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番外編19-04

 いやいや。どうにも都合の良い自己暗示を掛けようとしているようにも思える。

 

 朝からずっと逡巡。

 授業の内容など、微塵も頭に残ってない。

 

 授業終了のチャイムが鳴った。

 

 キリシマの起立に慌てて席を立つ。

 板書の内容はいつの間にか給料のやりくりになっていた。

 七割が被服代という驚きの値が出ている。

 

 椅子に腰を戻すと、ちらりとソネザキに目をやる。

 彼女の席は教室の一番後ろ、振り返る形になるので授業中は見れない。

 

 いつも通り、チームメイト達と食事を始めている。

 質素倹約を旨にする彼女らしい野菜中心のメニューだ。

 常に自分を律しているのかと感心してしまう。

 

 今、押しかけてチョコを渡すのは躊躇われた。

 食事が終わってから、ひとりになった所を狙う。


 そう決めて小さく頷く。

 いつの間にか、チョコを渡さないという選択肢は消えていた。

 

 

                       * * *

 

 

「女同士でバレンタインとかありえないだろ。気持ち悪い」

 

 差し出されたチョコに、ソネザキは露骨に眉を曇らせた。

 

「別に愛情表現じゃないって」

「ほら、前に特訓に付き合ってもらったろ。その礼だよ」

 

 髪留め以外は同じ顔。

 悪夢の双子と呼ばれるアオイとアカネは、揃って苦笑する。

 

「いいって。そんなに気を遣わなくても」

「ウチらの好意を無下にすんのかよ」

「ソネザキ、いいから受け取れって」

 

 押しつけてくるふたりに、ソネザキは仕方なく受け取った。

 

 売店に並んでいる板チョコだ。

 片方がミルクチョコで、もう一方はブラックチョコ。

 

「なんとも愛想のないチョコだな。バレンタインならもっと趣深いのもあるだろうに」

 

 やり取りを聞いていたドルフィーナが呆れた声を出す。

 

「こういうのはシンプルなのがいいんだって。それに、ほら、ああいうのって買うの恥ずかしいじゃんか」

 

 微かに頬を赤くするアオイ。そういう話題が苦手な双子だ。

 

「とりあえずありがと。ホワイトデーに安いキャンディでも返すよ」

「い、いいよ。そんなの、お礼なんだし」

 

 アカネがそう残して、さっさと離れていく。

 

「板チョコかあ。双子らしいチョイスだよね」

「どうせなら、もうちょっと可愛いのを選べばいいのに」

 

 ありきたりな感想を述べながらやってきたのは、マヤとキヌガサだった。

 

 野暮ったい黒フレームのメガネでセミロングの髪がマヤ。

 丸々とした輪郭で愛らしい顔立ちをしているのがキヌガサである。

 

 


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