後編
時が経つのは早いもの。あっという間にお昼が過ぎ、時計の針は午後の時間をに指していました。仕事に行ったOは、一体どうなったのでしょうか……。
「な、何だ!?」
「キャーーー!あ、あれ!!」
Oが務めている会社の中は、騒然としていました。
会社の人たちが指を指している方向には、廊下に佇んでのんびりしているOの姿があります。どうやら午後の仕事も面倒臭がっているようで、一旦休憩のようだと思いきや、彼らが指さすもう一方の方向にもOの姿があります。服装も髪型も、飲んでいる缶コーヒーの残量も、何もかも全く同じです。突然会社の仲間が二人になったのを見て周りの人たちが驚くのも当然でしょう。ですが、Oの数は二人どころではありませんでした。
エレベーターを開けば、そこには定員まで一杯になった笑顔のOが10人。エスカレーターもどの段もお揃いのOL服に身を包んだ彼女でごった返し、会社の人たちが入る隙もありません。さらには職場のみならず、食堂も未だに大量のOが並び続け、次々に席を埋め尽くし続けているのです。ビルが次々にOで埋め尽くされ続けているこの異常事態、一体どういう原因があるのでしょうか。
会社に来てすぐ、仕事に飽きた身代わりのOは、さらに新しい身代わりを出して仕事を代わってもらいました。ですが、その新しいOもまたすぐに仕事に飽きてしまい……
「誰か代わってくれないかな……」
そう呟くや否や、すぐに新しいOが現れて……
「代わりにやってあげる♪」
ですが、そのOもまた短時間で仕事に飽きてしまい……
「誰か代わってくれないかな……」
そう呟くや否や、またまた新しいOが現れて……
「代わりにやってあげる♪
でも面倒臭いな……」
「代わりにやってあげる♪
でも面倒臭いな……」
「代わりにやってあげる♪
でも面倒臭いな……」
「代わりにやってあげる♪
でも面倒臭いな……」
「代わりにやってあげる♪
でも面倒臭いな……」
そう、次々に身代わりのOは新しい身代わりを創り出し、仕事を放棄し続けたのです。さらに、Oの数が増える要因は会社のあちこちに存在しました。エレベーターの順番待ちを嫌がれば代わりに待ってくれる新しいOが現れ、エスカレーターの混雑に不機嫌な顔をすれば代わりにエスカレーターに乗ってくれるOが出現し、食堂で待つ時間を面倒臭がると代理で順番待ちをしてくれる新たなOが現れ続け、まるでネズミ算のように次々に新しい彼女が現れ続けています。次第に会社のあちこちが彼女の体でぎゅう詰めになり始めました。そして、その混雑の中で彼女たちは少しづつ同じ事を考え始めたのです。誰かこの混雑を「代わり」に解消してくれないか、と。
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会社内がそういう大変な状況になっている一方、会社の外もまた大変な事態を迎えていました。Oがいつも務めている会社の近くには、スイーツ店や洋服屋、アクセサリー店が並ぶ女性向けのお洒落な通りがあります。そして、いつもOは時間を盗んではその場所へ向かい、様々なものを購入しては町を楽しんでいるのです。そして、それは身代わりとして誕生したOにとっても同様の事。しかも別の自分が変わりに仕事をしてくれているので、様々な場所へ行きたい放題です。その結果……
「バニラにチョコにイチゴ味か…どれも食べたいな…」
「「うふふ、私が代わりに食べてあげる♪」」
アイスクリームの屋台のお兄さんは、突然同じ顔の女性が二人も現れてびっくり。お金を貰った途端、その後ろにまた同じ顔の女性が次々に現れるのを見て腰を抜かしてしまいました。
「どのアクセサリーを買おうか悩んじゃう…」
「「「「「「「「「「私が代わりに買ってあげる♪」」」」」」」」」」
次々に群がり始めた数十人の彼女のせいで、アクセサリー店の商品はあっという間に無くなってしまいました。イナゴが穀物を根こそぎ食いつくすかのように。
「あの服も欲しいな…高いけど」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「私が代わりにお金をだしてあげる♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
その言葉と同時に、あっという間に店の中を埋め尽くした数百人のOが、洋服店に陳列されてあった高級品から安物まであらゆる服を買い漁ってしまいました。
嫌なことや面倒臭い事を次々に代わりに任せていくに従い、通りもまたピンクの服を着た何百何千もの同じ女性でごった返してしまいました。次々に物欲を丸出しにして様々な物を買い占める中で、欲しいものが無くなったOはバスに乗り込んで遠くへと向かい始めます。勿論その時も、自分の代わりに遠くへ行ってくれる新しいOを生み出しながら。
そして、その車内でもまだ彼女の愚痴は止まりません。午後の時間帯でも今日は普段より混雑気味で、途中のバス停で乗った彼女はそのまま立ち続けるしかありません。しかもそんな状態で信号待ちが連発し続け、彼女の頭の中はイライラで満ち溢れ始めました。早く目的地につきたい、それよりも早くどこかの席に座りたい……。
「誰か何とかして欲しいのに……」
