069「お仕事あるある」
今日は営業マンが3人で、私のコーヒータイムを邪魔しに来ました。
だからコーヒーばっかり飲んでるわけじゃないし、紅茶たしなんだり、仕事したりもしてますよ。
……いや、ちゃんと仕事してますから。
今日来たのは、山姉さん、まっスン、篠Pの3人。
なんでも支店近くのビルの仲介を本社が引き受けたらしくて、その現地確認のついでに寄ったそうな。
かなり古い雑居ビルなので入居者なんかいないんじゃないかと。なんで引き受けたんだ、社長。
で、山姉さんが買ってきてくれたシュークリームをコーヒーのあてにしながらまっスンと篠Pと共にお仕事あるある話をして盛り上がっておりました。
で、仕事してて嬉しかった瞬間って何?って話になって。
山姉さん「デカイ契約取れた時かなあ。ビル一棟貸しとか」
篠P「凄いです。俺なんか普通に契約取れるだけで嬉しいのに」
まっスン「俺もまだ山姉さんの境地には至れないです」
山姉さん「ハルちゃんは?」
私「契約書に綺麗に社印が押せた時ですね」
3人「……」
失礼な沈黙を受けました。
だって事務員だよ? 大きな契約取れたって言われても、凄い金額だなあ、とか、契約書に記載されてる会社名が有名だ、とか、
あ、ここの社長、この前テレビで見た、とかしか思わないよ。
私「あ、あと契約書が綺麗に製本出来た時とか」
さらに沈黙されました。
製本テープまっすぐ貼るのって難しいんだから!
しかもテープの端の処理とか、凄く工夫してるんだから!
みんな分かってくれない。
篠P「じゃあ、仕事で嫌なことって何ですか? 俺、社長に怒られるのが一番嫌です」
まっスン「……育ててる後輩が恐ろしく馬鹿だった時だな」
まっスン、目が遠いよ! 言葉もないわ!
やっぱり若ちゃん事件のダメージは大きいみたい。まだ半年も経ってないしな。
山姉さん「私はクーリングオフの手紙が一番怖い。ビル一棟貸しとかのね」
山姉さんがどよーんと言った。
凄い金額のクーリングオフもあったもんだ。
確か、それがきっかけで社長が会社の顧問弁護士を依頼することになったんだよね。
山姉さんが新人の頃で、私は入社前だから、当時の書類しか見てないけど。
山姉さん「ハルちゃんは?」
私「契約書に会社のゴム印がまっすぐ押せなかった時ですね」
また沈黙を受けました。
いや、だって契約書だよ?
綺麗に作りたいでしょ?
みんなの頑張りの成果なんだよ?
私「収入印紙を貼る時に歪んじゃったりとかは最悪ですね。やり直し効かないし」
更なる沈黙。
なんで分かってくれないの。
やっぱり営業マンと事務員じゃ話が合わないのかしら。
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3人が帰った後、一人で落ち込んでたら、まっスンからライン来た。
『なんでお前が仕事出来る奴になれたのかが謎』
……私が知りたいわ……




