096「何の余韻を感じろと?」
えー……
ダンシングマン、かなりグレーなんですけど。
どうしよっかな~。白黒つけたい気もするけど、甥っ子君いるところで修羅場るのもちょっとなあ~。
いつもならとっくに帰宅している時間ですが、ダンシングマン、今日は帰って来てません。
電話しても出ないし、連絡来ないし。
とか思ってたら、弟1号からメール。
『ダンシングマンとは別れた? 早く帰って来いってお父さんが言ってる……』
(注意:原文まま)
おい、その『……』におまえは何を込めたんだ!?
しばらくしてもう1通。
『お母さんがもったいないって言ってるけど、お父さんは見合いならまだ望みはあるって……』
(注意:原文まま)
だから!
その『……』は何なの!
そして何故実家でそんな話が? また目撃か?
埒が明かないので、弟1号に電話した。初めて掛けるんじゃないか?
「もしもし」
「姉ちゃん、今、ヤバい」
は?
「ハル!! いつまでもぼんやりしてるからそんなことになるんだ! 早く帰って来い!!」
父親が強制的に電話に出た模様。
「一体何の話? ダンシングマンとはケンカしたりしてないけど?」
電話の向こうでしばらくワーワーやって、母親が出て来た。
「あ、ハル? こないだね、母さんがお友達と映画に行った時に、ダンシングマンとよく似た男の子がハルじゃない女の子と腕組んで歩いてるの見てね、ハルったらフラれちゃったのかしらって話してたらお父さんに聞かれちゃったのよ。ごめんね〜」
面倒なことになっとる。
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「それは違うと思うけど、年末だし、近いうちに顔出すから」
「大丈夫、ちゃんとハルの部屋は掃除してあるからいつでも戻っていらっしゃい」
若干、ニュアンスの差を感じないでもないが、まあ、いいや。
弟1号に替わってもらい、少し話してから電話を切ると、廊下から視線を感じる。
顔を上げると甥っ子君と目が合った。
……何故入ってこない?
部屋ならまだしも、ここはリビングですが。
「ごめん、うるさかった?」
「大丈夫」
「お茶煎れようか?」
「いらない」
……何の用だ。
もしかしてダンシングマンが帰ってこないことが不安なのか?
繊細そうな子だし、心細いのかもしれない。
よく知らない叔母(予定)さんと2人きりとか、気まずいだろうし。
…………よし、もう寝てしまおう。起きたらきっとダンシングマンも戻ってるだろ。
甥っ子君に先に寝る宣言をしてきました。
おやすみなさい。




