番外編17-1
【一一月一二日】
キリシマは倒壊しかけたビルの陰に、どうにか逃げ着いた。
跳ねる息を整えながら、一緒に避難してきたチトセに尋ねる。
「生存者はどのくらい?」
二人は市街戦用の灰色のアンダーシャツに、同系色の防弾ベスト。
各所に金属プレートによる補強をしている。武器は一七式軽量型小銃だ。
「生存者は、私達を含めて六名です。アオイさんにコトミさん。それにマヤさんとタカコさんです」
携帯端末の生存表示を確認しながら、チトセが告げた。
「それだけしか残ってないの?」
「はい。もう」
「軽量装備で統一したのは失敗だったな。正面から撃ち合うには、火力不足だよ」
「どうします?」
「とりあえず集合掛けて、ここに」
「了解しました」
通信用インカムに集合指示を出すチトセを横目に、キリシマは溜息をこぼした。
「もう、無理」そんな言葉が出かける。
今日はクラス毎の対抗演習だった。
相手はカナエクラス。ステージは市街地で、制限時間は二時間。
リミットまでに敵を殲滅すれば勝利となる。
時間切れになった場合には生存者の数で勝敗判定がされる。
キリシマの採った作戦は強襲。
身軽な兵装で開始と同時に高速進撃。
正面から三十名の主力をぶつけ、押し込んでいる間に、ソネザキチーム、ジミー・ザ・カルテット、双子からなる別動隊が迂回挟撃。
一気に殲滅するというプランだった。
カナエクラスは、コンゴウの卓越した指揮能力と、命令を忠実にこなせる兵士達からなる総合連携力が主眼。
準備が整う前に強襲すれば、個々の戦闘能力で勝るミユクラスが有利と踏んだのだが。
主力の三十名は想定より早く会敵。
敵は十名ほどの寡兵ながら、据え置き式の機関砲二門を中心に守りに徹する構えだった。
突撃銃を中心とした主力部隊は、防衛ラインを突破できずに時間を浪費。
その間に別動隊が敵本隊の奇襲を受け崩壊したとの連絡が入る。
別動隊を打ち破った敵本隊が合流すると、数的有利はなくなり、あっという間に押し切られた。
被害が四割を越えたところで、キリシマは撤退命令を出すが時既に遅し。
退路に伏兵まで置かれていて、壊滅的な被害を受けた。
主力部隊の生存者はキリシマとチトセのみ。
別働隊の生存者が多いのは、敵襲と同時に作戦失敗を悟り退避命令を出したソネザキの判断力による物だ。
「キリシマちゃん、チトセちゃん、戻ったよ」
「悪りぃ。こんなザマになっちまって」
コトミとアオイが身を低くして駈け込んで来た。後方からマヤとタカコが続く。




