番外編18-2
「ちゃんと説明してよ。ミョウコウって料理下手なの?」
「お上手です!」
「上手なんだ!」
「プロ級だな!」
「じゃあ、いいじゃないか。美味しい物を食べさせてくれるよ」
「ソネザキさん、まさかご存知ないのでは?」
アンズがはっと息を飲む。
それに反応したのはドルフィーナだ。
「こいつは転校生だった。知らないのも無理はない」
「うわぁ。早めに伝えておけばよかったよぉ」
「な、なんだよ。全然話が見えないんだけど」
「ソネザキさん、ミョウコウさんの料理の腕前は超人レベルです」
「日常の料理なら、みんな喜んで食べるんだよ」
「ただあいつには悪い癖があってな」
「悪い癖って?」
ごくりとソネザキが喉を鳴らす。
「向上心がすっごく高いんだよ。料理の腕をすっごく磨くんだ」
「いいことじゃないか」
ソネザキにとって、コトミの言葉は拍子抜けも甚だしい。
「おバカか! 超人の味覚と技術で、良く解らない高みを目指しておるんだぞ」
「なんだよ、それ」
「いいですの。優れた芸術作品が素人に決して理解されないように」
「ミョウコウちゃんの新作料理はボクらには理解できないんだよ」
「マズイとかそういうレベルの話じゃないんだからな」
ここで三人、ソネザキにぐっと顔を近づけて。
「下手をすると死ぬレベルの食べ物ですの!」
「下手したら死んじゃうくらいの食べ物なんだよ!」
「下手したら死んでしまうほどの食べ物なのだ!」
「まったく、大袈裟だな。高が料理だろ。そりゃ失敗もあるだろうけど、友達が折角作ってくれるってのに悪く言うなよ」
ソネザキの反応は実にそっけない。
「だ、ダメだ! こいつ、事の重大さが解ってない!」
頭を抱えるドルフィーナ。
「とにかく! ソネザキさんはミョウコウさんの誘いを断ってください! いいですね!」
「そこまで言うなら断るけどさ」
やれやれといった風なソネザキを見ながら、コトミがぼそりと呟く。
「多分、ソネザキは断り切れないよね」




