第5章 妖怪魔(デーモン)の恐怖!
2時間ほど歩くと、そこには朱雀の言った通り敵の本拠地らしきものがあった。
「洞窟か...」
あまり気乗りしなくても、妹への愛が勝る。
そして、洞窟内へと入っていく。
洞窟内は薄気味悪く、ジメジメとしていた。苔も周りにはたくさんはえ、変な匂いまでしてくる。
前進しても階段しかない。どうやら洞窟の最深部に妖怪魔と、その部下《まあ雑魚と言えるくらいの》たちがいるらしい。
とにかく階段を降りる、降りる、降りる...
随分と降りたところで、光が見えてきた。
「どうやらようやく最深部についたようだな...」
さらに奥に進むとそこには妖怪たちが酒を飲んだり、ご飯を食べていた。
強力な能力値が感じられないとすると、どうやらこいつらは雑魚らしい。
とりあえずぶっ飛ばそうと思い、雑魚たちの目の前まで行く。
「なんだテメェ?やんのか?て、おい!人間じゃねぇか!!」
妖怪たちはひどく驚いた様子で、大笑いしていた。
「ここは人間の来るところじゃねえんだよ。わかったらとっとと帰りな!」
しかし俺は気にしない。
「妹を返せこのクズが」
その後に放った咆哮と共に妖怪たちを殴り倒していく。
数はおそらく100人に満たない。これなら俺ひとりでも余裕だ。能力を使うまでもない。
「おらおらおら!!大口叩いてた割にそんなものかぁ!!」
こうして次々と敵を、妖怪を倒していく。
と、半分ほど倒したところで、広場の入口から凄まじい轟音がした。
「おいてめぇら!人間相手に何を手こずっている!さっさと殺せ!!あぁ、てめぇ、凄力泰成だなぁ?2週間ほど前に異世界にきたって部下から聞いてるぜ。そりゃ並の部下には倒せんな。俺が相手だ」
話を聞く限り、こいつがおそらく『妖怪魔』だろう。
かなりの能力値だ。肌でビリビリと感じる...
「その前に俺の妹はどこだ?」
一番尋ねたいことを尋ねた。
「あぁ、あいつぁ殺しちまったよ。ビービー喚くもんだからな」
瞬間、俺の頭の何かがプツンと切れた。
「てめぇはぶっ殺してやる!!!!」
「そんなに妹が大切か?笑わせる!」
そしてーーーーーーーーーーー
完璧にブチ切れた。
「妹が好きで何が悪い!!!!!!!」
怒号と共に、敵の懐へ飛び込む。
拳を握り、能力を発動させる。
そして、泰成の拳が黒くひかり、妖怪魔の腹に綺麗に入った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お、はじまったか」
金色の肌に包まれた一人の男は、空を見上げて呟く。
彼の足元には、血に濡れた妖怪の死体が転がっていた。ちなみに全てAランクの敵だ。
「こっちも俺を馬鹿にする奴はぶっ飛ばしたし、ちと様子をみてこよーかなー?」
しかしふとベルの音が鳴る。
ピッという音で通信を通すと、そこには親父の声があった。
「早く戻ってこい。次の仕事が来てるぞ」
そう告げられると、通信は切れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
完璧に入ったはずだった。が、妖怪魔はぴくりとも動かない。
瞬間、妖怪魔の手からキラリと光るものが見えた。
とっさに避けると、その光るものをじっくりと見た。
ーーーーーーーーー氷の剣だ。
「俺の能力は『氷の勲章・物体化型』だ」
そう告げると同時に、泰成の肩に切り傷がついていた。
「速いな...」小声で呟く。
持久戦に持ち込まれたら不利だ。全能力値を放出して一気に片をつける!
そして、全能力値を右拳に集中させる。
地が揺れる。間違いなく今の強さはBランクだ。
「うぉぉぉぉぉぉおぉぉお!!」
と、妖怪魔の顔面めがけて拳を打つ。
しかしーーーーーーー
つるっ!
「な、にぃ!!!!」
妖怪魔は自分自身の左手に半球体の盾をつくり、攻撃を受け流していた。
そして、次の瞬間、泰成の両足が切り取られる。
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
痛みで頭の中が真っ白だ。とんでもない量の血が流れている。
「次は両腕だ。苦しんで死ね」
そして、両腕も切り取られる。
大量の血が出る。
ーーーーーーーーこれが、走馬灯ってヤツか...
今までの思い出が蘇る。
妹とお風呂に入り、妹と一緒に寝たり、妹と一緒にゲームをしたり…
かぞえているときりがない。それほど思い出があったのだ。
ーーーーーーーくそっ!あいつに傷一つつけることができなかった!!
...ごめん...雅...敵...取れ...なくて...
そして...
泰成は死んだ。
どうもらぶもうとです。
はい、主人公死んじまいましたねww
まぁ、一応これからも続くので、よろしければご覧ください。
次回、世界変わります。
では...