番外編17-6
「そ、そんな」
絶望的な顔になるチトセ。
「チトセ、悪いことをしたと思ったら、まず行動しないとダメじゃないかな。キリシマに謝ってみた?」
「でも」
「じゃあ、まず謝ってからでしょ」
「でもでも、キリシマさんは自分が悪かったからって。きっと、その、私と話すのが嫌だから、話したくないから。私を遠ざけようとして、そういう風に……」
「チトセちゃん、キリシマがそんなことするかな?」
コトミの疑問にチトセは続きを飲み込む。
長い間、キリシマはチトセにとって、友人と言える唯一の存在だった。
そのキリシマの性格は、この誰よりも解っているはずだ。
「とりあえず、謝ってみようよ。もし、仲直りできなかったら、ボク達がなんとかするからさ」
コトミの言葉が強く背中を押した。
* * *
「なんか迷惑掛けちゃったね」
「別に迷惑ってほどでもないよ」
その夜遅く、自室で予習をしていたソネザキにコールがあった。
キリシマからだ。
「仲直りはできた?」
「ま、無事にね」
「それは良かったよ」
「そもそも、こっちは喧嘩してるつもりなかったんだけどさ」
「ある意味、チトセの片想いだったわけだね。で、チトセはどうしてる?」
「ん。もう寝たよ。泣き疲れてるみたいだった。明日、そっちのメンバーにお礼を言って回るんじゃないかな」
「大袈裟だなぁ」
「面倒な子なんだよね。実際のところ」
「そんな言い方してやるなよ」
「いい子でもあるんだけどね。純粋だし、素直だし、真面目だし」
「それくらい知ってるよ。クラスメイトなんだしさ」
「なあ、ソネザキ」
呼び掛けて、少し間があった。
ソネザキが続きを促そうと、口を開きかけた時。
「チトセを嫌いにならないであげてよ」
「こんなことで人嫌ってたら、生きていけないよ」
「そっか。ならいいんだけど。とにかく、チトセをよろしく頼むよ」
「なんだ、それ?」
「なんだろね。言ってるこっちも解んないや。ソネザキは解ったかい?」
「解るわけないだろ」
ふたりしてからからと笑った後、「じゃあ、また」とコールを切った。
ふうっと息をつくと、ソネザキは予習に戻る。
何はともあれ今日も平穏な一日になった。
<Fin>




