番外編18-5
「昨日からずっと言ってるけどさ。そういう態度って失礼だろ。わざわざ料理を作ってくれるっていうのに」
「違うんだよ、ソネザキ。厚意だから困るの」
「嫌がらせの類なら拒否できる。だが、厚意となると断り辛いであろが」
「ミョウコウさんは少しナイーブな方ですから、強く拒否するなんてできませんしね」
三人が大きく溜息をつく。
「今頃はイスズちゃん達が食べているのかな」
時計をぼんやりと見つめる。
丁度、夕食時だ。
「百鬼夜行と呼ばれているが、良い連中だからな。拒否する事はないだろう」
「明日は学校に来れないでしょうね」
「そんなわけないだろ。たかが、ご飯だよ」
* * *
「イスズとフユツキが休みだって?」
翌日の朝、ミョウコウより一足先に登校していたヤハギが、ふたりの休みをソネザキに告げたのだ。
当のヤハギも普段の快活な様子は成りを潜め、薄ら白い顔でいかにも体調が悪そう。
「私が一番体調がマシでさ。フユツキは寝込んでるだけだけど、イスズなんかは意識が朦朧としてて」
「それってミョウコウの料理が原因なの?」
「あはは、まあね。でも安心して。私達は試作料理だったから、被害も大きいけど。ソネザキ達は完成品だから。こんなに酷くはならないと思う」
「ミョウコウって料理上手なんでしょ。どうやったらこんな事に」
「ん? なに? 私の料理がどうかした?」
少し遅れて登校してきたミョウコウが、会話から漏れ聞こえた言葉に近付いてくる。
「イスズとフユツキが倒れたって聞いたから」
ソネザキは平静を装ってそう返す。
「そうなんだよ。ふたりとも寝込んじゃってね。お昼用にお粥を用意してきたんだ。茶粥と梅粥とプレーンと。三種類をちょっとずつ」
「お粥を三種類も作れるの?」
ソネザキが目を丸くする。
それなりに家事ができると自負するソネザキだが、ノーマル以外は作った事がない。
というより、バリエーションがあった事が驚きだ。
「お粥って案外奥が深いんだよ。焚き込む時間で食感とか味わいが全然違うし。単純な味付けだけでも、私だって十種類以上は作れるかな」
「凄いね」
素直に感嘆されて、ミョウコウは頬を赤らめて「全然、普通だって」と照れる。




