別れと贈り物
メインタイトルを少しいじりました。
「次で説明は最後にしようかの、融合の説明じゃ。融合も儂の創作した錬金術の1つじゃ。この錬金術の特徴は生きた人体と他の物質、又は他の生物との一体化じゃ。この一体化は先程のグラミラスの同化とは少し毛色が違う。グラミラスの同化はグラミクスが儂らに寄生し利益を得、その返礼としてマナを宿主に渡す。そしてある程度の条件を満たせば宿主と同化するのじゃがどれだけ時間が経とうと宿主とグラミクスは1つではなく2つの生物であることは変わらん。触手の顕現もあくまでグラミクスの返礼の一種じゃ」
「つまり俺が死んでもグラミクスは死なないのか?」
「然り、グラミクスは儂らの体中にその身を分けマナの吸収を行っておる。儂らからある程度の栄養補助は受けてはおるが依存はしておらん、いざとなれば分離できるのじゃ。流石に儂らの肉体が塵をも残さず消えてしまえばグラミクスも死んでしまうが戦いの傷が原因で死んだり、毒や病で死んだところでグラミクスは死なん」
グラミクス、あんな小ささで意外としぶといらしい。
「じゃあ融合はどうなんだ」
「融合は同化とは違い、完全に1つになる術じゃ。人や魔物、その他生物の中には生まれ持って特殊な能力を持つ個体が居る、この者たちを異能者と呼んでおる。異能は完全に先天的な能力で後天的に得る方法はない、融合以外はな。
これには理由がある。例えば、魔眼はその目に特殊な因子が刻まれておる、その因子が作用して特殊な効果を発揮するのじゃ。この因子は曲者での、持ち主のマナと意志がなければ発動しないのじゃ。他の異能者も同じじゃ、異能を持つ箇所に因子が刻まれておる。例外として特殊な魔術を使える異能者は特定の箇所ではなく全身に因子が刻まれておる。マナならどうにか出来んこともないが、意志となると非常に難しいのじゃ。
じゃが融合はそれを克服したのじゃ!融合はただの術ではない、世界の認識を欺き「初めからそうであった」と世界を書き換えるのじゃ。初めからそうであったのなら異能は儂らのもの、儂らのマナと意志で問題なく発動するのじゃ」
「世界を書きかるなんてことをして、揺り返しはないのか?」
「あるぞ。融合をした時の痛み、それが代償じゃ。全身に刻まれた異能を取り込むときはより多くの代償が必要になるが、やりようはいくらでもあるしの」
あの痛みを超える代償か、少し怖いな。でもなんとかできるなら気にすることはないか。
「ちなみに異能持ちはどのくらいいるんだ?」
「異能の程度や種類によるの。有名所で言うと、協会が囲っておる<聖女>の<神聖術>、一級冒険者<紅蓮>の<地獄炎>、王国の切り札・宮廷魔術師<氷獄>の<氷界の使者>かの。ああ、この街にも<神の御使い>を持つものが居ったがあれは駄目じゃぞ。
この機会じゃ忠告しておくぞ、神に会ったとしても奴らの言葉に惑わされるな。奴らは儂らを惑わし、その様を鑑賞し遊ぶ者共じゃ」
なんと神まで存在するとは、この世界はどんなに広いんだろう。
「神が存在するのか?」
「存在するとも。儂がどれほど奴らに邪魔をされたか、特にフォルセティには煮え湯を飲まされたわい。お主も警戒するのじゃぞ」
「分かった。そういえば師匠は魔眼なんかは持ってるのか?」
「儂か?うーむ。まぁよかろう、全ては教えてやることは出来んが一部は教えてやろう。参考にするがよいぞ。まずは<遠視>が使える<鷹の目>、魔力操作が極限まで精緻になる<神の御手>、識らぬ事への閃きを得る<未知の知>ぐらいかの。あとは儂の生命線に深く関わってくるのでな、たとえ弟子であっても教えられん」
「錬金術を、いや、いかなる術であろうと術を極めんとするならばあらゆる犠牲も厭わずに、あらゆる障害にも立ち止まらず己の術を磨くのじゃ。
まぁ、お主も異能持ちを見つけたら積極的に奪うがよいぞ。それが錬金術を磨く手助けになるかもしれんしの。そうじゃこれをやろう」
そう言って師匠が渡してきたのは少し大きめの箱だった。
「これは儂お手製の解体セット。これを使えば切り取った部位を長く保管できる。錬金術で創ったものじゃから解体に特化しておっての、解体に使う時必要以上に素材を傷つけずに済むのじゃ。解体するときは殺してはならんぞ、殺せばすべての生物は一部を残してマナへと還ってしまうからの」
魔物なんかを倒したら素材を残して消えてしまうのにはきちんと理由があったようだ。
「ありがとうございます、師匠」
これはいいものを貰った、麻痺薬さえあればホーンラビットの素材なんかが取り放題じゃないか?