ふとOが呟いた瞬間、バスの車内放送から聞き覚えのある声が響きました。
『私が代わりに運転してあげる♪』
そこに座っていたのは、バスの運転手では無く、OL服に身を包んだOの姿。さらに、周りを見渡すと……
「「「「「「「「「「「私が代わりに座ってあげる♪」」」」」」」」」」」」」」」
1人分の座席を残し、老若男女が乗り込んでいたバスの車内は全て全く同じ姿、同じ形のOで埋め尽くされてしまったのです。
自分の代わりが欲しいという願い事は、今や完全に暴走していました。頭の中で嫌なことや面倒な事を思い浮かべるだけで新たな自分が現れ続けるだけでは無く、とうとう他人ですら自分の身代わりと化すまでに至ったのです……。
「買いに行くの面倒臭いな…」
「代わりに買ってあげる♪」
「狭いから抜け出したいな…」
「代わりに抜け出してあげる♪」
「面倒臭いな…」
「代わってあげる♪」
「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」
「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」
「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」「代わってあげる♪」
……
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「ん、んん……」
マンションの一室で本物のOが目覚めた時、辺りは既に夕方になっていました。かなり長い間眠っていたようですが、彼女を起こしたのは自分の眠気が覚めたからでは無く、耳元に不気味な地響きのような音が聞こえ始めたからでした。地震にしては一切揺れていませんし、一体この音は何なのでしょうか。気になった彼女がベッドがある部屋の扉を開けた途端、突如として凄まじい流れにあっという間に彼女の体は壁に押し付けられてしまいました。
まるで土砂のように押し寄せてきた妙に生温かいものを何とか押し分けかき分けながら進んでいる中で、彼女は少しづつこの現実に顔を青ざめ始めました。どれもこれも皆お揃いのパジャマにお揃いの髪型、寝癖の位置も全く同じ……そう、本物のOが寝ている間に、家は何十何百もの自分自身に埋め尽くされてしまっていたのです!
「うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」……
周りの自分は誰も彼も楽しそうに笑っていますが、事態に混乱する本物のOはそれどころではありません。部屋を埋め尽くした自分自身の壁をかき分けて廊下に進んでも、既にそこは大量の自分自身の肉の海。このぎゅうぎゅうづめ状態から抜け出す事は容易ではありません。
「どうしよう、先に行けない……」
そう彼女が呟いた瞬間、その彼女の前方から笑い声とは別の新たな声が聞こえ始めました。
「代わりに先にいってあげる♪」
そこに現れたのは、彼女の「身代わり」となるもう一人のO。当然先に行くと言うのは口だけ、ぎゅうぎゅうだった廊下はまた混み始めてしまいました。何とかして、とつい頭の中で考えた事が口に出てしまいました。するとまたもや……
「代わりになんとかしてあげる♪」
彼女の横に再びOが出現。あまりの状況に本物の彼女の頭の中は大混乱状態です。誰か説明してよ、とまた頭の中で思うと……
「代わりに説明してあげる♪」
しかし、もはや説明する必要はありませんでした。今の事で彼女は気付いたのです。自分が寝ている間に、朝の間に身代わりとして現れた面倒臭がり屋の自分たちが、あらゆる物を面倒臭がって自分の身代わりを次々に現出させ、その結果このような事態に陥ってしまったのです。しかし、その原因を作ったのはこの大量の自分自身の誰なのかさっぱり分かりません。誰だか教えて欲しい、とつい思ったり考えてしまうとまた自分自身が現れ、混雑が増してしまいます。こうなれば仕方が無い、と今の状況を把握すべくテレビと外へ続く窓があるリビングへ向けてOは自分自身を押しのけかきわけ、必死に向かいました。
次々に当たる体や胸が押し合いへしあい、次々に彼女の行く手を妨害し続けます。何とかその異常事態を押しのけ、ようやく目的地のリビングに到着しました。幸いまだこちらの混雑は進んでおらず、ようやくOは外の様子をベランダに続く大きな窓から眺める事が出来ました。しかし、そこに映っていたのは目を疑いたくなるような光景でした。
夕暮れ時も様々な物音やざわめきで賑やかなはずの街に、人の気配が全く感じられません。その代わりに、町の彼方にあるビルの隙間やその近くにある道のの向こうから、こちらへ向かって黒と肌色とピンクと白が混ざりあった大きな塊のような物がこちらへと向かってきます。そこから聞こえてくる大きな地響きはやがて無数の足音へと代わり、ガラスを伝って耳に入りこんでくる多いな唸り声は、無数の楽しげな声へと代わり始めました。
そしてその正体が分かった時、本物のOの口から大きな悲鳴が上がりました。町の遥か彼方まで埋め尽くし続け、後から後からこちらに向かってくる「何か」。それを構成する一つ一つの物体の正体は、紛れも無く自分自身だったのです!
