091「案外亭主関白なのか」
甥っ子君が家出してきた翌朝、朝食の時間に甥っ子君は間に合わず、私は甥っ子君の顔を見ずに家を出ました。
ダンシングマンの話によると、ダンシングマンが家を出る時間になっても起きて来なくて、ダンシングマンは置き手紙をして出勤。
夕方、ダンシングマンが電話をしても出なくて、その旨をメールで聞いた私、定時で仕事を切り上げて急いで帰宅。
家の中、しん、としていて食卓には手が付けられていない朝食と昼食が。
部屋の中で死んでたらどうしよう、とドキドキしながら、甥っ子君の部屋をノック。
返事なし。
えいや、とドアを開けたら、甥っ子君はまだ布団の中でした。
息はしているようで安心しました。
もしかしたら病気? 熱とかあるかな、と悪いとは思ったけど布団を剥いで、おでこを触らせてもらいましたが、異常はない模様。
そこで揺すり起こしました。
「甥っ子君、もう夜だけど、起きなくて大丈夫? 水分だけでも摂ったほうが良いよ」
「…………」
寝ぼけながらも起きてきたのでお茶を飲ませました。
あれね、若いっていうことはよく眠れるってことね。
20時間寝続けるとか、私にはそんな体力も集中力もきっとないわ。
しかしこの時間だと、実家に帰らせるのは無理だな。
恐らく電車がない。
ダンシングマンに連絡して、甥っ子君の状況説明してもう一泊する許可を取り付けました。
すぐに甥っ子君のスマホにお母さんから電話が入り、無視しようとした甥っ子君に泣きついて電話に出てもらい、途中で替わってもらいました。
私、ひたすら謝りまくりです。仕事でもこんなに頭下げたことないわ。
でも大丈夫、叔母さん大人だから負けない。
甥っ子君を叱らないでくれるようにお願いしました。何とか頷いてもらえた。
疲れました。
で、甥っ子君用にボリューム満点な朝・昼・夜兼用食を作って食べてもらい、先にお風呂に入ってもらう。
バタバタしてたら、ダンシングマン帰宅。
ダンシングマンと私用の晩御飯にしました。
お風呂から出てきた甥っ子君に、ダンシングマンが晩御飯を勧めたので、私がさっき食べてもらった話をしたところ、ダンシングマンにごっつ怒られました。
病気でもないのに食事をきちんと摂れないような時間帯の生活をさせるな、そんな甘えは許さん!
だそうです。
ダンシングマン、食事や生活時間に厳しいのです。
で、弛んだ生活を正すために、ダンシングマンのダンス教室に甥っ子君が通うことになりました。
ダンシングマンが全部一人で決めて実家にも連絡済み。
……もめなきゃ良いんだけど。