「さて、錬金術の基本的な説明も終わったことじゃし。修行じゃ、術を上達させるには実践あるのみ。マナの許す限り錬金じゃ」
この後めちゃくちゃ錬金した。
ーーーーー
<スキル<錬金>がレベルアップしました>
「む。そこそこ錬金が上達したようじゃの。このぐらいでよいかの」
師匠が終わりを告げたのはスキルレベルの通知が8回目をカウントしたときだった。
「疲れたー」
「これが最後の一本じゃ、無くなる前に終わってよかったわい」
そう言って師匠が渡してきたのはマナが切れるたびに渡してきたMP回復薬だ。感覚的にMPが切れかけているのも分かるようになってきたので有難く頂く。
「この程度にまで錬金術が習熟すれば錬金術師を名乗っても恥はかかんじゃろ。儂の弟子としても十分じゃ」
<称号<テオフラストゥスの弟子>を更新しました>
<スキル<闇の錬金術>が取得可能スキルに追加されました>
<スキルスロットが1つ増加しました>
「闇の錬金術も問題なく使えるようになるじゃろう」
そう言われたのでステイタス画面の取得可能スキルを見ると0ポイントで闇の錬金術が取得できるようになっていた。枠も増えたので取得する。
<スキル<闇の錬金術>を取得しました>
<称号<テオフラストゥスの弟子>が<テオフラストゥスの愛弟子>に変化しました>
「大丈夫なようじゃの。まだまだ教えてやりたいが儂はやらねばならぬことがある。ひとまずの別れじゃ、次に会う時どれほど成長しているか楽しみじゃ」
どうやら師匠とはお別れらしい。少し寂しいが逆に次にあったときにあっと驚かせる程の成長を見せようと思う。
「最後にこれをやろう」
師匠が渡してきたのは何かが書いてある紙束と目玉、悪魔の残滓だった。
「紙の方は新たに使えるようになったであろう術の仕組みと用途を記したもの。目玉はお主が欲しているものじゃ。目玉の効果は使ってからのお楽しみじゃの。残滓は何個かあるから積極的に使うのじゃぞ」
師匠は置いてあった杖を取り扉の方へと歩いて行く。
「それではの、次に会う時を楽しみにしておるぞ」
そう師匠が言った瞬間、師匠は闇に包まれ姿を消した。
最後に渡された目玉がなんなのか、ワクワクが止まらない。
飲み薬は一応ある程度空腹を満たします。
フォルセティは正義、平和、真実を司る神です。どういう意味かお分かりですかな?(17/07/15 17:04)追記
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<ステイタス>
名前:ケイ 種族:ヒューマン レベル:5
ステイタスポイント:0 スキルポイント:3
HP 120/120 MP 210/80(+14)[+14]→212/220 満腹度42%
STR 12(+1)[+5] →18
DEX 10 →10
VIT 13(+17)[+5] →35
AGI 13[+5] →18
INT 17(+33)[+13] →63
MND 10(+16)[+4]→30
LUK 10 →10
スキル(4/4):<錬金術:12>
「錬金の基本:Passive」<分解><合成><最下位錬金>
「初級錬金:Passive」<下位錬金>
「中級錬金:Passive」<中級錬金><マナ錬金>
「上級錬金:Passive」<上級錬金><魔術錬金>
<偵察:1>
「イージーステルス:4」
<探索:4>
「もの探し:Passive」
<火術:1>
「ファイアボール:5」
<闇の錬金術:1>
「闇の錬金術の基本:Passive」<変質><融合>
特殊スキル:<夜目>
<触手:グラミラス>
装備:右手 :錬金術士見習いの杖
左手 :角兎の盾(55/70)
頭 :森狼のマジックハット(100/100)
右腕 :なし
左腕 :なし
胴1 :森狼のマジックローブ(140/140)
胴2 :森狼のマジッククロース(140/140)
靴 :森狼のマジックブーツ(80/80)
アクセ1:探索者のカバン
アクセ2:ゴブリンの首飾り(5/10)
アクセ3:なし
持ち物(32/40):初心者ポーション*5、簡易錬金セット、石ころ*30、石ころ*30、石ころ*12、大きな石*1、雑草*30、雑草*30、雑草*29、汚水*12(5%↑)、ウィケストマウスの骨*16、ウィケストマウスの骨粉*1、ケイの下位回復薬*5、ケイの回復薬*1、ホーンラビットの毛皮*17、ホーンラビットの肉*12、ホーンラビットの串焼き*7(25%↑)、ケイの下位回復薬:失敗*2、ボロ布*4、ビックラットの牙*1、ケイの下位回復薬:失敗*2、錬金術士見習いのローブ*1、偵察者の靴*1、テオフラウトゥスの魔法陣*1、ミスリルの釜*1、ユグドラシルの枝*1、ミスリルの筒*1、採血のナイフ*1、テオフラストゥス印の解体セット*1、テオフラストゥスのメモ*1、???*1、契約の悪魔の残滓*1
所持金:4,250G
取得可能スキル:なし
称号:<座標同期者><テオフラストゥスの愛弟子><夜目の魔眼><自己改造><ダークアルケミスト><宿主><魔蟲の同化者>
所属ギルド:冒険者ギルド
クエスト[冒険者ギルド(2/3)]<ゴブリン討伐(0/5)><ビックラット討伐(1/5)>
[Extra]<錬金術士・テオフラストゥス>
[ミドガ暦1年1月6日PM4:00][西暦2161年7月20日AM5:20]