「代わ「代わっ「代わって「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげ「代わっ「代わって「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪「代わっ「代わって「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わっあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」げる♪」っ「代わる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」げる♪」っ「代わって「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」って「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」てあげる♪」げる♪」」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」る♪」あ「代わって「代わっ「代わって「代わっ「代わって「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」げる♪」っ「代わって「代わって「代わってあげる♪」あげる♪」あげ「代わってあげる♪」る♪」て「代わ「代わってあげる♪」って「代わってあ「代わってあげる♪」げる♪」あげる♪」あ「代わってあげる♪」げる♪」……
何万何億何兆、もはや数値では表し切れないほどのOの大群が、道やビル、高速道路まで埋め尽くしながらこちらへ向かってきています。その目的は一つ、「帰宅」です。
あらゆる面倒事を嫌がり続け、代わりを求め続けている彼女は、仕事が終わるや否やすぐに家に帰り、ゴロゴロするのが日課です。それは彼女のあらゆる物をコピーして生まれた身代わり全員に共通するものでした。しかも、その身代わりの範囲は彼女の代理だけでは無く、他人まで次々に彼女の身代わりにし続けるという事態になっていました。彼女の務めている会社は勿論、交通機関もデパートも、あらゆるものが既に「O」一色。その中で電車もバスもタクシーも、全ての交通網を止めてしまった彼女の変える術は徒歩しかありません。ですが、面倒臭がり屋なのもさることながらハイヒールのまま長距離を歩くのは容易なことではありません。当然、煩わしさを感じたOが思う事は一つです。
「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」「誰か何とかして……」私が代わりに歩いてあげる♪」
会社までいつも電車やバスを使うという距離に我が家があると言う事も事態をより悪化させました。既に彼女の身代わりは何万、いや何億回も生み出され続け、その数はもはやネズミやハエの増殖曲線を遥かに凌ぐ速さで増え続けているのです。
「うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」「うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」「うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」「うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」「うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」うふふ♪」あはは♪」……
もしこのままあの大軍団がこの家に帰ってこられたらどうなるか、もはや想像すら及びません。緊迫を隠せない彼女が振り向くと、広いはずの部屋の中も、もはや収拾がつかない事態になっていました。廊下やあちこちの空間を埋め尽くしていた何十人のOもまた、外を見たがり次々にこちらへ押し寄せてきました。ですが自分自身に阻まれ、碌に見る事が出来ません。それを嫌がり代わりを欲しがった結果、あっという間に「O」の数は数十倍にも膨れ上がってしまったのです。もはや彼女の部屋の中は大量のOしか存在しない空間。無数の体が本物の体から自由を奪い続けています。
「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」 『誰か、助けて…!』 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「うふふ♪」「あはは♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」 『うふふ、代わりに助けてあげる♪』 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「あはは♪」 『違う、そうじゃない!誰かあの私を…』 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」 『代わりに止めてあげる♪』 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」 『違う!そうじゃないの!正しいのは…』「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」『代わりに正しい事をしてあげる♪』 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」 『もうやめて!これ以上代わりなんて…』 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」『 私が代わりにやめてあげる♪』 「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」「うふふ♪」「あはは♪」
…ようやく彼女は気付きました。面倒臭い事、嫌がる事を他人に任せ過ぎると、やがて取り返しのつかない事態になる、という事に。
しかし、その反省は遅すぎました。何故なら既に……
「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」「ただいまー♪」