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番外編18-3

 

                       * * *

 

 

 翌朝、教室に入るなりイスズとフユツキ、それにヤハギがやってきた。

 

「あのさぁ、マジな話だけどぉ。ホントにちゃんと断んないとダメだからねぇ」

 

 顔面塗り壁が嫌な念の押し方をしてくる。

 

 それを支援するかのようにフユツキがこくりと頷いた。

 

「ホント絶対に断ってよ」

 

 左右にお下げ髪を作ったヤハギが、ずいっと顔を寄せてきた。

 

「ミョウコウは人に食べさせる時、必ず試作をするの。それを食べさせられるのは私達なんだよ」

 

 白い肌に散ったソバカス。

 珍しい青色の瞳が、いつもにない真面目さを浮かべている。

 

 発言を支持するかのようにフユツキが静かに首肯した。

 

「昨日のコトミ達もそうだけど。なんでそんなに酷く言うかな。チームメイトだろ」

「チームメイトでも命は惜しいの!」

「そうだよぉ。戦場で死ぬならともかくさぁ。寮でゲロぶちまけて死にたくないんだよぉ」

「汚い表現するなよ。女子だろ」

「とにかく! 絶対に断ってよ! 絶対だからね! 断らなかったら子々孫々までウラミハラサデオクベキカだから!」

「意味が解らないんだけど」

「ホントにさぁ、断らないとダメなんだよぉ。情に流されでもしたらぁ。本気で絶交するからねぇ。これさぁ、冗談とかじゃないからさぁ」

「うちのチームの連中もそうだけど。どうにも大袈裟だね。人の厚意にどうして、そこまでケチつけるのやら」

「ソネザキぃ、そういう常識は時と場合によるんだよぉ」

「ちゃんと断らないと、ソネザキも酷い目に遭うんだから!」

「はいはい。ミョウコウにはちゃんと言っておくよ」

 

 心底うんざりした様子で教室に戻るソネザキ。

 

 そんな彼女を見ながら、ヤハギが大きく息をついた。

 

「もうすぐミョウコウが登校してくるよ。こんだけ言ったんだから大丈夫だよね」

「どうかなぁ、ソネザキってトラブルを引き込む性格なんだよねぇ。どっか抜けてるとこがあるっていうかさぁ」

 

 ふたりのやり取りを聞きながら、フユツキは小さく首を振った。

 おそらくソネザキは断られないだろう。

 半ば諦めた様子だった。

 

 


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