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番外編16-4

                        * * *

 

  

「お菓子を食べる幽霊ですの?」

 

 夕食後の団欒。

 ソネザキの話を聞いたアンズの反応は呆れ満開だった。

 

「古今東西、食い物の恨みは恐ろしいとは言うがな。それにしてもお菓子を食べる幽霊というのは、前衛的過ぎるのではないか?」

 

 ドルフィーナも茶化す。

 

「でも、ほらウチのチームでも、前にあったろ。アイスケーキの件」

「あんなのは、ただの勘違いですわ」

「美味しかったし、ラッキーだったではないか」

 

 ある意味能天気な二人だ。

 

「ね、コトミはどう思う?」

「えっ!」

 

 コトミらしくない反応だった。

 びくんと肩を跳ねさせると、「よ、良く解んないなぁ」と抑揚に欠けたひと言を残し、露骨に目を逸らす。

 

「コトミ、何か気になることでもある?」

「な、なな、ないよ。ないないないない」

 

 ぶんぶんと首を振った。

 

「ね、もし心当たりがあるのなら」

「そ、そんなのないです」

「ちょっと、ソネザキさん。コトミさんは、ないと仰ってるんですのよ。その言葉を疑うなんて、どういう了見ですの?」

 

 お嬢様の乱入で、話がややこしくなってきた。

 

「でも、コトミの反応はどう見ても」

「どう見ても普通です。やましいところはありません。わたくしには解るんです」

「待て待て。コトミが何か隠しているのは明白であろ。お子様が余計な口を挟むでない」

 

 オートマトンの割り込みで、ますますこんがらがってくる。

 

 結局、コトミは知らぬ存ぜぬを通した。

 途中からは「ごめん。話せないんだよ。約束しちゃったから」と懇願する形だったのだが。

 

  

                       * * *

 

  

「よろしいですか、ソネザキさん。幽霊の正体見たり、お歯黒べったり。という言葉があります」

「まあ、お歯黒べったりは幽霊ではなく、妖怪だな」

「いやさ、お歯黒でもべったりでも、どうでもいいんだけどさ。こんな時間に押しかけてきて何の用?」

 

 その日の深夜遅くにアンズとドルフィーナが部屋に押しかけて来た。

 安眠を妨害されたソネザキは、どうしても不機嫌な対応になる。

 

「コトミさんが幽霊にたぶらかされている可能性を考えてみて下さい」

「へぇ?」

「実際にだ。幽霊だの悪霊だのに取り憑かれ、衰弱死していく話は古今東西山ほどある」

「はぁ?」

「つまりですわ、調べるのです」

「つまりだな、調べるのだ」

 

 声を揃えて、同じ結論を述べた。

 


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