070「いつも怒る人が怒らないと怖い」
怖い目にあった!
先生がT先生と顔合わせの席を設けてくださるとかで、来週の土曜日に晩御飯を約束しています。
で、その前に一度、本社ビル見とかなくちゃ、と何となく思い、定刻に支店の仕事終わってから本社行ってみた。
何かね、何というか、汚れてるわけじゃないし、そこまで古いビルってわけでもないのに(そこそこは古い・笑)、ちょっと見ない間に雰囲気変わってた。
同窓会で20年ぶりに会った友達がめちゃくちゃ老けたなって思うぐらいに。
いや、そんな経験はしたことないけど。
気のせいかな。
で、いつも通りに本社事務所の扉を軽くノックして、中に入ったら、急に背中がゾクッときた。
えー?
で、見たらね、事務所には営業課長が一人でいて、ぼーっとしてた。
課長、お疲れ様です、って声掛けた途端に、課長が机に突っ伏して、「違う違う、俺じゃない。違う」とかぶつぶつ言い出した。
もう、肩とか揺さぶってもね、全然反応ないんだ。
目の焦点合ってないし、ずっと低い声で「違う違う」って独り言止まらないし。
で。
怖かったので。
課長の鼻をつねり上げながら、「もう、課長ったら、何言ってるんですかぁ?」って。
お前はキャバクラの姉ちゃんかよってぐらい駄々甘で言ってみた。
いや、もう本気で怖かったのよ。課長、向こう側に行っちゃったのかって。
そうしたら一発でご帰還されました。
お帰り、課長。
いつの世でも色仕掛けって有効なのね。
……お願いですからツッコミは無しで。
顔色悪い課長の為に、あったかいお茶煎れて、2人で気まずい感じで啜ってたら、デスクの電話が鳴る。
で、私が出たら
『違う違うそうじゃない』
って低い男の人の声で。
で、切れた。
課長見たけど、課長は普通に「誰から?」って訊いてきた。
「えーと、間違い電話、でした」
と答えた瞬間。
『そうじゃない!』
って耳元で男の怒鳴り声。
思わず「ぎゃあ」って叫んで耳ふさいでしゃがみ込んだ。
同時に事務所の扉をガンガン叩く音がして、課長も「うわあ」って叫んで椅子からずり落ちた。
しばらく2人で放心。
そこにまた事務所の電話が鳴る。
たぶん、私の精神の限界だったんだと思う。
私、受話器とって、
「ざけんじゃねえ! バカがっ!」
って怒鳴った。
確かに怒鳴りました。
思い返しても確かにそう言った記憶があります。
少し経ってから電話から
『ハルか?』
━━━(゜Д゜|||)━━━!!
社長でした。
社長は静かに、課長に代わるように言いました。
課長にも用件だけ言って切ったそうです。
……どうしよう。




