番外編14-3
「じゃあ、キリシマさんが……」
「私と行っても仕方ないじゃん。普通に遊ぶだけになっちゃうから。慣れてない相手と行くの。その方が緊張感も出て、デートっぽくなるってもんだし」
「でも」
「ちなみに、ウチのクラスで気になる子とかいんの?」
「ふへぇ?」
間抜けな声上げて、しばし固まる。
「そそそそんなのいません。いるはずないですよ。女の子同士で、そんなの気持ち悪いじゃないですか」
「いやいや、そういう重いのじゃなくてさ」
解りやすい反応に苦笑しつつ。
「友達になりたいなとか、もうちょっと親しくなりたいなとか。そんなレベルのやつだよ」
「そ、それはあまり。ほら、私は人に好かれないタイプですし」
「チトセって、人に近づくの怖がってるからなぁ。そういうの直した方がいいよ」
あっさりと忠告しておく。
「で、誰に相手役を頼む? 誰がいい?」
「そんなのいきなり言われても」
「コトミなら、こういうのに向いてんだけどな」
天真爛漫なコトミなら二つ返事だろう。
「でもアンズがいるからな。下手したら刺されるよ」
「そんな大袈裟ですよ」
「いやいや。ありえるよ、マジで。アンズの嫉妬は桁が違うから」
真顔で付け足す。
「フユツキなんかどう? 背も高いしカッコいいでしょ?」
「フユツキさんは、何も話してくれないので、意思疎通がちょっと」
「あ、確かに。チトセを気に掛けてはいるみたいなんだけどなぁ」
首を軽く捻ってから。
「双子は無理だしな」
「私、嫌われてます?」
「違う違う。あの二人さ、案外と乙女なんだよね。デートって単語だけで真っ赤になって逃げ出すから」
意外な話にチトセの口元が緩む。
「イスズは近くで顔見ると笑っちゃうしな」
「そんなことないですよ。実際のところ、顔立ちも整ってて、美人な方だと思いますし」
「顔立ちより化粧だよ。ある意味特殊メイクみたいなアレ。何に挑戦してんだろうって、いつも疑問なんだよ」
「美に対する向上心ですかね?」
「美と正反対のベクトルだよ。あれ」
なかなかの酷評だが、イスズに言えば「あはは。そうだよねぇ」と軽く流しそうではある。
「ドルフィーナはどう? ロボットだから面白いかもよ」
「あの人は少し苦手なんです」
「そう言えば、チトセの困った顔が好きだとかなんとか」
「むぅ」
ドルフィーナの好きそうな表情になってしまう。
「ソネザキとかは?」
「ふえっ」
チトセの肩が跳ねた。
ようやく当たりかと、キリシマは内心思う。
「その、ソネザキさんは、いつも忙しそうですし。無理にそんな」
俯いてぐにゅぐにゅと否定。
頬がいつもより赤くなっていた。
親友の愛らしい反応に目を細めながらキリシマは続ける。
「そっか。実際、ソネザキって根暗だしなぁ。話したくないってのも解るよ」
「ち、違います! ソネザキさんはとっても素敵な人です!」
チトセが珍しく語気を強めたところで。
「じゃあ、明日にでもソネザキに頼んでみるか」
あっさりと結論付けた。




