パーティー
ゴブリンを見つけた。2匹で組んでいるゴブリン達だ、今こちらは岩陰から覗き見ているので気づかれてはいない。正直戦うか迷っている状況だ、先ほどの戦いのときは麻痺させた上で3回も殴って倒すことができた。このことを考えると2匹同時に戦うのは無謀だろう。
「ちょっといいか?」
突然の声に驚きながら声のしたほうを向く。同じプレイヤーのようだ、剣と盾を装備しているので剣術と盾術をとっているのかもしれない。見た目は強面のおっさんだった、あごひげが少しかっこいい。しかしなんの用だろうか?
「一人だよな?俺も一人でここまできたんだが分が悪いんだ、パーティを組んでくれないか?」
なんとパーティーのお誘いだった。ぼっち同士一緒に戦わないかということらしい。確かにいい提案だ、どうしようか。
「警戒するのはわかる、だがやましい気持ちはないんだ。組んでくれないか?」
やましい気持ち?俺なんかにそんな気持ちを抱くはずが・・ああ、そういえばアバターは幼女?少女?な感じだった。おそらく悩んでいる姿を見て警戒しているのだと思ったのだろう。しかし渡りに船である、二人ならば勝てるかもしれない。
「その提案受けさせてもらうよ。よろしく、ケイって呼んでくれ」
「それはありがたい、こちらこそよろしく頼むケイちゃん。俺はガドル、呼び方はなんでもいい」
「じゃあガドルって呼ばせてもらうよ。あとちゃん付けはやめてくれ」
「ん?いや、わかった。じゃあよろしくケイ。じゃあ申請を送るぞ」
ガドルから送られてきた申請にOKを返してする。
<<ガドル>さんのパーティーに参加しました>
「ケイもゴブリンを倒しに来たんだろ?とりあえずあそこにいる2匹からでいいか?」
「ああ、それで構わない」
「俺は剣と盾を使うんだがケイは何を使うんだ?杖を持ってるから魔法か?」
「いや、杖で殴る」
「殴る?棒術か?」
「いや、他のスキルでスロットが空いてなかったんでな。ただ殴るだけだ」
「そうなのか。じゃあ俺が前からやつらを抑えるから隙をついて殴ってくれ」
「了解」
「じゃあいくぞ」
そう言ってガドルは岩陰を飛び出しゴブリンの元へ飛び込んでいく。ゴブリンは飛び出したガドルのほうを向いているので、気づかれないように側面へ回り込む。
「シールドバッシュ!」
ガドルがそう叫ぶと盾がきらめき殴られた片方のゴブリンが吹きとび転がっていく、そして残った方の攻撃を盾で受け止める。
「スラッシュ!」
すると今度は剣がきらめきゴブリンにダメージを与える。俺はよろめいたゴブリンに近寄り足を狙って杖を殴りつける。バランスを崩したゴブリンは転倒し仰向けになる。無防備な頭にすかさず杖を殴りつける。
「ナイス」
そう言いながらガドルも倒れたゴブリンを剣で切る。あっという間にゴブリンはHPを失い砕け散る。
転がっていた方に目を向けるとすでに立ち上がりこちらを警戒していた。ガドルが前に出て盾で攻撃をいなしながらゴブリンに切り掛かる。スキルを発動していないのでおそらくクールタイム的なのがあるんだろう。俺もゴブリンの背後に回り杖を背中に叩きつける、コブリンは俺たちを遠ざけようと腕を振り回すがガドルは盾で防ぎ、俺はそもそも背後にいるのでほとんど届かない。
そうして2匹目のゴブリンもあっけなく砕け散った。
<<ボロ布>がドロップしました>
<<ゴブリンの首飾り>がドロップしました>
<レベルがアップしました>
<スキルスロットが1つ解放されました>
<ゴブリンの首飾り>レア度:1
適正レベル:1 必要ステイタス<なし> STR+1 耐久値20/20
ゴブリンが稀に身につけている首飾り。性能も質も高くはない。
とりあえず首飾りを装備しておく。
やっとレベルが上がった、そしてスキルスロットも1つ増えた。これで戦闘系のスキルを手に入れられる。しかし他に誰かがいると戦いやすい。だが戦闘中に思ったことがあったのでガドルに聞くことにした。
「なぁ、ガドル。あれだけの戦いができるなら1人でも戦えると思うんだが」
ガドルは仮想ウィンドウから目を離しこちらを向く。
「そりゃ2匹相手なら戦えないこともないがゴブリンは基本4,5匹で群れてるからな。だからパーティーを組もうと思ったんだよ」
なんとゴブリンは基本たくさんで群れているらしい。初めて会ったのがはぐれでよかった、もし群れに当たっていたらやられていただろう。
「なるほどそういうことか、ゴブリンが基本群れなのは知らなかった。初めて戦ったのが1匹だったから基本群れないのかと思っていたんだ」
「そりゃ幸運だったな。もし群れとやりあってたらやばかったと思うぞ。俺も逃げるのでいっぱいいっぱいだったからな」
「じゃあ次も少数もやつを探すのか?」
「そうしたほうがいいだろうな、スキルのクールタイムもスキルレベルが低いから短くはないしな」
やはりスキルにはクールタイムがあるらしい。スキルを取るときはそのことも考えて選んでいくことにしよう。
「ケイはあと2匹でクエストが終わるのか?」
「ああ、ガドルは何匹なんだ?」
「俺はさっきのが初だったから後3匹だ」
「なら3匹倒したら街に戻るか」
「そうだな、とりあえず2匹か3匹の群れを探すか」
初めてのパーティー戦だったが、思ったよりもうまくいきそうである。
ゴブリンを倒している様子は見た目リンチですw倒れたゴブリンを杖と剣で殴っているだけなんでw
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<ステイタス>
名前:ケイ 種族:ヒューマン レベル:5
ステイタスポイント:5 スキルポイント:4
HP 109/120 MP 67/100(+6) 満腹度51%
STR 13(+1)
DEX 10
VIT 16(+6)
AGI 14(+1)
INT 16(+2)
MND 10
LUK 10
スキル(3/4):<錬金術:3>
「錬金の基本:Passive」<分解><合成><最下位錬金>
<偵察:1>
「イージーステルス:4」
<探索:3>
「もの探し:Passive」
装備:右手 :錬金術士見習いの杖
左手 :角兎の盾
頭 :錬金術士見習いのフード(胴上のオプション)
胴上 :錬金術士見習いのローブ
胴下 :旅人のズボン(デフォルト)
靴 :偵察者の靴
アクセ1:探索者のカバン
アクセ2:ゴブリンの首飾り
アクセ3:なし
持ち物(20/40):初心者ポーション*5、簡易錬金セット、石ころ*30、石ころ*30、石ころ*12、大きな石*1、雑草*30、雑草*10、汚水*14、ウィケストマウスの骨*23、ウィケストマウスの骨粉*1、ケイの下位回復薬*1、ケイの下位睡眠薬*1、ケイの回復薬*1、ホーンラビットの毛皮*13、ホーンラビットの肉*11、ホーンラビットの串焼き*9、ホーンラビットの赤い目*1、ケイの下位回復薬:失敗*2、ボロ布*2
所持金:13,750G
称号:なし
所属ギルド:冒険者ギルド
クエスト[冒険者ギルド(3/3)]<ホーンラビット討伐:clear><ゴブリン討伐><ビックラット討伐>
[ミドガ暦1年1月4日AM6:30][西暦2161年7月19日AM10:10]