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牛丼  作者: 黒池妻人
3/4

3話

いよいよ、カノジョが出発する日になった。カノジョの友達や両親が駅まで見送りにきていた。

ボクも、もちろんその場にいる。

友達からのメッセージカードや花束と旅行用の鞄を抱えたカノジョは、嬉しそうな、悲しそうな、どちらともとれる表情でみんなと話していた。

「で、事務所どこなんだっけ」

「レッスンきついんだってね。頑張ってね」

「いいなー、私も上京したいー」

友達が、口々にカノジョに話しかける。一人一人丁寧に返事をしているカノジョを少し遠くから見ていて、昔からそういうところは全然変わってないな、と思う。

いつも、誰かのことを気にかけていて、どんなときでもしっかりと対応する。誰かのために一生懸命で、自分のことは後回し。だからこれは、カノジョの初めてのわがままなのかもしれない。だから僕も、応援しようと決めたのだ。


1番線に列車が参ります。とカノジョとの別れを告げるアナウンスが流れた。

「いってらっしゃい。がんばってね」

ボクは一言、そう言った。

「うん。いろいろありがとう」

カノジョの目に涙が浮かんでいた。

ボクはつられて泣きそうになるのを必死で堪えて、笑顔を作る。

「泣くなよ。夢への第一歩でしょ?」

「そうだよね。私、頑張るね!」

あはは、と笑ってカノジョはそう言った。


カノジョを乗せた列車は、シュトへと出発した。ボクたちはその列車が見えなくなった後も、しばらくの間静かにホームに立っていた。

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