番外編19-11
アンズの様子に気付いたソネザキが、顔を覗き込んでくる。
黙っておくべきかと、一瞬の迷いを見せたアンズだったが。
「ソネザキさん、このメッセージをどう思います?」
やや震える指で、愛していますを示す。
「どうって。チトセらしいよね」
明るく告げるソネザキに、アンズは目を見開いた。
いつの間にかチトセの放つ毒電波に侵されてしまったのか。
真っ白な防護服姿で、ハンディサイズのパラボラアンテナを手にしたチトセをイメージする。
「狂えぃ! 狂ってしまえぃ!」と喚きながら、そのアンテナから紫の光線を放ってくるのだ。
「愛って色々あるじゃない。チトセとなら、友愛とか親愛とかだろうけど。そういう物をひっくるめて、愛しているって表現をしたんだろうね。ドキッとするインパクトがあって、でも良く考えればなるほどって思わせる。チトセらしい上品な冗談だなって」
「はあ、そうですの」
相槌を打ってはみるが、本当にそういう意味なのか。
甚だ疑問ではある。
「カメラ持って来たよ」
コトミの明るい声に、アンズは思考を中断させた。
今日のところは深く考えないでおこう。チョコには罪がないのだから。
* * *
「どうやら、上手くいったみたいだね」
ふんふんと鼻歌交じりに、キッチンで料理を準備するチトセ。
そんな彼女を見つつ、キリシマが感想を呟いた。
「昼は不機嫌だったけどな。まあ、どうでもいいけど」
「ヒュウガ、そういう言い方しない」
「機嫌が良くなったんなら、どうでもいいだろ。大丈夫なんだし」
反論するヒュウガに、ハグロは大袈裟に溜息をこぼした。
「さっきの言い方だと、そういう風には伝わらないの。もうちょっと言葉を選ぶようにしないと、これから苦労が絶えませんよ」
「いいだろ、別に。それにほら、若いうちの苦労はよ。買ってでもしとけって言うだろ」
「自分からトラブルを撒き散らすという意味じゃないんです。いいですか、会話というのは……」
お小言モードに入ったハグロに、キリシマは苦笑しつつも嬉しそなチトセに視線を戻す。
「どんなチョコだったのかは、気になるところだけどね」
精一杯の勇気を掻き集めて、小さな物を贈ったんだろうと想像はつく。
実にチトセらしいと思った。
<Fin>




