第3章 弐の試練〜second step〜
1日がたった。
今日から数日間、白虎の下で修行をするらしい。
一時間ほど歩いたか…
そこには動物の毛らしきもので出来た扉があった。その扉の前で、
「今日からここで、白虎様の下で修行をしてもらう。くれぐれも、死なないことだ」と、海伊。
「死ぬほど辛いのか?」俺は不思議そうに尋ねた。
「ええ。白虎様の修行は命の有無がかかっています」
「まあ、念頭に置いておくよ」
そういって、扉を開け、次なる試練の場へと足を運んだ…
「あなたが泰成君ですね。よろしく」
そこにいたのは、身長は俺と変わらないくらい、ストレートの髪に、白い動物の毛の衣、さらに指には爪がある、といった女がいた。
「白虎だな?こちらこそ」
「では、玄武の時と同じく、早速始めてもらおうか。まず、君の能力についてだ」
そこで一間おいて、
「まず、能力者には主に4つほどの戦闘方法がある。まず1つめは、『物質化型』だ。これは能力自体を物質化できる。簡単にいうと、炎の能力者が、炎を生成できる、みたいなものだ。そして2つめは、『物体化型』だ。これはさっきのと異なり、物資ではなく物体化できる。氷の能力者が氷の剣を作れる様なものさ。で、3つめは『放出・放射型』だ。炎や氷を飛ばす、といったのは『物質化型』でもいけるが、この型は何もない空間に発生させることができる。最後に4つめだが、『神同化型』だ。これは4つの中で一番希少かつ危険だ。なにせ神とほとんど同じ力を持てるのだからな。ちなみに今いる能力者でこれが使えるのは4人だけだ」
「4人…」
「ちなみに君は『力の勲章・物質化型』だ」
「なるほど…。で、俺はどの様な修行をすればいい?」俺は急かす様に尋ねる。
「とりあえず、私と決闘だ」
ーーーーきついな。
泰成に戦闘経験はほとんどない。つまり、この試練でかなり時間を食ってしまう、ということだ。
「どのくらいでこの試練が終わる?」
「それは、君次第だ」端的に述べた。
ーーーーーよし、やってやる。
こうして白虎との修行が始まった。
鉄っぽい味が、全身から臭う。
そう、俺は今、全身血だらけの状態で倒れているのだ。
ーーーーつぇぇ…
それだけ思えた。俺が殴る体制をとる前に背後に回っている。これでは攻撃を当てることができない。
おそらく今は始まって2日目、なのにこの状態だ。
一寸先は闇とはこのことを言うのかと、思っていたその時ーーーーーー
「ぐふぁっっっっつ!!ーーーー!」
気付いたら5メートル程先に飛ばされていた。
「こ、これが白虎…」
血の混じった口を動かす。もう自分の瞳に光はないだろう。
「ちなみに俺も『力の勲章』だ」白虎は告げる。
「な、なら技の1つや2つ教えてくれたっていいじゃないか…」
「ああ、言うのを忘れていましたよ。1人ひとりに個性がある様に、能力にも個人差があるのです。なので、他人の概念を押し付けてしまったら、成長できないと言われています」
「な、なるほどな…」
つまり白虎は自分で技を作り出せと、言っているということだ。
「畜生!!」
俺は地を蹴り白虎の懐に忍び込む。
「無駄だ」
しかし跳ね返される。これが、力の差だと痛感した。
「技を作り出すイメージを作ればいい。そうすれば自ずと道は見えてくる」
かといって、そう簡単にイメージが思い浮かぶわけがない。
…こうして、4日が過ぎた。体は傷だらけ、部屋には血の匂いしかしない。
く……そ…
こんなところで死んじまうのか…?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!
ーーーー死にたくない!俺はまだ死ねない!妹を、雅を助けるために!!
瞬間、彼の目に光が戻った。
そしてこう告げる。
「妹が好きで、なにが悪いっっ!!!!!」
怒声と共に白虎に襲いかかる。
「うぉぉぉぉおおぉおっっつっ!!」
ーーーさっきまで死人の様な目をしていたのに、大した力と覚悟だな…
白虎は思う。まるで、昔の自分を見ている様な気持ちにさえなる。
そして、白虎は静かに目を閉じ、そして開く。そこには『油断、余裕』といった文字はなかった。
「くらえっ!!!!」俺は叫ぶ。
「な、なにぃっ!!」
白虎が驚いたのも無理はない。なにせ、俺のパンチは今までのとは違い、速さも威力も3倍に膨れ上がっていたからだ。
ーーーーーこれが、『力の勲章』の能力…
そして、白虎の顔面に泰成の拳が直撃する。
ーーーーーどのくらい寝ただろうか。
部屋には俺と白虎が対極の位置に倒れている。
どうやら俺の能力は「肉体を強化できる」と言ったものらしい。
「う...どのくらい寝ていた...」白虎が目を覚ます。
「半日か...」少し間をおいて呟く。
「泰成君、弐の試練、合格だ...」
どうやら合格条件は白虎に攻撃を当てる、というものらしい。
「次の部屋は朱雀が待っている。そこでは能力を磨くことが出来る。それで君の試練は終わりさ」
しかし、1つ気になることがある。
「青龍は?玄武、白虎、朱雀ときたら、普通青龍があるだろ。なぜだ...」
「お前が強くなったら合わせてやる。あのお方は偉大だ...」
「そうか...」
そして、
「ここから出るとすぐ近くに大きい朱色をした門がある。そこが朱雀の部屋だ」
こうして、泰成の弐の試練が終わった...
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ある大地に、1人の男がいた...
「海伊め...人間界の時間を止めやがって...」苛立ちげな声で呟く。
「まあいい。あいつの妹の命がかかっているのだからな」
そう呟くと、その男は走り出した...
どうも、らぶもうとです。
はい、全然グロくなかったですねww
今回は白虎について書かせてもらいました。人を殺めることをなんとも思わないキャラにしようと思ったのですが、外しましたww
次回は、朱雀の登場です。
まだまだ未熟ですが、頑張っていきたいと思います。
では...