第4章 参の試練 〜third step〜
白虎との修行から2日後、泰成は朱雀のところへと向かっていた。
ちなみに人間界を離れ、およそ1週間ぐらいだ。もう泰成には、プロレス世界チャンピオンレベルにまで力を伸ばしている。
そして...
「ここか...」
それは白虎のところからすぐ近くにあった。朱色の扉だ。そして、扉を開く。
「お!おめーが泰成か!」
そこにいたのは赤い髪を腰近くまで伸ばし、目は赤く、体に描かれている紋章は鳥の形をしている高身長の男、朱雀だった。
「ここではどんな修行を?」
「あぁ、ここでは勲章の力を伸ばしてもらう。確かおめーの勲章は力だったよな?」
「そうだ。どうやら俺の能力は肉体をオーラで強化できるものらしい」
「ならばまずはそのオーラを、使って30分戦える力を身につけてもらおう。やり方は簡単だ。オーラで体を纏い、そのあたりを殴っていればいい」
俺は顔を顰めた。
なぜなら、白虎と戦った時は、一瞬で力尽きたからだ。
するとそこで目つきを鋭くした朱雀が
「1週間やろう。ダメだったら、とっとと帰りな」
と、淡々と告げた。それは怒りでも悲しみでも嬉しさでもない、表現しようのない感情であった。
こうして、泰成の参の試練が始まった。
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とある祠にとある女がいた。
彼女は、その祠の一番奥にある貴族でも座ってそうな椅子に座り、頭に手を当てて悩んでいた。
「あいつが、この異世界に来ている...。となると、妹を助けに来たのか...」
彼女はそうぼやくが、心配の色を見せない。
「まぁ、死んで戻ってこないでね…。わたしは貴方を想う者ですから...」
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おそらく、もう1週間はたっただろうか。
泰成の戦闘時間は1時間近くにまで長くなっていた。
「よし、そろそろかな...」
朱雀が満足そうにつぶやくと、1枚の大きな紙を持ってきた。
「泰成、話がある」
「なんだ?」
「敵の情勢についてだ」
俺はすぐさま朱雀のところへと走る。
「いいか?この異世界に、能力者のランク付けというものがある。大きく分けてこうだ。
『Sランク→Aランク→Bランク→Cランク→Dランク→Eランク』
ちなみにおめーはDランクの中堅と言ったところだ。お前がこれから戦う相手はCランク、まだおめーには力が足りん。でも、おめーは妹が傷つけられる、などといった行為をされるとBランクの下っ端ほどに能力値が上がる。それを予想して、おめーをそろそろ『妖怪魔』と戦わせようと思っている。それと、俺たち3人のレベルはAランク、青龍はSランクだ」
「なるほど...。お前、妹が傷つけられることを予想して、俺を戦いの場に出させると、そうかそうか。そういうやつだったのか...」
そこで一間置いて、
「妹は無傷で助けだす!たとえ俺と敵の能力値がかけ離れていたとしても!!」
俺は吠える。妹が好きだから。唯一無二の存在だから。
「よく言った!それでこそ男だ!敵の本拠地はここから南に2時間くらいだ。それと、これを持っていけ」
そこで朱雀は小袋を1つ、泰成に投げ渡す。
「それは、『セイズルの秘薬』、無くなった能力値を全回復させることのできる物だ。必要な時に飲め」
「あぁ、ありがとな」
こうして、部屋の出口へと向かう。
決して振り向かずにーーーー
「死ぬなよ」
その言葉だけが、頭の中をぐるぐるとまわる...
いよいよ、泰成と妖怪魔との戦いが始まる...
ども、らぶもうとです。
遂に修行が終わり、妖怪魔との戦いが始まろうとしています。
ちなみに、文中で使われていた『セイズルの秘薬』のセイズルとは、北欧神話で、「魔術の1種」、あるいは「魔術的な」という意味らしいです。
では...