいですが不定期更新になりそうです
-----
名前:ケイ 種族:ヒューマン レベル:4
ステイタスポイント:0 スキルポイント:3
HP 120/120 MP 70/100(+6) 満腹度69%
STR 12
DEX 10
VIT 16(+6)
AGI 14(+1)
INT 16(+2)
MND 10
LUK 10
スキル(3/3):<錬金術:2>
「錬金の基本:Passive」<分解><合成><最下位錬金>
<偵察:1>
「イージーステルス:4」
<探索:3>
「もの探し:Passive」
装備:右手 :錬金術士見習いの杖
左手 :角兎の盾
頭 :錬金術士見習いのフード(胴上のオプション)
胴上 :錬金術士見習いのローブ
胴下 :旅人のズボン(デフォルト)
靴 :偵察者の靴
アクセ1:探索者のカバン
アクセ2:なし
アクセ3:なし
持ち物(22/40):初心者ポーション*5、簡易錬金セット、石ころ*30、石ころ*30、石ころ*12、大きな石*1、雑草*30、雑草*19、汚水*23、ウィケストマウスの骨*24、ウィケストマウスの骨粉*5、ケイの下位毒薬*1、ケイの下位回復薬*1、ケイの下位麻痺薬*1、ケイの下位睡眠薬*1、ケイの回復薬*1、ホーンラビットの毛皮*10、ホーンラビットの肉*9、ホーンラビットの串焼き*9、ホーンラビットの赤い目*1、ケイの下位回復薬:失敗*7
所持金:2,750G
称号:なし
所属ギルド:冒険者ギルド
クエスト[冒険者ギルド(3/3)]<ホーンラビット討伐:clear><ゴブリン討伐><ビックラット討伐>
[ミドガ暦1年1月4日AM2:00][西暦2161年7月19日AM8:40]